最近のアニソン・キャラソンを聴くなら基本として押さえたい7人の作曲家

作曲家で聴くアニソン・キャラソンのススメ

メディアミックスという言葉が使われるようになって久しい昨今、アニメやゲームにおいてアニメソング・キャラクターソングが数限りなく生み出され続けていますが、「アニソン・キャラソンなんて所詮その作品・キャラクターを愛するファンのためだけの内輪向けの音楽だ」なんて思っていませんか?

もちろんそういう面があることは否定しませんが、それだけで片付けてしまうのは、あまりにもったいないです。

私はアニソン・キャラソンの作曲とは、日本で花開いたキャラクター文化の魅力を音楽に変換する高度かつ先進的な文化活動だと考えています。 

 

100年後の日本の歴史の教科書には、平成の文化史についてきっと以下のように記載されるはずです。

 

平成の日本文化を一言で表す言葉は「萌え」であり、それは文学・映像・音楽の世界に幅広い影響を与えた。音楽の世界では「萌え」を音楽化したキャラクターソングが隆盛を極め、菅野よう子、上松範康、神前暁らが優れた楽曲を生み出した。

 

そこで私は、作曲家を意識してアニソン・キャラソンを聴くということを強くおすすめしたいと思っています。

今の日本のアニソン界には、卓越したセンスを持った多様な作曲家がいます。

そんな作曲家を知り、作曲家という横串を通してアニソンを聴くようになると、「次にこの作曲家はこの作品・このキャラをどう料理し、音楽に昇華していくのか」という楽しみ方が見えてくると思います。

大げさな言い方になりますが、それはキャラクター文化と音楽の出会いが人類に何をもたらすのかという、日本が世界に誇る文化の先端を垣間見ることではないかと私は考えています。

 

この記事では、そんな「作曲家で聴くアニソン・キャラソン入門」として、優れた楽曲を生み出し続けている作曲家の中から、ぜひ押さえておきたい基本というべき天才7人を取り上げて紹介します。

 

 

上松範康  

声優で歌手の水樹奈々の楽曲を数多く作曲。

中二病的なアニソンロックの名曲「ETERNAL BLAZE」や紅白への出場を果たした「深愛」を始め、声優が歌うアニメソングが日本の音楽界のメインストリームに立てることを証明するに留まらず、キャラソンでなければ出来ない音楽の高みがあることを世に示しました。

手がける楽曲のすべてがハイレベルで、圧倒的な説得力のあるかっこいいメロディが魅力。

近年ではゲーム・アニメで人気の「うたプリ」の音楽プロデュースを行い、ST☆RISH、宮野真守と生み出す楽曲の数々は、男性ボーカルのキャラソンの歴史に新たな伝説を築きつつあります。

 

 

 

梶浦由記

「ガンダムSEED」や「空の境界」、「魔法少女まどか☆マギカ」、「Fate/Zero」といった作品内で多数の死者が出るアニメに多くの楽曲を提供。

重厚・荘厳で、どこかしら不穏な雰囲気を漂わせるアニソンを生み出す名手。

自身がプロデュースするKalafinaの妖しくも美しいコーラスは、最近の作品のイメージと相まってか、音楽だけで死亡フラグに聴こえてきます。

 

 

菅野よう子 

アイドルソングからジャズまで、あらゆるジャンルでハイレベルな音楽を量産できる現代日本のモーツァルト。

近年では、河森正治監督とのコンビで手がけた「マクロス・フロンティア」の楽曲が圧巻。

「銀河の妖精」「超時空シンデレラ」という宇宙レベルのアイドルという壮大なフィクションに対して、その歌姫の楽曲の良さにリアリティを与えられること自体が既にSFじみた異次元の才能というべきではないでしょうか。

 

 

神前暁

「アイドルマスター」の「GO MY WAY!!」を初めとしたゲーム音楽で活躍ののち、アニソンデューとなる「涼宮ハルヒの憂鬱」では伝説的な文化祭ライブの楽曲でファンに衝撃を与え、「らき☆すた」の主題歌「もってけ!セーラーふく」で電波ソングの金字塔を打ち立てた現代アニソン・キャラソン界の寵児。

手がける楽曲の全てにハズレがない非凡すぎるメロディセンスもさることながら、アニメ「化物語」の「恋愛サーキュレーション」では、妄想がちで引っ込み思案な妹キャラにラップを歌わせるなど、卓越したキャラクター理解を元に、予測を超えた形でキャラの魅力を表現してみせるキャラソンが秀逸。 

恋愛サーキュレーション(化物語)
千石撫子(花澤香菜)
2013/07/31 ï¿¥250

  

田中公平

「熱い」アニソンの名手で、「サクラ大戦」の「檄!帝国華撃団」や「ワンピース」の「ウィーアー!」を始めとして、アニソンの歴史に名曲を残してきた作曲家であることはもちろん、音楽番組等でアニソンの魅力について明快な理論的解説を行うアニソン界きっての論客。

私のアニソン理解は殆どがこの人の受け売りであり、アニソンの素晴らしさを教えてくれた心の師匠。

近年では、「ジョジョの奇妙な冒険」のテーマ曲を「ジョジョ~その血の運命(さだめ)~」を手がけ、自らが理想とする熱いアニソンがどうあるべきかを改めて世に示してみせました。

ジョジョ~その血の運命
富永TOMMY弘明
2012/11/21 ï¿¥250
 

  

前山田健一

「ヒャダイン」名義で自ら歌える作曲家で、数多くその作品を手がけた「ももいろクローバーZ」のヒットの立役者。

アニメ「モーレツ宇宙海賊」のテーマ曲「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 」は、女子の学園もの宇宙海賊という作品世界を壮大なロック・オペラかつ下手うまなアイドルソングとして仕上げ、アニメ「じょしらく」のテーマ曲「ニッポン笑顔百景」では、落語を題材にした日常アニメのテーマ曲として、落語そのものをアイドルソングとして具現化してみせました。

その作品やキャラのコンテキストを理解し、様々な音楽的元ネタを縦横無尽に駆使して、ハイテンションな形で融合する楽曲が魅力。

 

 

ryo

初音ミクとニコニコ動画によるボカロ文化が生み出した天才。

pixivに投稿された絵に着想を得て、ニコニコ動画にアップされた楽曲が後にアニメ化までされた「ブラック★ロックシューター」や、アニメ「化物語」の主題歌「君の知らない物語」など、とにかくかっこいいアップテンポなピアノ・ロックがすばらしいです。

素人の創作活動が天才を生み出すインターネット版アメリカンドリームを体現した人物であり、その存在自体が新たな文化のあり方を示しているといえます。

  

 

 

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