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北欧PCパーツメーカーFractal DesignからDefine 7シリーズのコンパクトモデルとしてリリースされた、ATX対応ミニマルデザインなミドルタワーPCケース「Fractal Design Define 7 Compact Black Solid(型番:FD-C-DEF7C-01)」をレビューします。
フルサイズのハイエンドグラフィックボードと240サイズのマルチファン簡易水冷CPUクーラーを使用した高性能PCも組めるコンパクトPCケースを徹底解説していきます。

製品公式ページ:https://www.fractal-design.com/ja/products/cases/define/define-7-compact/black/
マニュアル:https://www.fractal-design.com/wp-content/uploads/2020/06/Define_7_Compact_Manual_v5-2020-03-09.pdf
レビュー目次
1.Fractal Design Define 7 Compactの外観・梱包・付属品
2.Fractal Design Define 7 Compactのトップパネル
3.Fractal Design Define 7 Compactの内部構造の概要
4.Fractal Design Define 7 Compactの裏配線スペース
5.Fractal Design Define 7 Compactのストレージ設置スペース
6.Fractal Design Define 7 Compactのグラフィックボード設置スペース
7.Fractal Design Define 7 Compactの電源ユニット設置スペース
8.Fractal Design Define 7 Compactのファン・ラジエーター設置スペース
9.Fractal Design Define 7 Compactのビルドギャラリー
10.Fractal Design Define 7 Compactのレビューまとめ
【機材協力:Fractal Design(国内正規代理店アスク)】
Fractal Design Define 7 Compactの外観・梱包・付属品
早速パッケージを開封して、Fractal Design Define 7 Compactの外観からチェックしていきます。「Fractal Design Define 7 Compact」では製品のオリジナルプリントがされた茶色の段ボール箱にPCケース本体が収められています。幅363mm×奥行558mm×高さ641mmとパッケージサイズは比較的にコンパクトです、もちろん外出先から持ち帰るのは無理ですが。

段ボール箱の天面を開くと、各種付属品が収められたパッケージとPCケース本体が現れます。段ボール箱の内側には、2019年にリニューアルされたFractal Designロゴが大量に格子状に描かれています。知らずに見るとハチの巣みたいで、ギョッとする光景なのでちょっとやり過ぎな気が…。

PCケースを保護する緩衝材については発泡スチロールが採用されていました。発泡スチロールは処分のため解体する際に小さい破片が飛び散るので、個人的には固めのスポンジを採用して欲しいです。

アルミニウム製フロントパネルや強化ガラスサイドパネルには傷防止の保護フィルムが貼られています。

各種付属品は50×30cmほどの大きめなパッケージに収納されています。

パッケージを開くと、通気スリットが施された交換用天面パネルとマニュアル冊子が現れます。天面パネルの下にはネジ等の小物類が収められた小分けパッケージが現れます。

小分けパッケージに収納されている付属品は各種ネジ類、ケーブルタイとなっています。組み立てに使用するネジは個別のビニール袋に分けられているので見分けも簡単です。強化ガラスサイドパネルの場合はクリーニングクロスも付属します。

欲を言えば、他社製品の例ですがネジの種類別に完全に小分けできる仕切り付きパックに最初からネジが収納されていると使い勝手が良いので、ネジ収納はこのタイプになってくれると嬉しいです。
続いて「Fractal Design Define 7 Compact」の外観について詳しくチェックしていきます。
「Fractal Design Define 7 Compact」の筐体のカラーバリエーションについてはブラックの1色のみです。マザーボード側サイドパネルについては、スチール製ソリッドパネルのSolid版に加えて、最近流行りの強化ガラスパネルを採用したTG版がラインナップされています。強化ガラスサイドパネルについては透明なガラスパネルのTG無印と、スモーク処理が施されたDark TGの2種類があります。

サイドパネルの種類別で計3種類存在するFractal Design Define 7 Compactシリーズの中から、今回レビューするのはメインカラーがブラックで、静音性重視で高密度吸音素材シートが貼られたスチール製ソリッドパネルを搭載する「Fractal Design Define 7 Compact Solid」です。


「Fractal Design Define 7 Compact」の寸法は奥行427mmm×幅210mm×高さ474mmで、ATXサイズマザーボードに対応するミドルタワーPCケースとしてはコンパクトな奥行です。

標準モデルFractal Design Define 7の寸法は奥行547mmm×幅240mm×高さ475mmなので、高さはほぼ同じですが、奥行と横幅が「Fractal Design Define 7 Compact」のほうが小さくなっています。

Fractal Design Define 7 Compactは近年主流の4面フルフラットパネルデザインです。トップと左サイドの2面(およびSolid版では右側サイドパネルも)には傷や指紋が目立ちにくい黒色スチール製フラットパネルを搭載しています。

フラットパネルPCケースはエアフローが微妙な窒息ケースのイメージがありますが、「Fractal Design Define 7 Compact」では吸気スペースに当たるフロントパネルの左右外周部に吸気用スリットが用意されています。

前面にはヘアライン表面処理とアルマイト加工を施されたフルフラットなアルミニウムプレートが装着されたフロントパネルが搭載されています。従来モデルではプラスチック製の枠の中央にアルミニウムプレートが嵌め込まれた構造でしたが、「Fractal Design Define 7 Compact」では左右に折り返す構造になっており、一体感のある外観でさらに高級感を増しています。

「Fractal Design Define 7 Compact」のフロントI/Oはトップパネル前方に実装されています。パワースイッチ、リセットスイッチ、HD Audio(3.5mmステレオ出力&3.5mmマイク入力)、2×USB2.0 Type-A端子、2×USB3.0 Type-A端子、さらに最新規格のUSB3.1 Gen2 Type-C端子と非常に豊富です。電源ボタンはPCの電源が入ると白色LEDが点灯します。

フロントI/Oからマザーボードに接続するケーブルは次のようになっています。

個人的な注目ポイントはスタートスイッチやパワーLEDなどマザーボードのフロントI/Oヘッダーに接続するケーブルがスリーブでまとめられているところです。バラバラのままだと地味に面倒な所なので細かい配慮が好印象でした。

「Fractal Design Define 7 Compact」は標準モデルのDefine 7やフルタワーモデルDefine 7 XLと違ってフロントパネルはドア構造になっていません。フロントパネル全体はプラスチックの爪でPCケースシャーシに固定されています。割と強引にパネルをシャーシから引き剥がす感じでフロントパネルの着脱を行います。フロントパネルの着脱には比較的力がいるので(従来モデルよりはツメが弱くなっていますが)、ツールレス構造にしてもボールキャッチなどもう少し着脱の容易な構造を採用して欲しかったところ。
「Fractal Design Define 7 Compact」のフロントには「Fractal Design Dynamic X2 GP-14 140mm」という高性能な140mm冷却ファンが吸気ファンとして標準で1基搭載されています。

フロントパネルの左右側面にある吸気スリット部分にはナイロンメッシュの防塵ダストフィルターが装着されています。スライド構造かつプラスチックの爪で固定されているだけなのでツールレスで簡単に着脱できます。またPCケースボトムに設置された防塵ダストフィルターもスライド式で簡単に着脱できます。

「Fractal Design Define 7 Compact」の左右サイドパネルは下端の溝(ヒンジ)と上端2か所のボールキャッチによって固定され、上端後方のノブによってツールレス開閉が可能というアクセサビリティーの高い構造です。なお片手で開こうとするとボールキャッチの外れた勢いでそのままサイドパネルが倒れる可能性が高いので片手で支えながらの両手で開閉を推奨します。サイドパネルの固定方法はスチールパネルと強化ガラスパネルで同様です。

また先行して発売されたDefine 7とDefine 7 XLは下写真右のようにノブの傾斜が緩くサイドパネルを開く時に指が滑りがちだったのですが、「Fractal Design Define 7 Compact」では直角に近い傾斜になってより開閉しやすくマイナーアップデートが施されていました。

「Fractal Design Define 7 Compact」のサイドパネルの開閉に使用するノブはパネル本体から着脱が可能で、パネル本体は前後対称な形状なので、ノブを前後に付け替えることによって、マザーボード側と裏配線側のどちらでも使用できます。

ソリッドタイプのサイドパネル(裏配線側はSolidとTGで共通)やフロントパネルやエアスリットがない方のトップパネルの裏面には高密度吸音素材の防音シートが貼られています。
Solid版はマザーボード側と裏配線側の両方が高密度吸音素材の防音シートが貼られたスチールパネルになるので、静音性重視なユーザーであれば強化ガラスパネル採用のTG版よりもSolid版がおすすめです。

「Fractal Design Define 7 Compact」のPCケースボトムには電源ユニットやファンマウント全体を覆う大型ダストフィルターが設置されています。底面ダストフィルターについては旧モデルでも指摘されていましたが長さ400mm以上のフィルターを前方に引き出すため着脱には前方のスペースが要求されます。

ダストフィルターを取り外すと電源ユニット用の吸気スリットやファンマウントスペースが現れます。

PCケース足のインシュレーターについて、「Fractal Design Define 7 Compact」では黒色プラスチック製で矢じりのような非対称形のものが採用されています。インシュレーターの底面には滑り止めのゴムが付いています。シャーシから測って高さは23mmほどで電源ユニットやケースボトムファンの吸気スペースが確保されています。

Fractal Design Define 7 Compactのトップパネルについて
「Fractal Design Define 7 Compact」のトップパネルについてチェックしていきます。従来機種でModuVentと呼ばれたトップパネル構造は、「Fractal Design Define 7 Compact」では特別な呼称はなくなりましたがさらに改良が加えられ、外装パネル、ダストフィルター、ファン・ラジエーターマウントブラケットの3層構造で全てPCケースシャーシから着脱が可能になっています。
「Fractal Design Define 7 Compact」のPCケース天面にはスチール製フラットパネルが標準で設置されています。スチール製カバーの裏面には高密度吸音素材の防音シートが貼られているので静音性重視の環境であれば標準仕様のまま使用するのがおすすめです。

「Fractal Design Define 7 Compact」のトップパネルはボールキャッチで固定されており、上に引っ張るだけでツールレスで簡単に着脱できます。

「Fractal Design Define 7 Compact」のPCケース天面外装パネルは質感高いスチール製フラットパネル(裏面の高密度吸音素材の防音シート)に加えて、通気エアスリットパネルの2種類が標準で付属してユーザーが自由に選択できます。

通気エアスリットパネルのエアスリットはDefine R6のプラスチック製スリットやDefine R5の単純なヘックススリットとも違って、大小の台形が組み合わさった複雑かつ規則的な幾何学模様になっていて遊び心を感じさせる外観です。「Fractal Design Define 7 Compact」を高エアフローなマルチファン換気システムへスムーズに移行させることができます。

トップパネルの下にはナイロンメッシュの防塵ダストフィルターがあり、こちらもPCケース後方に引っ張るとロックが解除される構造で、ツールレスに着脱が可能です。

またPCケース天面のファン・ラジエーターマウントブラケットも着脱が可能です。前モデルDefine R6でも採用されていた構造ですが、「Fractal Design Define 7 Compact」では前方-左-後方のU字の枠にブラケットを乗せて、右側2か所のネジで固定する構造に変わっています。

Fractal Design Define 7 Compactの内部構造の概要
続いて「Fractal Design Define 7 Compact」の内部構造について各種要素ごとに細かく見ていく前に内部構造の概要をチェックしていきます。スチール/強化ガラス製サイドパネルを外してマザーボード側を俯瞰すると次のようになっています。

「Fractal Design Define 7 Compact」のマザーボードスペース前方はストレージベイや5インチベイなど何もなく開放されている近年主流なオープンレイアウトが採用されています。

「Fractal Design Define 7 Compact」には近年のPCケースの流行としてPCケースボトムに設置される電源ユニットをチャンバー分けして、電源ケーブルを隠すPSUシュラウドが採用されています。

マザーボードトレイの上下と右側はグロメット付きの裏配線用ケーブルホールが大きく取られています。

PCケース内部にはフロントに1基の140mm角、リアに1基の120mm角で計2基のケースファンが標準で搭載されています。標準搭載のケースファンは同社製高性能ケースファン「Dynamic X2 GP-14」と「Dynamic X2 GP-12」です。

Fractal Design Define 7 Compactのマザーボードトレイやその周辺レイアウト、およびE-ATXマザーボードとの互換性についてチェックしていきます。
Fractal Design Define 7 Compactのマザーボードトレイには標準でATXに合わせたスペーサーが装着されています。PCIEスロット数はATXフォームファクタに合わせて7段が設置されています。

予備のスペーサー1つとスペーサーを外すためのプラスネジ変換六角ソケットが付属します。プラスネジ変換六角ソケットをスペーサーに被せれば一般のプラスドライバーを使用して簡単にスペーサーの着脱が可能です。

マザーボード固定用スペーサーを装着するためのネジ穴にはA、M、Iの添え字が刻印されており使用するマザーボードに合わせて使うべきレイアウトが一目で分かります。またマザーボード固定用スペーサーのうち中央の1つはネジ穴ではなく、凸状の出っ張りになっています。

マザーボードのネジ止めの際には中央スペーサーの出っ張りにマザーボードを引っかけて位置を固定することができるので、マザーボードのネジ止めが容易になる賢い構造です。

「Fractal Design Define 7 Compact」にATXマザーボードを設置すると下のようになります。マザーボードトレイの上下と右には大きくケーブルホールが開けられているので各種配線もスムーズに行えます。

空冷CPUクーラーの高さクリアランスについては全高169mmまで確保されています。(サイドパネルの内側に吸音シートがあるので写真の目盛りより数mm狭くなります)
一般的な120mmサイズファンを搭載するサイドフロー型CPUクーラーは問題ありませんが、140mmサイズやラウンドフレームの大型ファンを搭載するハイエンド空冷CPUクーラーは170mmを超えるものも多いので注意が必要です。

Fractal Design Define 7 Compactの裏配線スペース
「Fractal Design Define 7 Compact」の裏配線スペースについてチェックしていきます。左サイドパネルを取り外すとFractal Design Define 7 Compactのマザーボード裏スペースにアクセスできます。Fractal Design Define 7 Compactの裏配線スペースの全体は次のようになっています。

「Fractal Design Define 7 Compact」のマザーボードトレイにはCPUクーラーメンテナンスホールも大きく設けられています。ホール右上が丸まっているところは地味に配線を楽にするポイントです。
CPUクーラーマウントが縦長でメンテナンスホールからはみ出しやすいAM4マザーボードでもしっかりと収まっています。
一方で開口部が少し後方寄りなので、Intel LGA1700/1200/115Xでメモリスロット側のCPUクーラー用ネジ穴がATXマザーボード基板の右端から70mm程度の位置の場合、ネジ穴がマザーボードトレイに被さってしまいます。あと10mm程度前方寄りだと良かったのですが。

「Fractal Design Define 7 Compact」の裏配線スペースについては、マザーボードトレイ上の6か所にマジックテープ式のケーブルファスナーがあり、前方の3か所にはさらにプラスチック製ケーブルガイドも設置されています。ケーブルマネジメントの動線がハッキリしていて、シンプルで配線しやすそうなデザインです。

裏配線スペースの厚さはマザーボードトレイやシャーシの凹凸で若干前後しますが、マザーボードトレイの裏が18mm前後、ケーブルホールよりも前方の凹み部分は28mm程度が確保されています。標準もモデルのDefine 7と比べて裏配線スペースが狭いので若干注意が必要です。(サイドパネルの内側に吸音シートがあるので写真の目盛りより数mm狭くなります)

Fractal Design Define 7 Compactのストレージ設置スペース
続いて「Fractal Design Define 7 Compact」のストレージ設置スペースをチェックしていきます。「Fractal Design Define 7 Compact」のストレージ積載については標準で、PSUカバー裏のシャドウベイに2基の3.5インチストレージ、マザーボードトレイ裏のストレージトレイに2基の2.5インチストレージに対応しています。
2.5インチストレージトレイは汎用で、PSUカバー上でも使用でき、アクセサリパーツを追加購入することで最大4基の2.5インチストレージを増設できます。またアクセサリパーツのマルチブラケットを追加購入すればPCケース天面に最大2基の3.5インチストレージを増設できます。

「Fractal Design Define 7 Compact」でストレージを設置するのに使用する「SSD Tray kit Type-B (2-pack)」と「Universal Multibracket Type A」の2種類はいずれも単品でアクセサリパーツとして市販が予定されており、これらを必要数追加購入することによって、各種を合計して最大で4基の2.5インチストレージと4基の2.5インチ/3.5インチストレージが設置可能となります。

2.5インチストレージトレイについて
まずは2.5インチストレージトレイを使用したスペースについてチェックしていきます。標準ではマザーボードトレイ背面に2基の2.5インチストレージトレイ(正式名称はSSD tray)が装着されているので、ここに2基の2.5インチストレージを設置できます。2.5インチストレージトレイは単品でも追加購入でき、後述するスペースと合わせて最大で4基の2.5インチストレージを設置できます

2.5インチストレージトレイはスチール製プレートになっており、トレイ背面の中央やや下にある2カ所の爪と、上部の脱落防止機能付きハンドスクリューでPCケースに固定する構造になっています。防振ゴム等はないので機械駆動部分のない2.5インチSSD向けのストレージトレイです。

この2.5インチストレージトレイは裏配線スペースだけでなくPSUシュラウド上にも設置スペースが用意されています。PSUシュラウドの奥にはグロメット付きケーブルホールもあるのでケーブルを目立たせることなく、お気に入りの2.5インチSSDを飾ることができます。「Team T-FORCE DELTA RGB SSD」や「HyperX FURY RGB SSD」などLEDイルミネーションを搭載したSSDのディスプレイにオススメな設置スペースです。

3.5インチストレージ用シャドウベイについて
最後にPCケースボトムに固定されている3.5インチストレージ用シャドウベイ(正式名称はHDD Cage)について詳しくチェックしていきます。「Fractal Design Define 7 Compact」のPSUシュラウドの裏には3.5インチストレージ用シャドウベイが標準で設置されています。

3.5インチストレージ用シャドウベイからはツールレスで着脱可能な2基の金属製ストレージトレイがあり、ストレージトレイには3.5インチストレージもしくは2.5インチストレージを設置できます。

シャドウベイは標準ではPCケースフロント寄りに設置されていますが、PCケース底面にある120mmファンマウント用ネジスリット上に4か所のネジで固定されており、シャドウベイを前後に動かしたり、シャドウベイを完全に取り外したりすることが可能です。シャドウベイの位置による電源ユニットクリアランスやファンマウントスペースへの影響については下の章で詳しくチェックしていきます。

マルチブラケットを使用したストレージ設置について
続いてPCケース天面のストレージ設置について詳しくチェックしていきます。「Fractal Design Define 7 Compact」には標準で付属しませんが、単品販売のマルチブラケットを追加購入するとPCケース天面のファンマウントブラケット上へ最大2基の2.5/3.5インチストレージが設置できます。


Fractal Design Define 7 Compactのグラフィックボード設置スペース
「Fractal Design Define 7 Compact」のグラフィックボード設置スペースについてチェックしていきます。まず製品スペックを見ると、「Fractal Design Define 7 Compact」のグラフィックボード設置における長さ方向のクリアランスについて、最大360mmのスペースが確保されています。
360mmのスペースは側面フレームの縁までの距離で算出されており、標準搭載の25mm厚ファンの同じ高さの場合は341mmまでなので、ファンマウントブラケットまでの最大距離としては366mm程度のスペースがあります。

今回は全長305mmのRTX 2080 Tiグラフィックボード「ASUS ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」を設置してみましたが、製品スペックの通り余裕のあるスペースです。

PCケースフロントにファンやラジエーターを設置した場合についてですが、25mmファンと同じ高さでの公称スペースが341mmなので、さらに水冷ラジエーターを使用する場合はラジエーターの厚さ分だけ341mmからグラフィックボードのスペースが減ります。
全長305mmの「ASUS ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」で試したところ、40mm程度の余裕がありました。簡易水冷CPUクーラーで一般的な27~30mm厚のラジエーターであればそれでも約310mmまでスペースがあるので、GeForce RTX 2080 TiのようなハイエンドGPUを搭載する大型グラフィックボードでも干渉するケースは稀だと思います。

管理人がPCケースをチェックする時の重箱の隅をつつくような細かい項目、PCIEスロットの固定ネジとシャーシの干渉についてですが、Fractal Design Define 7 Compactでは固定ネジ上にシャーシが被っておらずしっかりとクリアランスが確保されています。これならドライバーを使用した拡張ボードのネジ止めも簡単です。

「Fractal Design Define 7 Compact」について、あえて欲を言うなら重量級のハイエンドグラフィックボードの垂れ下がりを防止する補強ホルダーが欲しいと思いました。一例として他社製品ですがCooler Master MASTERCASE MAKER 5tやIn Win 303のようにシャーシに備え付けで上下可動なホルダーがあれば完璧だと思います。

Fractal Design Define 7 Compactの電源ユニット設置スペース
Fractal Design Define 7 Compactの電源ユニットの設置個所付近をクローズアップしていきます。まずは電源ユニットの設置についてですが、Fractal Design Define 7 Compactでは最近のPCケースで主流なボトム吸気型の電源ユニットのボトム配置構造を採用、マザーボード側からは電源ユニットや電源ユニットから伸びるケーブルを隠してケース内をキレイに見せるPSUシュラウドも採用されています。PSUシュラウド上面にはエアスリットもあるのでセミファンレスやファンレスな電源を上に向けて配置することも可能になっています。

「Fractal Design Define 7 Compact」では電源ユニットの固定方法として、単純にPCケース内から電源ユニットを配置して外側からネジ止めするといった構造ではなく、専用のPSUアダプタを使用して外から電源ユニットをスロットインする構造が採用されています。PSUアダプタのハンドスクリューは脱落防止機構が備わっています。

ケース内部の電源ユニット設置スペースに注目してみると、吸気スリットの両サイドには電源ユニットの安定した固定と電源ユニット冷却ファンの振動によるPCケースとの共振を防止するためゴム足がスタンドとして設置されています。細かいところですが欲を言えば、電源ユニット挿入時に奥のスタンドに引っかかることがあるので、ゴム足ではなくレール型のスタンドを採用して欲しかったです。

アダプタを装着するだけで外から電源ユニットをスロットインできる構造なので電源ユニットの着脱が容易です。電源ユニットのプラグインケーブルを少し着脱したいという場面で電源ユニットを若干引き出してスペースを作るといった使い方もできる便利な構造になっています。

電源ユニットの奥行のクリアランスについて、「Fractal Design Define 7 Compact」のPCケースボトムには標準でシャドウベイが搭載されていますが、標準ポジションの場合、奥行方向に約230mmのスペースがあります。
シャドウベイを取り外してしまえばPCケースフロントまで貫通しているので、電源ユニットスペースは基本的に無制限です。

なお240mmサイズや280mmサイズなら問題ありませんが、PCケースフロントに360サイズのラジエーターを設置する場合は、シャドウベイを標準位置から後方に30mm程度移動させる必要があります。標準では25mm程度のスペースしかないので、27~30mm厚のラジエーターを使用する場合、電源ユニットのスペースは200mm前後まで狭くなります。

検証機材として「Fractal Design Ion+ Platinum 860W(レビュー)」を設置してみると、同製品はATX電源ユニットとしてコンパクトな奥行150mmなので、シャドウベイとの間隔は80mm程度あり、余ったケーブルを収納して置ける程度のスペースは十分にあります。
電源ケーブルの挿抜についても、「Fractal Design Define 7 Compact」Lは電源ユニットのスロットイン構造を採用しているので、一時的に電源ユニットを引き抜くことで対応できます。

電源ユニットがケースボトムから吸気を行うというのが「Fractal Design Define 7 Compact」における一般的な構成なので、PCケースボトムには電源ユニットとファンマウントが共有する形で、簡単に着脱可能なナイロンメッシュのスライド式大型防塵ダストフィルターが付属しています。

フィルターの下には電源ユニットの吸気口として幅が120~140mmのエアスリットが切れ目なくフロントに向かって伸びています。

下写真左側は140mm冷却ファンを搭載する奥行150mmのFractal Design Ion+ Platinum 860Wを設置した様子ですが、PCケースボトムの吸気エアスリットと電源ユニット冷却ファンの位置がピッタリ一致しています。同じく140mm冷却ファンを搭載する奥行200mmの「ENERMAX MaxTytan 1250W」の場合、エアスリットのベストポジションからは若干ズレますが、吸気面の大半をカバーできています。

Fractal Design Define 7 Compactのファン・水冷ラジエーター設置スペース
続いて「Fractal Design Define 7 Compact」の冷却ファンと水冷ラジエーターの設置スペースについてチェックしていきます。ファン・ラジエーター設置スペースの概要
Fractal Design Define 7 Compactのファン・ラジエーター積載可能数について簡単にまとめると、PCケースリアには120サイズ、PCケースフロントには最大で360サイズ(120mm*3) or 280サイズ(140mm*2)、PCケースボトムには120サイズ、PCケーストップには最大で240サイズ(120mm*2、ファンは140mm*2に対応)のファンもしくはラジエーターを設置することが可能です。
Fractal Design Define 7 Compactの製品スペック上の冷却ファンおよび水冷ラジエーターの積載可能サイズ・数量については基本的に公式マニュアルの概略図を参照するのが一番わかりやすいので、マニュアル図解を念頭に実機写真で補足をしていこうと思います。
・ファン設置可能数

・水冷ラジエーター搭載可能数

付属ファンについて
「Fractal Design Define 7 Compact」には定格1000RPMの140mm冷却ファン「Dynamic X2 GP-14」がフロント1基、140mm冷却ファン「Dynamic X2 GP-12」がリア1基で計2基付属します。Dynamic X2 GP-14とDynamic X2 GP-12はいずれもPWM速度調整に非対応の3PINファンですが、定格(最大)ファン回転数が1000RPMと1200RPMで低速なので、最大速度でもファンノイズが煩く感じることはあまりないと思います。

軸受にはMTBF(平均故障間隔)がトップクラスの100,000時間である高級LLS軸受けを使用し、さらにハブ部分にベアリングの軸圧力を軽減するカウンターバランスマグネットを採用することでベアリングの耐用性を更に強化しています。
固定用の支柱はファンブレードに対して垂直になっており、ファンブレードが支柱を通るときに通常発生するノイズを抑制しています。ファンブレードの付け根部分にある3つの切り込みはファンブレードが固定用の支柱を通るときに発生するノイズを拡散する事で抑制します。

ファンフレームはすり鉢状に面取り拡張されており吸気・排気に優れる構造です。空気力学的に基づき設計された薄板状の支柱(ワイヤ用支柱も含む)により、航空機の翼に一般的にみられるデザインを模倣し、正しい角度で簡単に空気が流れる様にする事でノイズや望ましくない乱流の発生を低減します。ファンブレードの後縁付近には航空機の翼のデザインによくみられる「トリップワイヤー技術」という構造をしており、マイクロ乱流層を発生させ全体的に効率の良い静かなエアフローを実現するそうです。

ファン・ラジエーター設置スペースを実機でチェック
上で解説した概要を念頭に、「Fractal Design Define 7 Compact」のファン・ラジエーター設置スペースについて実機写真からチェックしていきます。

PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースについてですが、フロントパネル裏には標準で1基の140mmサイズ冷却ファンが吸気構成で設置されています。PCケース内への埃の混入を抑えるためツールレスで着脱可能な防塵ダストフィルターも用意されているので吸気スペースに使用するのがおすすめです。
PCケースフロントのファン・ラジエーター設置スペースのサイズ・数量については上で紹介したとおり、360サイズ(120mm*3) or 280サイズ(140mm*2)です。ファン・ラジエーター固定用のネジ穴は縦長スリットなのでラジエーターのネジ穴間隔に合わせて設置が可能です。

PSUシュラウドの天面はPCケースフロントまで伸びていますが、フロント側の天面は2枚のシュラウドインレーを着脱可能な構造になっています。240サイズや280サイズのラジエーターであればそのままで問題ありませんが、360サイズのラジエーターを使用する場合はシュラウドインレーを取り外す必要があります。
シュラウドインレーは前方60mmと後方80mmの2枚組になっており、一般的なファン&ラジエーターの60mm厚程度であれば前方のシュラウドインレーを外すだけでも対応できます。
シュラウドインレーを両方外せばフロントスペースは140mm厚まで対応可能ですが、フロントのファン・ラジエーターはグラフィックボードのスペースとトレードオフになるので、注意が必要です。

なおラジエーターの設置にシュラウドインレー下のスペースを使用する場合、シャドウベイとファンマウントの間のスペースは標準では25mm前後しかないのでラジエーターの厚みに合わせて、シャドウベイを後方へ移動させる必要があります。27~30mm厚のラジエーターを使用する場合、電源ユニットのスペースは200mm前後まで狭くなります。

PCケーストップのファン・ラジエーター搭載スペースについてはPCケースのシャーシから着脱が可能な専用ブラケットを使用する構造になっています。ファン・ラジエーター設置可能なサイズ・数量については上で紹介したとおり、最大で360サイズ(120mm*3)です。140サイズや280サイズのラジエーターには非対応ですが、ファンのみであれば140mm*2にも対応します。
「Fractal Design Define 7 Compact」ではPCケース天面へのファン・ラジエーターの設置に着脱可能なマウントブラケットを使用します。マウントブラケットにはマザーボード寄りに2列、逆側に1列のネジ穴スリットがあり、120mm角と140mm角のファンネジ穴に対応しています。

続いてPCケーストップで対応が明記されている240サイズラジエーターについて、今回は検証機材として240サイズ簡易水冷CPUクーラー「Fractal Design Celsius+ Dynamic S24」を使用して具体的にチェックしていきます。
・「Fractal Design Celsius+ Dynamic S24」をレビュー

まず最初にPCケーストップからファン・ラジエーターマウントブラケットを取り外し、簡易水冷CPUクーラーのラジエーターをブラケットにネジで固定します。

Define 7やDefine 7 Xlのマウントブラケットでは120mmや140mmの幅を超えるグリルが搭載されたラジエーターはボールキャッチのジョイントパーツが干渉するため設置できない可能性があったのですが、「Fractal Design Define 7 Compact」は若干の余裕があり、240サイズラジエーターでもボールキャッチの合間に収まるので干渉の心配はなさそうです。

「Fractal Design Define 7 Compact」の天面に水冷ラジエーターを設置する場合、マザーボードやメモリとの干渉に気を配る必要があります。
まず1つ目の注意点としてファン&ラジエーターをリア寄りに配置するとマザーボードのリアI/Oカバーにファンやラジエーターが干渉する可能性があります。マウントブラケットの固定ネジ穴は横長スリットなので前後にオフセット可能なので、トップ&フロントにラジエーターを設置するDIY水冷でもない限り特に問題にはならないはずですが。
またかなりレアなケースだと思いますが(一般的にVRM電源クーラーがリアI/Oカバー並みに背が高いことはないので)、「Fractal Design Define 7 Compact」ではファン&ラジエーターとして一般的に最薄な55mm厚程度でもVRM電源クーラーに被さってしまうので、VRM電源クーラーの高さによってはファンやラジエーターと干渉する可能性があります。これは回避策がないので使用するマザーボード次第となります。

もう1つの注意点ですがマニュアルで図解されている通り、全高36mm以上の背の高いヒートシンクが装着されたDDR4メモリはファンやラジエーターと干渉する可能性があります。
ただ今回、検証機材として使用したマザーボードの「ASUS ROG CROSSHAIR VII HERO」についてはメモリスロットの位置がPCHクーラー寄りの低い位置にあったので、簡易水冷CPUクーラーで一般的な55mm厚程度のファン&ラジエーターではメモリスロットに被さりませんでした。

簡単な目安としては、メモリスロット下端と、その付近にあるネジ穴に注目します。左のように下端のラッチがネジ穴の真横かそれより下にあればファン&ラジエーターがメモリスロットに被さることはありません。逆にネジ穴よりも上の位置に下端のラッチがある場合は、ファン&ラジエーターがメモリスロットに被さる可能性が高いので注意が必要です。

以上のようにいくつか注意点はあるものの、「Fractal Design Define 7 Compact」は240サイズラジエーターを採用するハイエンド簡易水冷CPUクーラーをPCケース天面に設置できました。


Fractal Design Define 7 Compactの自作PCギャラリー
「Fractal Design Define 7 Compact」を使用した自作PCを組んでみたのでその作成例のギャラリーとなります。



電源ユニットに「Seasonic CONNECT SSR-750FA」を使用していますが、ケーブルハブの厚みで裏配線側サイドパネルが閉められないのでご注意ください。


Fractal Design Define 7 Compactのレビューまとめ
最後に「Fractal Design Define 7 Compact」を検証してみた結果のまとめを行います。簡単に箇条書きで以下、管理人のレビュー後の所感となります。良いところ
- シンプルでスタイリッシュ、フルフラットの”エレガントなスカンジナビアデザイン”
- 奥行427mmm×幅210mm×高さ474mmで、ATX対応としてはコンパクトサイズ
- 防音性の高いソリッドパネルと内部を一望できる強化ガラスパネルの2モデルがラインナップ
- ボールキャッチによってサイドパネルは容易に着脱可能
- マザーボード側からのケーブルを隠すストレージプレートやPSUシュラウド採用
- 天面は静音性重視のソリッドパネルと通気性重視のエアスリットパネルを選択できる
- 専用アダプタを使用したスロットイン型の電源ユニット設置構造を採用
- トップ/フロントはマルチファン大型水冷ラジエーターに対応
- トップ/フロント/ボトムには着脱の容易な防塵ダストフィルター搭載
- 空冷CPUクーラーは全高169mmまでなので、ハイエンド空冷は難しい
- 裏配線スペースは17~28mmでやや狭い
標準モデルのDefine 7はあれこれと試行錯誤を繰り返して自分にとって最高の自作PCを組むのが楽しいPCケースでしたが、「Fractal Design Define 7 Compact」はDefine 7のオープンレイアウトをベースに、ATXマザーボード対応を前提としてオプション的要素をそぎ落としていったことで、自作PC初心者にも組み易く、必要十分な機能を備えたミニマルデザインなコンパクトミドルタワーPCケースに仕上がっています。
ATXマザーボードに対応し、マルチファンの高性能な簡易水冷CPUクーラーをPCケースフロントに使用しても300mm超のフルサイズグラフィックボードを問題なく設置でき、余分な奥行もないので、文字通り、机の上に置くデスクトップPCに最適です。
IntelやAMDから最新メインストリーム向けCPUやマザーボードの発売が相次ぐ2020年下半期に向けて、「Fractal Design Define 7 Compact」は初めて自作PCを組むエントリーユーザーにもオススメなPCケースです。
以上、「Fractal Design Define 7 Compact」のレビューでした。

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ミニマルデザインなATX対応ミドルタワーPCケース「Fractal Design Define 7 Compact Black Solid」をレビュー。Define 7シリーズのコンパクトモデルを徹底検証https://t.co/HbM5B5Pm89
— 自作とゲームと趣味の日々 (@jisakuhibi) June 3, 2020
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(注:記事内で参考のため記載された商品価格は記事執筆当時のものとなり変動している場合があります)
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