部活動の支援事業などを行うスポーツデータバンク(SDB)とNTT東日本は11月24日、スポーツ庁委託事業「令和4年度 Sport in Life推進プロジェクト」において、デジタル技術を活用して専門家による遠隔指導などを実証すると発表した。これにより両社は、中学生のスポーツ実施率の向上とスポーツ環境の整備を図る。
近年、コロナ禍に伴い、オンライン環境の整備をはじめとする教育現場のデジタル化が進んでいる。対面で行うことが当たり前だったスポーツも仮想現実(VR)などの普及により、新たなスポーツ体験の機会が広がっている。一方、個々の自治体や教育機関だけでは、ITを活用して多様なスポーツ体験を提供するのは環境整備などの面で困難だという。
そこで今回、SDBが代表となり、教育とデジタル領域における知見や実業団チームを持つNTT東日本とプロジェクトチームを結成。デジタル技術を活用したスポーツ活動の支援やスポーツ実施率の向上などについて、自治体や教育機関を巻き込みながら、中期的な実証に取り組むとしている。
この取り組みの一環として同実証では、東京都調布市の「NTT東日本中央研修センタ」と指導先である北海道登別市・富良野市の中学校を接続し、学校配備のGIGAスクール端末を活用して遠隔指導を実施する。生徒は、遠隔指導で学んだ内容を時間や場所を問わず復習動画として確認したり、自身の弱点をクラウドにアップし、指導者からアドバイスを受けたりできるという。対象となる競技は野球やバドミントンなど。
同実証では、SDBが事業におけるプロモーター、全体のプロデュース、実証エリアとなる自治体との連携、NTT東日本がデジタル技術を活用した遠隔指導環境の提供、実業団チームによる指導ノウハウの提供、実証を踏まえた部活動支援事業化の検討、登別市・富良野市がGIGAスクール端末の提供、実証によるスポーツ関連データの提供、部活動の地域移行に向けた実証結果の応用などを行う。
両社は同実証を踏まえ、デジタル技術を活用した専門指導者による遠隔指導、人工知能(AI)を用いた高度な指導などのノウハウを確立し、野球やバドミントン以外のスポーツにも応用する。これにより、全国各地の中学生にスポーツの機会を提供して環境を整備するとともに、スポーツへの意欲の向上に取り組むとしている。また、実業団の選手が引退後のキャリアとして活躍できる場所になるかについても検討を進めるという。