米ZDNetでは毎週、その週の重要なテクノロジニュースを1本の記事にまとめて掲載しているが、2016年を振り返ってみると、IT業界や、テクノロジを使って世界を動かしているZDNetの読者に大きな影響を与えた、5つの大きな地殻変動があったことが分かった。
この記事では、各国のZDNet編集局がまとめた、2016年の5大テクノロジ業界動向を紹介する。担当したのは以下の編集者だ。
- Larry Dignan(グローバル編集長)
- Jason Hiner(グローバル長文記事エディター)
- Steve Ranger(EUエディター)
- Chris Duckett(アジア太平洋エディター)
1.サイバーセキュリティ:情報漏えいがさらに加速
2000年頃から毎年同じことが言われ続けているが、やはり2016年も情報漏えいの年だったと言わざるを得ない。2016年の特徴を挙げるとすれば、情報漏えいの事例や、何年も前の攻撃で漏えいした情報が交換され、依然としてサイバー犯罪者に価値をもたらすマーケットが成熟してきたことだ。米Yahooは9月に5億件の個人情報が漏えいしたことを明らかにしたが、年末も押し迫ってからさらに10億件のアカウント情報が漏えいしていたと発表した。Yahooには、2016年の「サイバーセキュリティ他山の石」賞を進呈すべきだろう。
ここから学べることは、1度起こった情報漏えいが、しばらく経ってから別のセキュリティ上の問題につながることがあるということだ。まるで、シンジケーションで収益を上げる人気のテレビ番組のようだ。では、2016年に起こった主要な事件を振り返ってみよう。
- Yahooは攻撃によって10億件のアカウント情報が漏えいしたことを明らかにした。
- またYahooは、Verizonが同社の中核事業の買収を完了しようという間際にも、5億件の情報流出を明らかにしている。
- OracleのPOSシステムを手がける「MICROS」部門で、システムがハッキングを受けた。
- AdultFriendFinderへのハッキングにより4億ものユーザー情報が漏えいした。
その一方で、以前の攻撃で流出した情報が再び問題になったケースも出ている。LinkedInの事例がその1つだ。
また、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃も再び勢いを増している。マネージドDNSサービスを提供するDynに対するDDoS攻撃は、IoT(モノのインターネット)のデバイスを利用した攻撃だったことが明らかになった。
共通のテーマを1つ挙げるとすれば、攻撃も高度になってきているが、最大の弱点が人間であることは変わっていないということだろう。
提供:Spencer Platt, Getty Images