レッドハットは7月22日、同社が提供している2つのSDS(Software Defined Storage)のアップデートについて発表した。オブジェクト/ブロックストレージの新版「Red Hat Ceph Storage 2」の提供を8月中旬に開始する。ファイルストレージの新版「Red Hat Gluster Storage 3.1.3」は6月に提供済み。
Cephの新版では、オブジェクトアクセスに利用するウェブAPI(Amazon S3互換およびOpwnStack Swift互換)の互換性を高めた。具体的には、オブジェクトのバージョン管理や一括削除が可能になった。また、技術プレビュー版として、分散ファイルシステム「CephFS」を含めた。
Cephの価格は、容量256Tバイトで390万円から。
Glusterの新版では、Dockerコンテナを使ったPaaSクラウド基盤「Red Hat OpenShift Container Platform」と統合し、同環境での動作を保証した。アプリケーションと同様に、GlusterストレージのDockerイメージをオーケストレーションソフト(Kubernetes)を使ってPaaS環境にプロビジョニングできる。新版ではさらに、ノード数の増減に合わせてノード間でデータを再配置するリバランス機能を追加した。
Glusterの価格は、2ノードで195万円から。
Cephはクラウドを志向、Glusterはアプリケーションを志向
同社は、CephとGlusterの2つのSDSを、用途に応じて売り分けている(画面1)。
画面1
Cephは、オブジェクト/ブロックアクセスをベースとする多機能ストレージで、OpenStackを中心としたクラウド環境での使用を想定。一方のGlusterはNAS(CIFS/NFS)ストレージで、WindowsからCIFSで直接マウントできることから、非構造化データを扱うWindowsシステムでの使用を想定している。
レッドハット、プロダクト・ソリューション本部ストレージシニアビジネスデベロップメントマネージャーの和田健一郎氏
レッドハットでプロダクト・ソリューション本部ストレージシニアビジネスデベロップメントマネージャーを務める和田健一郎氏は、「ブロックとオブジェクトの用途にはCephをプッシュし、ファイル用途はGlusterをプッシュする。コンバージド(統合)システムは、まずはOpenShiftとGlusterの組み合わせで提供する」と、2製品の住み分けを説明する。
そもそも、Cephの中核機能は、専用のライブラリを使ってアクセスする、分散オブジェクトストレージだ。特徴は、ファイルオブジェクトの単位でこれを出し入れする使い方だけでなく、ファイルオブジェクトのデータの一部を書き換えるといった操作ができることだ。この上で、ブロックアクセスやファイルアクセスを可能にしている。
Cephではさらに、付属するプロトコル変換ゲートウエイを介することによって、Amazon S3やOpenStack Swiftと互換性のあるウェブ(REST)APIでオブジェクトにアクセスできるようにしている。
一方、Glusterは、NAS(CIFS/NFS)プロトコルや独自プロトコル(FUSE)でアクセスする、分散ファイルシステムだ。メタデータサーバーは存在せず、データはハッシュテーブルに基付いて複数ノードに自動的に配置される。モジュールを追加すれば、OpenStack Swift互換のWeb(REST)APIでアクセスできる。