Red Hatは、マサチューセッツ州ボストンで開催した同社の年次イベント「Red Hat Summit 2015」で、「Red Hat Ceph Storage(RHCS)1.3」と「Red Hat Gluster Storage(RHGS)3.1」を発表した。これにより、ペタバイト級のデータをサポートするソフトウェア定義ストレージのポートフォリオを強化する。
これらはいずれも、商用オフザシェルフ(COTS)ハードウェア上で稼働するように設計されたオープンソースの製品。どちらもデータファーム上でエンタープライズ規模のデータ負荷を取り扱える製品だが、最も採用が進みそうなのはクラウド分野だ。
「Ceph」は分散型のオブジェクトストアおよびファイルシステムであり、ビッグデータを処理するパフォーマンスや、信頼性、スケーラビリティに優れている。RHCS 1.3では以下のような新機能が提供されている。
- 自動リバランス機能の向上:誤配置されたオブジェクトよりも、デグレードしたオブジェクトに重点を置くロジックを採用。
- リバランスの一時的な無効化:パフォーマンス低下の回避を実現。
- スクラビングのスケジューリング:ピークタイムにおけるパフォーマンス変動の抑止。
- オブジェクトのバケットの共有化:ホットスポットの回避を実現。
なお、RHCSは「Amazon Web Services」(AWS)上での無償試用が可能だ。
RHGSは、パブリックやプライベート、ハイブリッドといったクラウド環境に適した直截的なアーキテクチャを有した、スケールアウト可能なファイルストアだ。RHGS(旧称「Red Hat Storage Server」)は、「GlusterFS 3.7」と「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)を組み合わせた製品であり、NFS(Network File System)やSMB(Server Message Block)、HDFS(Hadoop Distributed File System)といったファイルインタフェースをサポートしている。
RHGSの主要な新機能として以下がある。
- 分散されたストレージボリュームに対する消失訂正コードのサポート:破損したデータや消失したデータを、システム上の他の場所に格納されている情報を利用して再構成する機能をシステム管理者に提供(これによりRAIDや複製の必要性を低減し、TOCを最大75%削減できる)。
- ティアリング(階層化)によるデータの自動移送:ボリュームをベースにしたオンアクセスの頻度による、「ホットティア」と「コールドティア」の間でのデータの自動移送を実現。
- bit rot(ビット腐敗)の自動検知:メディアの経年劣化等で発生したストレージ上のデータ破損を検知するための定期的なデータのスキャン機能(これによりエンドツーエンドでのデータの保全性が向上する)。
- セキュリティの強化:SELinuxのEnforcingモードと、SSLベースのネットワーク暗号をサポートすることによる全体的なセキュリティの強化、および「NFS-Ganesha」プロジェクトをベースにしたアクティブなNFSv4のサポート。
RHGSは2015年の夏に利用可能になる予定だ。またRHGSもAWS上での無償試用が可能となっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。