新日本有限責任監査法人などで構成するEY Japanは3月10日、調査「オムニチャネル時代のためのサプライチェーン再構築」の結果(PDF)を公表した。調査は、大手消費財・小売企業のサプライチェーン担当上級管理者42人を対象に調査した。グローバルな消費財流通業界のネットワークであるThe Consumer Goods Forumの協力を得てEYが実施した。調査を補完するために一部の回答企業を対象にインタビューしている。
調査によると、サプライチェーンを変革しない限り、オムニチャネルでの採算を確保できる企業はほとんどないことがわかるという。オンラインや実店舗など複数のプラットフォームにまたがるシームレスなサービスを消費者に提供できるオムニ戦略が、企業の競争優位の源泉となることが明白と説明。その一方で自社のオムニチャネル施策で収益性が向上すると答えた企業はわずか38%だったとしている。
2014~2019年のオンラインでの売り上げの年間成長率予測(グローバル)は15%にも及び、この需要を満たすため、単に従来の電子商取引(EC)を増強するだけではなく、サプライチェーンを根本的に変革する必要があるとしている。
EYのサプライチェーン&オペレーショングローバルリーダーのAndrew Caveney氏は「消費財・小売企業は、オムニチャネルとサプライチェーンの再構築に優先的に取り組み、消費者と株主の両方にとって意味のある存在であり続けなくてはならない」とコメントしている。
変化する消費者のニーズと期待を把握するためには、オムニチャネルをオペレーションの中心に据え、新しいテクノロジの導入でサプライチェーン全体の可視化を実現し、自社が価値を付加できるポイントを分析する必要があるという。だが、消費者のニーズに応えるために不可欠である柔軟なシステムを整備する戦略があると答えた企業はわずか24%にとどまる。
The Consumer Goods Forumのサプライチェーン・ディレクターであるDavid Jones氏は「最も重要なのは、消費者を知ることと即応性と効率性のバランス。これは一朝一夕で解決できる問題ではなく、会社の構造からシステムまで、あらゆるものを徹底的に見直すべきケースもある」と提言している。