過去10年間にわたるIBMの深刻な業績不振は公然たる事実である。2014年度の売上高は、15年前である1999年度の875億5000万ドルをわずかに上回る927億9000万ドルに終わった。また、前四半期におけるIBMの業績はMicrosoftのそれを下回り、IBMの経営陣はSteve Ballmer氏の後塵を拝する結果となった。
IBMが株価上昇を狙って数々の金融工学を駆使していることもまた、公然の秘密である。同社はビジネス自体を成長させる代わりに、2015年末までに1株あたり利益(EPS)を20ドルまで引き上げることを目論んでいたが、最高経営責任者(CEO)のVirginia Rometty氏は2014年10月に第3四半期の業績を発表した際、この計画を放棄した。
IBMのCEO、Virginia Rometty氏
提供:IBM
IBMは自社株買いを進めているが、それに伴う債務は現在410億ドルに達している。にもかかわらず、最新の業績発表を受けて株価は14%も下落した。その結果、Bloomberg Businessによると、IBMはNYダウ工業株30種平均における最下位を2年連続で獲得することになった。
IBMの経営陣は業績不振を受け、2013年度の賞与を辞退していた。しかし、2014年度も業績不振に改善の兆しがみられなかったにもかかわらず、CEOのRometty氏は莫大な賞与を手にすることになった。Rometty氏に業績賞与が支給される事実をIBMの資料から発見したのは、BloombergのAlex Barinka氏だ。それによると、Rometty氏は6.7%昇給し160万ドルの給与を受け取るのに加え、360万ドル(1カ月あたり30万ドル)の業績賞与も収得する。この賞与は、純利益(60%)、収益成長率(20%)、フリーキャッシュフロー(20%)に基づいている。深刻な業績不振の中でこれほどの賞与が支給されるのだとすれば、もしもIBMがAppleのような好業績を挙げたとしたら、Rometty氏はいったい幾らの賞与を受け取ることになるのだろうか。