本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、アクセンチュアの立花良範 マネジング・ディレクターと、米OracleのDoug Hughes バイスプレジデントの発言を紹介する。
アクセンチュアの立花良範 マネジング・ディレクター
「デジタルマーケティングはまず目的を再定義することが肝要である」 (アクセンチュア 立花良範 マネジング・ディレクター)
アクセンチュアが先ごろ、最新調査をを踏まえたデジタルマーケティングの動向について記者説明会を開いた。同社デジタルコンサルティング本部のマネジング・ディレクターを務める立花氏の冒頭の発言は、その会見で、デジタルマーケティングに取り組むうえで最初に取り組むべきことを強調したものである。
立花氏はまず、アクセンチュアの考えるデジタルマーケティングについて、「実店舗や営業所といったリアルチャネルとシームレスに連携しつつ、認知から購買に至る販促にとどまらず購買後の利用まで含めたカスタマーライフサイクル全体を通じて、商品やサービスにまつわるあらゆる体験を、デジタルの特性を生かしてインタラクティブに提供すること」と説明し、「それ自体が企業と顧客との新たな関係性となり、デジタル時代のビジネスの土台となる」と位置付けた。
最新調査としては、日本を含むグローバル企業のマーケティング部門およびIT部門の上級幹部1147人を対象に同社が実施した「CMO-CIO調査2014」の結果を紹介。その要旨として、「多くの回答者が両部門の連携の重要性を認識しているが、実際の関係性については日本が最も隔たりがある」「デジタルマーケティングへの準備状況は日本がやや立ち後れており、リソースや予算不足に課題がある」といった点を挙げた。
そのうえで立花氏は、デジタルマーケティングのあるべき方向性として、「まずは目的を再定義したうえで、マーケティングの投資・予算、組織・機能、テクノロジなどの経営リソースの確立を徐々に固めていくことが肝要だ」と語った。冒頭に挙げた発言は、このコメントのエッセンスである。ちなみに「再定義」と表現しているのは、従来のマーケティングの定義を見直すことを意味している。