複数のインターネット管理団体が、IPv4アドレスブロックの割り振りが終了したことを正式に発表しました。IANA(Internet Assigned Numbers Authority)は最後のIPv4アドレス5ブロックが5つの地域インターネットレジストリ(RIR)に割り振りました。そしてRIRがISPにこれらのIPアドレスを分配し終えたら、これでIPv4アドレスの在庫が尽きる見通しです。
もちろんこうした事態は以前から指摘されていましたが、残りのアドレスブロックをこれほど早く使い切ってしまうとは予測されていなかったようです。Internet Corporation For Assigned Names and Numbers(ICANN)のCEOを務めるRod Beckstrom氏は、「今回の件は、IPv6の導入が最重要課題となったことを意味する」という声明を発表しました。
次世代IPアドレス規格である「IPv6」は128ビットのアドレス空間を持ち、アドレス数がほぼ無限と言われています。IPv6への移行はスムーズに進むのでしょうか。また企業にとってIPv6の導入にはどのような課題があるのでしょうか。パネリストの皆さんのお考えを聞かせてください。
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清水亮さん (株式会社ユビキタスエンターテイメント 代表取締役兼CEO)
ついに来るべきときが来たという感じですね。
ただ「ほぼ無限」に感じられるIPv6も、普及すると予想もしないような使われ方(例えば地図上の区画ごとにひとつのIPアドレスを割り当てるとか家電製品全部に割り当てるとか)をされる可能性があるので、本当にほとんど無限かどうかはわからないと思いますが、そのぶん、ラディカルに固定IPアドレスを世割り当てた機器が出てくると面白くなってくると思います。
今まではDHCPが中心だったところをグローバルな固定IPアドレスが主流になることで、分散コンピューティングや家庭用サーバーとして使えるマシンが増えてくるでしょうね。例えばテレビの録画予約などは、まだ外部にサーバーが必要な場合が多いのですが、これを直接自宅のテレビに固定IPで接続できるようにすると、今まででは実現できなかったような過激な機能が実現できるようになるでしょうね。
例えば外出先から自宅のテレビに直接接続して、「いまこんな場所に居るんだよ」とライブ中継をしたり(テレビ電話は見る側と見せる側がハッキリ分かれればもっと普及する可能性があると思っています)、テレビに録画した番組を外出先からスマートフォンで直接視聴したり、海外旅行したときに旅先のホテルから自宅のビデオデッキに繋いで日本のテレビ番組を見るとか(VODじゃダメなのかという話はさておき)、外出先から自宅のエアコンの電源をオンオフするとか、いわゆる「夢にまで見た未来生活」を実現するためにはそろそろいいタイミングなんじゃないかなと思います。
電脳コイルの電脳メガネ、みたいなものを実現するためには、理論上は人口と同じだけのIPアドレスが必要になるはずなので、来るべき時代のための準備が始まったということではないでしょうか
2011-02-04 11:28:57