伊織:原則として事務局はこのような利用を監視することはしません。利用許諾範囲を超えた利用について、コントロールする権限は権利者にしかない。ですから基本的には、利用条件の範囲外で使っているものについて、権利者からそのユーザーに「やめてください」と言ってもらいます。
ただ、両者とも当社のサービスのユーザーですから、利用条件を完全に無視して使っているということになれば、ニコニ・コモンズのサイト利用者としての権利を停止したり、注意したりするという措置はあると思います。
伊織:現状(の管理規模)では無理だと思っています。将来的に可能性はありますが、まだ検討段階ですね。
木野瀬:そういうニーズが出てきた段階で、メニューを用意することになるかと思います。
伊織:難しいですね。それは今でもあります。ニコニ・コモンズだけでなく、クリエイティブ・コモンズに登録されているものであっても、それが本当にオリジナルなのかという疑問はあります。ただ、それを発表することによって、ある程度ユーザー自身が責任を持っている部分があります。そこで他人のものを自分のものだと主張して権利侵害をするような人はそんなにはいないとは思います。
伊織;基本的に介入はしません。原著作物を使った二次創作物かどうかは、我々が判断することではないと思います。アイデアだけをもらった全く別の作品かもしれませんし、二次著作物かもしれませんし、単純な複製かもしれない。その判断は、それぞれでしていただきたいと思っています。
ニコニ・コモンズに登録された作品が誰かの著作物を使った二次創作物で、それを載せることに対して原作者の許諾を得ていないということで紛争が起きれば当事者間で解決していただきます。
ただ、著作権侵害作品については著作権者がサイトから報告、削除依頼ができるようになっていますので、それが確認できれば公開を停止します。疑わしい場合には登録者に確認したり、場合によっては当事者間で話し合いをしてもらうことになります。
伊織:いまはニワンゴの中に置かれているので、ニワンゴのメンバーが実質的に担当しています。ただ、「コモンズ」ということでもあり、ニコニコだけのための存在にはしたくないなと思っていて、将来的にはもう少し中立的、独立的な組織体にすることを考えています。
伊織:そうですね。
伊織:昔は自分で作品を作ってメジャーになりたいと思ったら、それをいろんなところに持ち込む必要があった。顧客になるであろう以外の人たちの目によってフィルタリングされて、やっと世の中にでるというプロセスだったと思います。それが、ネットの登場で直接発表する場ができてきた。そうすると、自分の作品の評価を一般の利用者に問うことができるので、そういうニーズはこれからもどんどん増えてくると思います。
ただ、自分のサイトで発信していても、なかなかサイトに人が来てもらえなかったりする。ネットによって可能性が生まれたけれども、実際には人が来てくれないという状況があります。
そうした人たちがニコニ・コモンズにどんどん集まってきてくれたり、もしくは1つの作品を、文章が得意な人、絵が得意な人、曲が作れる人といったような人たちが集まって作ったりしていけば、活発なサイトになるのかなとは思っています。
ユーザーやクリエイターにとって使いやすい機能をどんどん付けていって、喜んでもらえば自然とサイトとしては大きくなるのかなと思っているので、機能追加によってサイトを盛り上げていこうと思っています。
木野瀬:いままでのアナログビデオテープなどは、「コピーを防いでなんぼ」という世界ですが、ニコニ・コモンズは全く逆で、「コピーされてなんぼ」という態度でいたいと思います。コンテンツがコピーされることが宣伝になる、という、インターネットの新しい著作物のあり方が出てくると思うので、その器を作ることで概念が浸透すればいいですね。
あとは、一般家庭で結婚式のビデオを作ったり、子どもの運動会のビデオを編集したりするときに、音楽やアイキャッチを入れたいというニーズがあると思うんですよね。そういうときにフリー素材だけでなく、ニコニ・コモンズの素材を使ってもらえたら嬉しいですね。
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