伊織:作品を登録すると、どうしてもその作品を改変して使うということになってしまうと思うのですが、たとえばキャラクターの場合、個別の作品ではなく、「このキャラクターなら使っていいよ」というような形で、包括的なライセンスができるようにしたかったので「宣言のみ」というものを用意しました。そのほうがユーザーもいろいろなことができると思います。
ただ、「宣言のみ」が素材作品と排他的な関係にあるのではなく、宣言と同時に、そのキャラクターのイラストを素材として公開しても構いません。(株式会社インターネットの歌声合成ソフトである)「がくっぽいど」はそのような形になっていますね。
伊織:参考にさせていただいた面もあります。ただ、素材を投稿して許諾するというだけではなく、形のないものにも対象を広げて、ユーザーが相互に使いやすいような形にしようと思っています。
ライセンスパターンもこれだけなのかというとそうではなく、将来的には増えていくと思います。素材だけではなく、プログラムなどが入る可能性もあります。開発の都合もあってなかなか一度には提供できなかったので、だんだん増やしていきたいと思っています。
伊織:クリエイティブ・コモンズと相反するものだとは思っていません。我々はニコニ・コモンズに登録された素材がクリエイティブ・コモンズライセンス下のものでもかまわないと思っています。ただ、我々のようにサーバで集中管理したほうがいいのか、著作権者が自分でサイトを開設して、そこで素材にクリエイティブ・コモンズライセンスをつけて配布したほうがいいのかという点については、いろいろな考えがあると思います。それは1つに統一しなければいけないというよりも、クリエイターが要望によって使い分ければいいと思います。
大橋:やりたいことがたくさんありすぎて、どこから手をつけるかという話をまとめるのと、どういうデザインにすればユーザーにとって最もわかりやすいかというのを検討するのが大変でした。結局、「これがあればリリースできる」という基本的な機能を絞り込んでリリースしました。
例えばユーザー間のメッセージのやりとりとか、好きなクリエイターをお気に入り登録して、その人が何かアクションをしたら通知が来るとか、もっとクリエイターの人が創作活動をしやすい機能を入れていきたいな、と思っています。。
伊織:ただ、ニコニコ動画自体がユーザーに育てていただいたというところもあるので、我々が本当に納得できるような形になるまでじっくり時間かけて開発するというよりも、まずはユーザーに使っていただいて、いろんな希望を拾い上げて当初のコンセプトに組み込んでいくほうが、結果的にはいいと思っています。今回はまず、皆さんに使っていただけるレベルのものをリリースしたという感じです。
木野瀬:「みんなで使ってもらいたい」という素材を登録するサイトオーナーの方が結構いらっしゃることがわかりました。同時に、それを使って新しい素材を作るクリエイターの方もいて、そういう方たちの交流の場になったので、これまで想定していなかったような素材提供型コラボレーションサイトのような感じにもなって面白いですね。
あとは、キャラクターがいつのまにかできていたことにも驚きました。「こもんちゃん」のようなキャラクターがいくつかできていて、それらが切磋琢磨していくエコシステムができているのが面白いですね。
伊織:ニコニコ動画のように、投稿できるのが動画だけということになると、なかなかオリジナルのものを作って公開するのはハードルが高いんですが、音声や画像、写真なども扱えるようになって、ユーザーの裾野が広がったのかなという気はしています。
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