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エンタープライズ2.0企業のソーシャルテキスト、MSの市場参入にもオープンソースで対抗 - (page 3)

藤本京子(編集部)2006年06月21日 22時49分

--SAPをはじめとして資金調達も順調なようですが、どのような分野に投資していますか。

 製品開発とカスタマーサポート、そして営業が中心ですね。また、ヨーロッパにサーバを設置し、今度はアジアにもサーバを設置する予定です。

 これまでSocialtextでは、カリフォルニアにホスティングサーバを1台、東海岸にバックアップサーバを1台用意していました。ヨーロッパのサーバは、ヨーロッパからアクセスした際のパフォーマンスを向上させるためのものです。これと同じように、アジアにサーバを設置する準備を進めています。すでに2年前から日本にもSocialtextのユーザーがいますから、アジアにサーバを立てることでパフォーマンスが改善されます。ヨーロッパにサーバを置いた際には、パフォーマンスが約5倍となりました。パフォーマンスの向上は、アプリケーションのユーザビリティに大きな影響を与えますから、非常に大切なことです。

--もしどこかがSocialtextを買収したいと打診してきたらどうしますか。

 これについてコメントすべきかどうか難しいですね。ただ、われわれは会社を売るために運営しているのではありません。この事業を成功させ、会社として成長するために運営しているのです。もちろん、世の中には、Socialtextのような企業を買収することでメリットがありそうな企業も多いので、万が一打診があればそのオファーの内容を見て検討はしてみますけどね。

--実際にどこからかアプローチはありましたか。

 もしあったとしても、その点についてはコメントできません。しかし、会社を運営するということは、売却先を探すことではありません。もし売却先を探すようになったら、それはすでに会社を運営していないことになります。

--IPOは考えていますか。

 ベンチャーキャピタルからの投資も入っていますから、もちろん考えています。それがいつになるかは、市場の状況などを見極めた上でのことになりますが。今はテクノロジ企業に対して株式市場が懐疑的になっているだけでなく、コンプライアンスのコストもかかるため、IPOするための条件が非常に厳しいのが現状です。SOX法準拠だけでも、年間約200万ドルほどかかるのではないかとされていますしね。こうした新しい法規制のため、多くの企業がIPOをためらっています。

--今ライバル視している企業はどこでしょう。

 JotSpotでしょうか。Jotspotは、アプリケーション開発環境にフォーカスしたWikiを提供しており、スクリプト言語を使ってWikiの中にあるアプリケーション機能を開発できます。手がけている分野が少し異なるものの、Wikiプロバイダーとしては競合です。

 また、MicrosoftやIBMもこうした市場に乗り出そうとしています。われわれが現在オープンソース版Socialtextのリリースに力を注いでいるのもそのためです。ただ、Microsoftが参入すると、市場は急速に伸びます。つまり、われわれが過去3年間やってきたことが、より注目を浴びることになり、ファイアウォールに守られた環境でブログやWikiを使う際のプレミアオプションとしてSocialtextが選ばれることになるでしょう。

--Microsoftはこのところ、ベンチャー企業の後を追うようにしてさまざまなサービスを提供し始めていますね。Microsoftの市場参入に対して脅威を感じないのか、ベンチャー企業に質問すると、皆Microsoftの動きを歓迎しているように思えます。

 その通りです。Microsoftが注目する市場に一足早く参入していたと証明するようなものですから、顧客にとっても一歩先を行くベンチャー企業は魅力的に写るはずです。

--Socialtextの成長を阻害するものがあるとすれば、それは何でしょう。

 予期せぬことがいつどんな形で起こるかはわかりませんから、何とも言えませんが、この市場について言えるのは、すでにブログやWikiがコンシューマー市場で成熟しつつあることです。こうなると、企業での採用の際に「ブログとは何か」「Wikiとは何か」といった教育が必要ないので、企業での利用も促進されると思っています。コンシューマー市場が、エンタープライズ市場をより発展させるのではないでしょうか。PCやメール、LAN、IMなども、すべてコンシューマー市場からのボトムアップで採用が広まりました。このパターンがWikiにも当てはまると思っています。

--Socialtextは将来どのような企業になるのでしょう。

 Socialtextとしては、グローバルなソーシャルソフトウェア企業となるのが目標です。将来的にほとんどの企業はWikiを使うことになるでしょう。それがSocialtextのWikiであるかどうかはわかりませんが、Wikiは人々のワークスタイルを変えるものだと考えています。その中で、市場をリードする位置づけでいたいですね。

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