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エンタープライズ2.0企業のソーシャルテキスト、MSの市場参入にもオープンソースで対抗

藤本京子(編集部)2006年06月21日 22時49分

 ウェブ上でグループ編集機能を持ち、そのシンプルさと柔軟性からコラボレーションツールとして利用が広がりつつあるコンテンツ作成ツール「Wiki」。多人数が参加する形でコンテンツを作るWeb 2.0的なこのツールは、すでに辞書の「Wikipedia」などコンシューマー市場では普及が進んでいるが、そのWikiを企業向けに提供するのがSocialtextだ。

 Socialtextが設立されたのは2002年。まだWikiを知る人も多くなかった頃である。しかし、同社は順調に業績を伸ばし、創業半年後には利益を生む企業となっていた。また、2005年10月には、大手ERPソフトウェアベンダーSAPのベンチャー投資部門SAP Venturesから85万ドルの資金提供を受け、注目を集めた。

 Socialtextの創業者で最高経営責任者(CEO)のRoss Mayfield氏によると、Socialtextのユーザー企業はすでに1000社を超えているという。Socialtextの特徴や同社の方向性について、Mayfield氏に聞いた。

--実は、CNET Japan・ZDNet Japanの編集部でもオープンソースのWikiを利用しています。オープンソースでも特に問題なく使っていますが、有料でSocialtextを利用するとどういったメリットがあるのでしょう。

Ross Mayfield氏 Socialtext 創業者 兼 CEOのRoss Mayfield氏

 オープンソースのWikiは数百種類もあるので、どれを利用しているかにもよりますが、Socialtextはシンプルで簡単に使えるということが利点のひとつです。商用に製品を提供する場合、ユーザビリティにフォーカスするのは当然ですけどね。オープンソースコミュニティは自ら技術スキルの高い人が多いので、素人でも使えるようにしようというモチベーションが若干欠けていますが、SocialtextはインターフェースもWYSIWYGですから、文字を大きくしたり飾り付けた場合も、ワープロソフトのようにその場で確認できます。

 また、Socialtextのプラットフォーム上にはブログ機能も設置しています。このブログは、Wikiのアクセス権を持った人だけに公開できます。一般公開しているブログと違って、Socialtext内に設置されたブログは外部からはアクセスできないので、グループ内の情報交換にも便利です。また、これはWikiらしい点なのですが、そのブログに間違い等があった場合、コメントで指摘するだけでなく、直接編集することもできます。

 さらに、Socialtextではメールでテキストを送ってWikiに投稿することも可能です。よく仕事で多くの人にCCでメールを送ることがありますよね。その中にはメールの内容にあまり関係のない人が含まれていることも事実です。こうしたメールを「職業的スパム」と呼びますが、Socialtextはこの課題を解決できます。例えば、直接関係ない人にもグループ内で起きていることを知らせるためだけにCCでメールを送りたい場合、CCの宛先をWikiにすれば、必要な時だけWikiから参照できるのです。もちろん、ファイルを添付して送ることも可能です。

 メールでWikiが更新されたことを通知する機能もあります。自分に必要なトピックだけ更新通知がほしいといった設定もできます。RSSでカテゴリーやページごとに更新通知を受け取ることもできます。

 Socialtextにはモバイル機能もあります。Wikiのモバイル版ということで「Miki」と呼んでいますが、「Blackberry」をはじめ、ブラウザ機能のついたさまざまな携帯電話に対応しています。

 また、実際にはWikiをどのように使っていいのかわからない企業も多いので、コンサルティングも実施しています。使い方は決め付けないほうがいいですね。

--どのような企業がSocialtextを採用しているのでしょう。

 大企業から中小企業、部署単位など、さまざまなケースがありますね。NokiaやZiff Davis Media、Kodakなどの企業もSocialtextのユーザーです。

 採用のきっかけとして多いのは、当初小規模のグループでオープンソースのWikiを利用していたものの、社内全体で技術的に詳しくないユーザーも含めて利用したいから、というケースですね。また、ITに詳しくない部署がグループ単位でSocialtextのASP版を利用したのち、もっと大規模に運用したいということでIT部門がアプライアンスとして購入するケースもあります。

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