チタン酸ジルコン酸鉛
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チタン酸ジルコン酸鉛(チタンさんジルコンさんなまり、lead zirconate titanate, PZT)は三元系金属酸化物であるチタン酸鉛とジルコン酸鉛の混晶である。東京工業大学の高木豊、白根元、沢口悦郎らにより1952年に発見された。
解説
[編集]組成式は (実際にはPb(Zr,Ti)O3)で、x = 0.525 付近に正方晶と菱面体晶とのモルフォトロピック相境界が存在し、その近傍の組成において最も大きな圧電特性を示す[1]。結晶構造はペロブスカイト構造であり、巨大な誘電率および圧電性、強誘電性をもつ。
利用
[編集]その大きな圧電性からアクチュエータやセンサなどの圧電素子に多く用いられて、振動エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換するため、振動吸収材としても使用される[2]。また、強誘電性を用いた強誘電体メモリ (FeRAM) に用いるための研究[3]も活発である。
RoHS指令
[編集]鉛を含有する特定有害物質であるが、現在のところ圧電材料として代替できるほどの特性を持ったものが他に存在しないため、RoHS指令の適用免除対象となっている[4][5]。
脚注
[編集]- ^ 笠井紀宏、尾崎義治、志賀大介、金属アルコキシドからのPb (Ti, Zr) O3前駆体ゾルの合成 Journal of the Ceramic Society of Japan.(日本セラミックス協会学術論文誌) 96巻 (1988) 1110号 p.140-145, doi:10.2109/jcersj.96.140
- ^ 徐用教、宮山勝、柳田博明、PZT圧電セラミックスによる振動吸収 Journal of the Ceramic Society of Japan. (日本セラミックス協会学術論文誌) 102巻 (1994) 1181号 p.48-52, doi:10.2109/jcersj.102.48
- ^ 中村孝、Pb(Zr,Ti)O3膜による強誘電体メモリーの開発 応用物理 67巻 (1998) 11号 p.1263-1269, doi:10.11470/oubutsu1932.67.1263
- ^ 田辺佳祐、鎌田太郎、外間一竹 ほか、PVDF/MWNTナノコンポジットによる圧電型ひずみセンサの創製と性能評価 日本機械学会論文集A編 79巻 (2013) 801号 p.563-572, doi:10.1299/kikaia.79.563
- ^ EU RoHS指令対応について 富士通セミコンダクター 2016年8月1日