超弾性(ちょうだんせい、Hyperelasticity)とは、物体を構成する物質の力学的特性の数理的表現のひとつであり、ひずみエネルギー密度関数(単位体積あたりのひずみエネルギーを表す弾性ポテンシャル)を有することが特徴である。超弾性を有する物質を超弾性体とよび、ゴムの最も簡易なモデルとして登場したことに由来して、数十%~数百%の大ひずみ状態を想定している。
弾性とは、ある位置の応力がそこの変形勾配で決まる性質を表す。このときの応力は、第一ピオラ-キルヒホッフ応力を用いると、
と書ける。
特別な場合として、ある変形区間での応力による仕事が、初期における状態とにおける状態のみに依存して、変形の経路に非依存なとき、この性質を超弾性という。経路非依存性より、以下に示すポテンシャル関数が得られる。
と考えると、は
と書ける。
これを:と比較すると、は
と書ける。結局、
と表される。ここで、
より、をの関数として表す。
より、第二ピオラ-キルヒホッフ応力について同様の式展開を行うと、
となる。
まず、で表記したの式を次のように変形する。
非圧縮性を有することから、をに代入して、
を得る。二つの式を比較して、
を得る。今、は任意の係数を表す。微圧縮性の場合はのままの方が便利なので、を代入していない。変形すると、
ここで、と定義すると、
上の結果から、とは
のときにのみ一致する。これは、となるときに成立する。ここで、によって新たな関数を定義する。を用いると、となることが次のように示される。
ここで、
を用いた。
非圧縮性の場合、をで代替できるため、の式は次のように表される。
偏差成分は、
である。通常は、とは等しくないが、非圧縮性を有する場合、より成立する。
- 京谷孝史『よくわかる連続体力学ノート』森北出版、2008年12月。ISBN 978-4-627-94811-2。
- 社団法人 土木学会 応用力学委員会 編:いまさら聞けない計算力学の常識,丸善,2008.
- Bonet, Javier; Wood, Richard D. (2008). Nonlinear Continuum Mechanics for Finite Element Analysis (2nd edition ed.). Cambridge University Press