組織内議員
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(組織内候補から転送)
組織内議員(そしきないぎいん)とは、国会議員選挙・地方選挙において、特定の労働組合・業界団体・宗教団体・当事者団体等の各種団体の執行部が団体関連者から選定し、団体の投票先(組織票)、推薦や支援を決めた特定の候補や議員のこと。団体が直接的に関与する場合もあれば、「有志が結成した」という体裁で団体の関係団体や政治連盟などを介して推薦や支援を行う場合もある。当選前は組織内候補と呼ばれる[1][2][3][4][5][6]。
準組織内議員(準組織内候補)というのもある[7][8][9][10]。
政党別組織内候補輩出団体
[編集]主に日本における業界団体や労働組合など、ある組織を出身・支持母体とする国会や地方議会の議員[11]として、下記の例である。下記のように組織内候補を出している連合傘下の産別の源流は、旧社会党を支持した公務員労組中心の総評、旧民社党を支持した民間労組の同盟、両者に属さない中立労連の3つに大きく分けられる[12]。
- 国会議員を組織内議員として輩出してきたは、集票数順に全日本自治団体労働組合(自治労)、日本教職員組合(日教組)、日本郵政グループ労働組合(JP労組)[16]、情報産業労働組合連合会(情報労連)、日本私鉄労働組合総連合会(私鉄総連)である[17]。そして、2019年から労組間で交互支援[18]を行っているJAM(ものづくり産業労働組合)と日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)からも、両労組が2022年に国民民主党から支持替えを行った後は輩出している[17]。立憲民主党は、自治労・日教組・情報労連・JP労組など地方公務員系労組や旧公社労組、私鉄総連といった総評加盟労組を日本社会党から引き継いでいる[19][20][21][12]。政治学者の中北浩爾によると1996年の民主党結成後も自治労、日教組、私鉄総連など総評系労組の一部は社会民主党(日本社会党の改称後)を支持していた[22]。
- 国会議員選挙に組織内候補を輩出しているのは、全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)、全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会(電気連合)、全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(UAゼンセン)など同盟に加盟していた民社党系労組と旧中立労連系の6つの民間企業労組であり、左派色の強い公務員労組が主体の旧社会党系労組とは親和性[12]が低い特徴がある[19][21][23][3][12]。上述のように、JAM(ものづくり産業労働組合)と日本基幹産業労働組合連合会(基幹労連)からも2019年の参院選までは同党の組織内候補として立候補されていた[17]。地方議員には全国交通運輸労働組合総連合(交通労連)などもある[6]。
- 民主青年同盟・新日本婦人の会など共産党系の市民団体や労働組合[24]。全労連結成による総評へ加盟していた労組内の日本共産支持派の離脱がおきた1989年[25]よりも前は、総評加盟労組内でも日本共産党支持のメンバーのが多い地域の際には、地方議員でならば1984年時点で日本共産党への組織内議員として輩出されていた[26]。総評内部にある日本社会党支持派と日本共産党支持派は対立しており、基本的に総評内部労組は日本社会党支持派が「主流派」で日本共産党支持派は「非主流派(反主流派)」の少数派であった[27]。そのため、国会議員については、日本社会党が「総評政治部」と呼称されているように総評加盟労組からの組織内議員は社会党所属者のみである[26]。
出典
[編集]- ^ デジタル大辞泉. “組織内候補とは”. コトバンク. 2021年10月25日閲覧。
- ^ “[早わかり 参院選Q]組織内候補とは?…業界団体・労組の擁立候補 : 参院選2019 : 参院選 : 選挙・世論調査 : 読売新聞オンライン”. www.yomiuri.co.jp. 2021年10月25日閲覧。
- ^ a b “立憲・国民で明暗分かれる/連合組織内候補/参院選で10人中8人が当選”. 連合通信社 (2019年7月24日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ “組織内候補(そしきないこうほ)の意味 - goo国語辞書”. goo辞書. 2021年10月25日閲覧。
- ^ “第17回統一地方選挙「労連組織内地方議員候補者の推薦について」”. 交通労連へようこそ (2011年3月30日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ a b “政治への関わりについて”. 交通労連へようこそ. 2021年10月25日閲覧。
- ^ “辻󠄀元清美準組織内国会議員が再度、タク議連会長に就任”. 私鉄総連 (2023年5月2日). 2024年11月26日閲覧。
- ^ “組織内議員・準組織内議員 – 日本郵政グループ労働組合 近畿地方本部”. 2024年11月26日閲覧。
- ^ “”すべての地域で安心・安全の介護実現を” 国会・地方議会の組織内・準組織議員の情報交換会をWeb開催”. UAゼンセン. 2024年11月26日閲覧。
- ^ “赤松さん、藤田さん 当選おめでとう!”. www.unyuroren.or.jp. 運輸労連. 2024年11月26日閲覧。
- ^ デジタル大辞泉. “組織内議員(ソシキナイギイン)とは? 意味や使い方”. コトバンク. 2024年11月26日閲覧。
- ^ a b c d “苦悩深める旧同盟系・中立労連系産別 国民民主党の低迷色濃く”. 産経ニュース. 2021年10月25日閲覧。
- ^ “【知ってる?参議院】業界団体 組織内候補 集票に陰りも”. 西日本新聞me. 2021年10月25日閲覧。
- ^ “【図解・政治】参院選/主な業界・労組系候補の集票力(2016年7月):時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2021年10月25日閲覧。
- ^ “【政界徒然草】かつての創価学会青年部も今は昔… 様変わりする公明党の若手候補と、強まる井上幹事長の存在感”. 産経ニュース. 2021年10月25日閲覧。 “実際、神崎武法常任顧問が党代表を務めていたころから、参院選での比例票上積みを狙い、学会出身者以外を擁立する傾向は見られた。”
- ^ 日本郵政公社における旧同盟系労組と旧総評系労組の2労組が2007年に統合されて発足した。
- ^ a b c 倫之, 千葉 (2022年7月15日). “連合、集票力低下が顕著 立民・国民の「股裂き」響く”. 産経新聞:産経ニュース. 2024年11月26日閲覧。
- ^ 単身では組織内候補を当選させられなくなっており、2016年の参院選挙では両労組内候補が落選した。そのため、2019年から両労組は協力関係にある。2019年はJAMの組織内候補を基幹労連も支援、2022年は基幹労連の組織内候補をJAMも支援する形式をとっている。
- ^ a b “組織内候補、立民・国民分裂へ”. 日本経済新聞 (2018年9月7日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ 立憲民主党. “枝野代表、JP労組組織内候補予定者の柴慎一副中央執行委員長らと懇談”. 立憲民主党. 2021年10月25日閲覧。
- ^ a b “立民、次期参院選でJP労組の組織内候補擁立”. 日本経済新聞 (2018年6月19日). 2021年10月25日閲覧。
- ^ http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/hikaku/pdf/200806.pdf
- ^ “連合組織内議員、分裂決定的に 民間労組3氏が国民加入:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2021年10月25日閲覧。
- ^ 【日本共産党】p31,筆坂秀世,2006年
- ^ “連合ってなに?(上智大学教授:中野晃一)”. POST. 2024年11月26日閲覧。
- ^ a b 現代日本の地方政治家: 地方議員の背景と行動 - p 30 ,黒田展之, 1984年
- ^ 戦後革新勢力の対立と分裂 - 法政大学 学術機関リポジトリ