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家伝薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

家伝薬(かでんやく)とは、代々続く旧家などに伝えられている独特の民間薬

医師の家では勿論のこと、神官や僧侶、武家などの家で伝えられることが多く、中には神仏や河童と言った伝承上の生き物、空海(弘法大師)などの僧侶によって伝授されたとする「言い伝え」が付与されることもあった。近世には家訓と並んでその家において代々大切に伝えられた。

その製法については門外不出とされることが多かったが、江戸時代幕府が幕府の御典医などに製法の公開・頒布を求めて民間の医療の質を高めようとした。また、民間でも処方を秘したまま家伝薬を商品化して販売するケースが現れ、後の製薬業のルーツとなった。

近代以降も家伝薬が商品化されたものが販売されていたケースがあるが、1943年1948年薬事法改正によって製薬に関する許可制度が強化され、家伝薬の製造・販売が困難となって廃止されたものが多い。

参考文献

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  • 蛸島直「家伝薬」(佐々木宏幹・山折哲雄『日本民俗宗教辞典』(東京堂出版、1998年) ISBN 978-4-490-10481-3
  • 吉岡信「家伝薬」(福田アジオ 他/編『日本民俗大辞典 上』(吉川弘文館、2000年) ISBN 978-4-642-01332-1
  • 石川純一郎「家伝薬」(小島美子 他/監修『祭・芸能・行事大辞典』(朝倉書店、2009年) ISBN 978-4-254-50013-4