厨川文夫
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厨川 文夫(くりやがわ ふみお、1907年7月30日 - 1978年1月16日)は、日本の英語・英文学者。文学博士(論文博士・1950年)(学位論文『古英詩研究』)。慶應義塾大学名誉教授。従四位勲三等旭日中綬章。
来歴
[編集]第五高等学校で教えていた英文学者・厨川白村(辰夫)の長男として熊本に生まれる。母・蝶子は福地源一郎の次女[1]。1923年関東大震災で父を失う。京都府立第三中学校から東京へ移って芝中学校卒、慶應義塾大学で西脇順三郎に学び、1931年卒業、助手となる。在学中に『ベーオウルフ』を翻訳、1932年に大学紀要に載せて岡倉賞を受賞。1942年文学部助教授、1945年教授となり、古代・中世英語を専攻した。
1949年最初の妻と離婚し、1949年、医師・広瀬季雄の娘・圭子と結婚。1950年『古英詩研究』で文学博士。1967年、ウォルター・ヒルトンの翻訳で福沢賞受賞。1968年慶應義塾大学言語文化研究所長、1973年定年退職し名誉教授、成城大学教授となる。定年の二ヵ月前に亡くなる。
妻の厨川圭子も英文学者で、『アーサー王の死』を共訳している。門下に江藤淳・安東伸介・高宮利行らがいる。
著書
[編集]- 『古代英語』(研究社、英米文学語学講座) 1940
- 『古代中世英語入門』(金星堂) 1949
- 『中世の英文学と英語』(研究社出版) 1951
- 『厨川文夫著作集』全2巻 (安東伸介ほか編、金星堂) 1981
共著
[編集]- 『古代英語文法』(西脇順三郎共著、文修堂) 1935
翻訳
[編集]- 『定冠詞論』(ビアール、研究社、英語学パンフレット19) 1937
- 『ベーオウルフ』(岩波文庫) 1941。文語体での訳
- 『機会の扉』(サマーセット・モーム、河出書房、新世界文学全集) 1942
- 『アーサー王物語』(R・L・グリーン、岩波少年文庫) 1957、改版1980
- 『アーサー王の死』(マロリー、キャクストン編、厨川圭子 共編訳、筑摩書房、世界文学大系) 1966、新編・ちくま文庫 1986
- 『完全に関する八章』(ウォルター・ヒルトン、慶大言語文化研究所) 1967。中世末期の神秘思想家
脚注
[編集]- ^ 『人事興信録 第17版 上』人事興信所、1953年、く38頁。
参考文献
[編集]- 池田弥三郎編『回想の厨川文夫』慶應義塾三田文学ライブラリー、1979