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ヨウ化鉛(II)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヨウ化鉛(II)
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識別情報
CAS登録番号 10101-63-0 チェック
特性
化学式 PbI2
モル質量 461.01 g/mol
密度 6.16 g/cm3
融点

402 °C, 675 K, 756 °F

沸点

872 °C, 1145 K, 1602 °F

への溶解度 0.044 g/100 mL (0℃)
0.063 g/100 mL (20℃)
0.41 g/100 mL (100℃) [1]
溶解度平衡 Ksp 8.49 x 10-9
溶解度 エタノールに不溶
アルカリに可溶
構造
結晶構造 六方晶系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −175.48 kJ mol−1[2]
標準モルエントロピー So 174.85 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 77.36 J mol−1K−1
危険性
EU Index 082-001-00-6
Rフレーズ R61, R20/22, R33, R62, R50/53
Sフレーズ S53, S45, S60, S61
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陰イオン フッ化鉛(II)
塩化鉛(II)
臭化鉛(II)
その他の陽イオン ヨウ化スズ(II)
関連物質 ヨウ化タリウム(I)
ヨウ化ビスマス(III)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヨウ化鉛(II)(ヨウかなまり、lead (II) iodide)は二価のヨウ化物で、化学式 PbI2 で表される無機化合物

製法

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硝酸鉛(II)ヨウ化カリウムの反応、

二価の鉛の水溶液にヨウ化水素酸またはヨウ化カリウムを加えると沈殿として得られる[3]

性質

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明るい黄色の粉末または六方晶系結晶で、加熱すると赤褐色となり、冷却すると元に戻る。水に微溶で、水溶液は無色。硫化ナトリウムと反応して、硫化鉛ヨウ化ナトリウムを生じる。紫外線を照射すると光電子を放出し、X線ガンマ線などの検出器の材料としても使われる。 19世紀には黄色顔料としても使用されていた[4]

固体は六方晶系の結晶でヨウ化カドミウム型構造をとり、格子定数はa = 4.59Å、c = 6.86Å、Pb−I結合距離は2.79±0.01Åである[5]

安全性

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日本の毒物及び劇物取締法では劇物に指定されている。性・発癌性があり、血液神経腎臓に影響を及ぼす。不燃性であるが、加熱により毒性・腐食性のあるガスを生じる[6]

脚注

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  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0070494398
  2. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  3. ^ 松岡敬一郎『ヨウ素綜説(第二版)』霞ヶ関出版、1992年。ISBN 9784760301355 
  4. ^ Salter, Thomas W., Field’s Chromatography: or Treatise on Colours and Pigments as Used by Artists By George Field. An entirely new and practical edition revised, rewritten and brought down to the present time, 1869
  5. ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  6. ^ 安全衛生情報センター