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チャレンジャー3

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チャレンジャー3
種類 主力戦車
原開発国 イギリスの旗 イギリス
運用史
配備期間 2027年(予定)
配備先 イギリス陸軍(予定)
開発史
開発者 ラインメタル・BAEシステムズ・ランド英語版
開発期間 2020年代
製造業者 ラインメタル・BAEシステムズ・ランド
製造期間 2027–2030年(予定)
製造数 150両 (予定)
諸元
重量 66t(65l/t、73s/t)[1]
要員数 4名 (車長、砲手、操縦手、装填手)

装甲 "EPSOM"と"FARNHAM"で構成される新型モジュラー装甲[2][3]
アクティブ防護システム[4]
主兵装 ラインメタルL55A1 120mm滑腔砲[5]
エンジン パーキンス英語版CV12-9A V型12気筒ディーゼルエンジン 26.1 l[6]
変速機 改良された新しいコンポーネントを持つデイヴィッド・ブラウン・サンタサーロTN54E オートマチックトランスミッション(前進6速、後進2速)[7][8]
懸架・駆動

ホルストマン第3世代ハイドロニューマチック・サスペンション[9]

[10][11]
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チャレンジャー 3 (Challenger 3) はイギリス陸軍のために開発された第4世代主力戦車である。

概要

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第3.5世代主力戦車として計画されている。この戦車は、イギリスドイツの合弁会社ラインメタル・BAEシステムズ・ランド英語版 (RBSL) により、既存のチャレンジャー2 戦車を改造して生産することが予定されている。

チャレンジャー2の改良は、2030年代までチャレンジャー2の戦力を維持するための「能力維持プログラム(CSP)」として2005年に始まったが、資金不足のため[12]、2014年にプログラムは「チャレンジャー2寿命延長プログラム」(LEP)に正式に再編された。LEPプログラムに対応し、2018年にBAEシステムズ社から[13]、2019年にラインメタル社から[14]、2つの試作車両が評価のために提出された。同年末にBAEとラインメタルはイギリス事業を統合してラインメタル・BAEシステムズ・ランドとなったため、ラインメタル社の提案が、チャレンジャー2を非国産モデルに置き換える以外の事実上唯一の選択肢となった[15]

チャレンジャー3は改良された車体に新しい砲塔を搭載する。チャレンジャー2からチャレンジャー3への最も大きな変更点は、主兵装を120mm L30A1ライフル砲から120mm L55A1滑腔砲[16](これはレオパルト2A6/A7主力戦車が装備するL55の改良型)[17]に変更し、他のNATO加盟国と共通化したことである。

エイブラムス XKF51 パンターT-14 アルマータなど他の第4世代主力戦車が自動装填装置を採用しているのに対し、チャレンジャー3は人力による装填を維持している。

開発史

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2005年、イギリス国防省はチャレンジャー2の耐用年数を2030年代半ばまで延長し、機動性、攻撃力、生存性を向上させるための能力維持プログラム(CSP)の必要性を確認した[18]。 CSPは2020年までに完了する計画で、120mm滑腔砲への換装を含むCLIP(Challenger Lethality Improvement Programme)のすべてのアップグレードを組み合わせることになっていた[19][20]。CSP計画は2014年までに、陳腐化した部品を交換し耐用年数を2025年から2035年まで延長するという目的を同じくする寿命延長計画(LEP)に代替されたが、120mm滑腔砲への換装は断念されたかに思われた[21][22][23]

2015年、イギリス陸軍はLEPの範囲を4つの重点領域に分割して整理した。すなわち[24]

  • 監視と目標捕捉: 指揮官の主照準器と砲手の主照準器のアップグレード、および熱観測および砲撃照準器 (TOGS) の第3世代サーマル画像装置への置き換え。
  • 武器管制システム: 射撃管制コンピューター、射撃管制パネル、銃器処理装置をアップグレード。
  • 機動性: 第3世代ハイドロガス サスペンション、改良された空気濾過、CV-12 コモン レール燃料噴射、トランスミッション、冷却などのアップグレード。
  • 電子装置: 砲手のコントロール ハンドル、ビデオ配信アーキテクチャ、一般的な車両アーキテクチャに準拠したインターフェイス、オンボード処理の強化、およびヒューマンーマシンインターフェイスのアップグレード。

また国防省は、MUSS やラインメタル社のROSY Rapid Obscurant System など、チャレンジャー2用のアクティブ防護システム(APS)の評価を開始した[25][26][27]

2016年8月、国防省はライフ・エクステンション・プログラムの評価段階契約を複数の企業に発注した。その中には、チームチャレンジャー2(BAEシステムズが主導し、ジェネラル・ダイナミクスUK を含むコンソーシアム)[28]、 CMI ディフェンス、リカルドplc、ラインメタル、ロッキード・マーティンUK [29][30]が含まれていた。

11月、国防省はBAE システムズとラインメタルが率いるそれぞれのチームを、当時6億5000万ポンド(8億200万ドル)と見積もられていたLEPの競争入札相手として最終選考に残した[31][32][33]

2018年10月、BAEシステムズはチャレンジャー2 LEPの技術実証車両である「ブラックナイト」案を発表した[34]。新型砲塔には回転速度の向上、スペースの確保、発電・蓄電のための回生ブレーキの搭載などの改良が施されている。その他、レーザー警告システム、アクティブ防護システムも強化された[34]

2019年1月、ラインメタル社は、完全デジタル電子アーキテクチャ、司令官と砲手のための昼夜両用監視装置、ラインメタル社製L55 120mm滑腔砲を備えた全く新しい砲塔の開発を含む提案を発表した。ブラックナイトよりも大規模なアップグレードとなるが、この新型砲塔はラインメタル社の主導で開発されたもので、イギリス国防省の資金提供はなく、国防省のLEP要件にも含まれていない[35]

2019年6月、BAEシステムズとラインメタルは、イギリスを拠点とする、ラインメタル・BAEシステムズ・ランド(RBSL)と称する合弁会社を設立した[36]。防衛・セキュリティ総合展示会のDSEI 2019において、RBSLは120mm案を初めて公開した[37]

2020年7月、ラインメタル・ディフェンスは、チャレンジャー2の車体上に、自動装填装置と強力な130mm滑腔砲、ラインメタルRh-130 L/51を備えるまったく新しい砲塔を搭載したテストベッド車両を展示した[38]。130 mm L/51は、既存の120 mm L/44またはL/55滑腔砲より500kg重く、チャレンジャー3に搭載するためには、より大きな砲塔が必要となる[39]

国防省は2020年10月、チャレンジャー2 LEPを中止して海外から新しい主力戦車を購入せよという意見に反対し、アップグレードされたチャレンジャー2は「レオパルト2やM1エイブラムスに匹敵し、特定の分野ではより優れている」と述べた[40]

チャレンジャー2 LEP プロジェクトの管理運営は、2021年3月15日に国防特別委員会から痛烈に批判された[41]。彼らは「時代遅れで火力不足: イギリス陸軍の装甲車両能力」[42]と題した報告書の中で以下のように述べている。

「割り当てられた予算(8億ポンド)の約50%を費やしたにもかかわらず、このプログラムはまだ製造契約を結んでいない」

「このプログラムの現在の運用開始時期は2024年(当初は2017年の予定)で、予算は2億2700万ポンドほどオーバーしている。10年にわたる努力の末に、コスト(オーバーランの総額は2億5千万ポンド以上)、タイムスケール(ISDの7年遅れ)ともに達成できなかったこの惨状は、明らかにまったく受け入れがたい」

「これは近年、国防装備支援部と陸軍理事会の両方による陸軍装備プログラムの管理が極めて脆弱であることを示すものである」[43]

2021年3月22日、ベン・ウォーレス国防大臣は行政文書「大競争時代における防衛」を発表し、イギリス陸軍が148両のチャレンジャー2戦車を「約13億ポンド」で改良し、チャレンジャー3と再命名する計画を確認した[44][45]。2021年5月7日に国防省は8億ポンド(10億米ドル)相当のRBSLとの契約が締結されたことを確認した。ラインメタル社が提案した新型120mm滑腔砲を含むより大規模なアップグレード案が採用され、初期作戦能力は2027年までに、完全な運用能力は2030年までに獲得される予定である[46]

注釈

[編集]
  1. ^ Challenger 3 vs Challenger 2 (Infographic)”. RBSL (2022年4月29日). 24 January 2022閲覧。
  2. ^ Obsolescent and outgunned: the British Army's armoured vehicle capability: Government Response to the Committee's Fifth Report of Session 2019–21”. www.parliament.uk. UK Parliament (21 May 2021). 24 April 2022閲覧。
  3. ^ UK Army set to receive 148 next gen 'Challenger 3' MBT's”. www.defence-and-security.com. Defence & Security Systems International (10 May 2021). 27 September 2022閲覧。
  4. ^ Pioneering new technology for Challenger 3 tank”. www.army.mod.uk. British Army (24 June 2021). 24 April 2022閲覧。
  5. ^ Lye, Harry (7 May 2021). “UK MOD signs Challenger 3 contract with RBSL”. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  6. ^ Baroness Goldie (22 April 2022). “Challenger Tanks: Engines”. House of Lords Debates. UK Parliament. 24 April 2022閲覧。
  7. ^ TN54E Tracked Vehicle Transmission”. 20 February 2018時点のオリジナルよりアーカイブ19 February 2018閲覧。
  8. ^ Work begins to prepare Challenger 2 vehicles for upgrade programme”. UK Ministry of Defence (28 July 2021). 1 August 2021閲覧。
  9. ^ Gen 3 HydroGas Project”. Tenders Electronic Daily - Supplement to the Official Journal of the EU (2020年1月12日). 14 January 2020閲覧。
  10. ^ Repair and Conversion Hydrogas Gen 3 Suspension Parts”. Tenders Electronic Daily - Supplement to the Official Journal of the EU (2020年7月15日). 26 July 2020閲覧。
  11. ^ Project: 701547382 - Procurement of HAAIP Main Engine Cooling Fans – Annex A, Contract Notice Supporting Information Document”. UK MOD, Defence Sourcing Portal (26 April 2021). 14 October 2021閲覧。
  12. ^ Challenger 2 Life Extension Project – Interim”. Think Defence (21 November 2015). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  13. ^ DVD 2018: BAE Systems displays Challenger 2 LEP nicknamed Black Night, (21 September 2018), https://www.armyrecognition.com/dvd_2018_show_daily_news_coverage/dvd_2018_bae_systems_displays_challenger_2_lep_nicknamed_black_knight.html 
  14. ^ IAV 2019: Rheinmetall unveils proposal for Challenger 2 LEP”. Janes Defence News. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  15. ^ Allison (14 January 2020). “Challenger 2 Life Extension Programme decision due late 2020”. UK Defence Journal. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  16. ^ Rheinmetall Defence - Latest news Rheinmetall modernizing the UK's main battle tank Challenger 2 fleet”. www.rheinmetall-defence.com. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  17. ^ Large Calibre Weapons and Ammunition”. www.rheinmetall-defence.com. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  18. ^ Defence Industrial Strategy: Defence White Paper. London: en:The Stationery Office. (2005). p. 79. ISBN 0101669720. https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/272203/6697.pdf 29 March 2021閲覧。 
  19. ^ The King's Royal Hussars: Regimental Journal 2007”. 29 March 2021閲覧。
  20. ^ Case Studies in Defence Procurement and Logistics”. p. 236 (2014年). 29 March 2021閲覧。
  21. ^ DVD 2014: UK Challenger 2 LEP numbers may drop”. Janes.com. 30 October 2014時点のオリジナルよりアーカイブ30 October 2014閲覧。
  22. ^ Dynamic Security Threats and the British Army - Presentation to RUSI by Sir Nick Carter CGS of the British Army”. 29 March 2018時点のオリジナルよりアーカイブ22 March 2018閲覧。
  23. ^ The Defence Equipment Plan 2017”. UK Government. 7 March 2018閲覧。
  24. ^ RTR December 2015 Newsletter”. 5 November 2016時点のオリジナルよりアーカイブ。5 May 2016閲覧。
  25. ^ Armour MBT 2025 programme: SRO appointment letter”. UK Ministry of Defence. 19 September 2016時点のオリジナルよりアーカイブ3 August 2016閲覧。
  26. ^ Active Protection for our Armed Forces”. DSTL / UK Government (5 July 2016). 30 July 2017時点のオリジナルよりアーカイブ15 March 2018閲覧。
  27. ^ Challenger 2 trialled with ROSY, Iron Fist APS”. Jane's International Defence Review (16 November 2017). 13 November 2018時点のオリジナルよりアーカイブ15 March 2018閲覧。
  28. ^ “BAE Systems' Team Challenger® 2 awarded Assessment Phase for Life Extension Project”. BAE Systems. (22 December 2016). https://www.baesystems.com/en-uk/article/bae-systems--team-challenger--2-awarded-assessment-phase-for-life-extension-project 29 March 2021閲覧。 
  29. ^ “UK Announces Life Extension Project”. Battlespace. (22 August 2016). https://battle-updates.com/uk-mod-announces-challenger-2-life-extension-projectlep-by-julian-nettlefold/ 29 March 2021閲覧。 
  30. ^ Several contenders line up for Challenger 2 life extension programme”. IHS Jane's (11 August 2016). 14 November 2016閲覧。
  31. ^ Chute (2 November 2016). “Field Narrows for UK Battle Tank Modernization”. Defense News. 14 November 2016閲覧。
  32. ^ Challenger 2 LEP contracts due in December”. IHS Jane's (14 November 2016). 14 November 2016閲覧。
  33. ^ MOD awards £46M to start Challenger 2 Tank life extension project competition”. gov.uk. 23 December 2016時点のオリジナルよりアーカイブ22 December 2016閲覧。
  34. ^ a b Allison, George (8 October 2018). “BAE unveils 'Black Night' – the first fully-upgraded Challenger 2 tank”. en:UK Defence Journal. https://ukdefencejournal.org.uk/bae-unveils-black-knight-the-first-fully-upgraded-challenger-2-tank/ 29 March 2021閲覧。 
  35. ^ IAV 2019: Rheinmetall unveils proposal for Challenger 2 LEP”. Jane's JDW. 25 January 2019閲覧。
  36. ^ Sprenger (21 January 2019). “Rheinmetall, BAE Systems launch joint venture for military vehicles”. Defense News. 25 January 2019閲覧。
  37. ^ Cazalet, Mark (12 September 2019). “DSEI 2019: RBSL's Challenger 2 LEP contender comes out in the open”. Defence News. https://www.janes.com/defence-news/news-detail/dsei-2019-rbsls-challenger-2-lep-contender-comes-out-in-the-open 29 March 2021閲覧。 
  38. ^ (英語) Rheinmetall – MBT 130 mm Gun, https://www.youtube.com/watch?v=J8Sa_q-Lz6g 2021年5月15日閲覧。 
  39. ^ Why Can't Tanks be Larger? Rheinmetall's 130 mm Gun and the Future of MBTs” (25 June 2016). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  40. ^ Written evidence submitted by the Ministry of Defence HCDC Inquiry: Progress in delivering the British Army's armoured vehicle”. UK Parliament (6 October 2020). 30 October 2020閲覧。 “The Challenger 2 Life Extension Project will be the first significant upgrade since it entered service in 1998...it will be comparable..in certain areas superior – to the latest version of Leopard 2 and Abrams.”
  41. ^ “British tanks would be outgunned by Russian adversaries, MPs warn”. ITV plc. (14 March 2021). https://www.itv.com/news/2021-03-14/british-tanks-would-be-outgunned-by-russian-adversaries-mps-warn 
  42. ^ “Report: Obsolescent and outgunned: the British Army's armoured vehicle capability”. UK Parliament. (15 March 2021). https://committees.parliament.uk/committee/24/defence-committee/news/152744/report-obsolescent-and-outgunned-the-british-armys-armoured-vehicle-capability/ 
  43. ^ “Obsolescent and outgunned: the British Army's armoured vehicle capability: Conclusions and recommendations”. parliament.uk. (14 March 2021). https://publications.parliament.uk/pa/cm5801/cmselect/cmdfence/659/65910.htm 
  44. ^ Defence in a Competitive Age. Ministry of Defence. (March 2021). p. 54. ISBN 978-1-5286-2462-6. https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/971859/_CP_411__-_Defence_in_a_competitive_age.pdf 22 March 2021閲覧。 
  45. ^ Future Soldier: Transforming the British Army”. p. 3 (22 March 2021). 28 March 2021閲覧。
  46. ^ “Britain awards $1 billion contract to upgrade Challenger 2 tanks”. en:Defense News. (7 May 2021). https://www.defensenews.com/industry/2021/05/07/britain-awards-1-billion-contract-to-upgrade-challenger-2-tanks/ 

参考資料

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