秩父鉄道

埼玉県熊谷市に本社を置く鉄道事業者

秩父鉄道株式会社(ちちぶてつどう、: Chichibu Railway Co., Ltd.)は、埼玉県の北部から秩父地方鉄道路線秩父本線など)を有する鉄道事業を中核に、観光バス事業、不動産業を行う日本の会社である[4]。本社は埼玉県熊谷市に所在する[2]

秩父鉄道株式会社
Chichibu Railway Co., Ltd.
ロゴ 社紋
ロゴ(左)と社紋(右)
秩父鉄道本社
秩父鉄道本社
種類 株式会社
機関設計 監査役会設置会社[1]
市場情報
東証スタンダード 9012
1963年6月25日上場
略称 秩父、秩鉄、CTK
秩父鉄(銘柄略称)
本社所在地 日本の旗 日本
360-0033
埼玉県熊谷市曙町一丁目1番地[2]
北緯36度8分16.5秒 東経139度23分27.3秒 / 北緯36.137917度 東経139.390917度 / 36.137917; 139.390917座標: 北緯36度8分16.5秒 東経139度23分27.3秒 / 北緯36.137917度 東経139.390917度 / 36.137917; 139.390917
設立 1899年明治32年)11月8日[2]
業種 陸運業
法人番号 6030001085016 ウィキデータを編集
事業内容 旅客鉄道事業 不動産業他
代表者 代表取締役社長 牧野英伸[2]
資本金
  • 7億5000万円
(2024年3月31日現在)[3]
発行済株式総数
  • 150万株
(2024年3月31日現在)[3]
売上高
  • 連結: 49億1306万6000円
  • 単独: 38億0278万4000円
(2024年3月期)[3]
営業利益
  • 連結: 1689万5000円
  • 単独: 1647万0000円
(2024年3月期)[3]
経常利益
  • 連結: 1967万2000円
  • 単独: 396万7000円
(2024年3月期)[3]
純利益
  • 連結: 9285万3000円
  • 単独: 4545万1000円
(2024年3月期)[3]
純資産
  • 連結: 49億2942万8000円
  • 単独: 47億6837万2000円
(2024年3月31日現在)[3]
総資産
  • 連結: 164億5315万3000円
  • 単独: 157億8687万7000円
(2024年3月31日現在)[3]
従業員数
  • 連結: 409人
  • 単独: 302人
(2024年3月31日現在)[3]
決算期 3月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人[3]
主要株主
主要子会社
外部リンク www.chichibu-railway.co.jp ウィキデータを編集
テンプレートを表示
C58 363牽引「SLパレオエクスプレス

概要

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埼玉県の北部を東西に横断して秩父地方と結ぶ秩父本線と、貨物線である三ヶ尻線の2路線を保有・運営している[5][2]長瀞渓谷宝登山を中心とする長瀞の観光開発を行ってきた会社でもあり、直営の「長瀞ラインくだり」は大正時代からの歴史を有する[6]

太平洋セメントが筆頭株主であり、同社の前身である秩父セメント時代から行っている武甲山から産出される石灰石を運ぶ貨物輸送が盛んである(「諸井恒平」を参照)。

過去には、乗合バス貸切バス事業、索道事業(三峰ロープウェイ)も行っていた。バス部門は秩父鉄道観光バスに分社している。三峰ロープウェイは廃止されたが、子会社の宝登興業では現在も索道事業(宝登山ロープウェイ)を行っている。

外食事業も営んでおり、埼玉県長瀞町で飲食店「有隣倶楽部[7]」「ガーデンハウス有隣[8]」「豚みそ丼専門店 有隣[9]」を運営している。

東証スタンダード市場(旧JASDAQ市場)に株式上場している[10]。JASDAQの前身にあたる店頭登録制度が開始された1963年に株式登録が行われ、2022年4月4日の東証再編までは鉄道事業者では唯一のJASDAQ上場企業(証券コード : 9012)であった。

会社の略称として「秩父[注 1][注 2]秩鉄」「ちちてつ[注 3]CTK[注 4](C.T.K.[注 5])が用いられることがある。しかし、駅での案内表示では「秩父線」や「秩父鉄道」が使われており、略称はあまり使われていない。また、「秩父電鉄」という愛称を使用していたため、現在も「秩父電鉄」と呼ばれることがある。

社紋は「上」の文字6つを円形に並べたものであり、「上武」を意味するとされる。上武鉄道として設立された時に作られたもので、秩父鉄道に改称した後も引き続き使われていた[11]

 
社紋

歴史

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鉄道事業

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路線図
 
寄居駅構内を三峰口方に向かって走行中の貨物列車

鉄道2路線を有し、旅客貨物輸送を行っている。現在の秩父本線終点・三峰口駅から秩父市大滝地区(旧大滝村)へ路線を延長する計画であったが中止となっている。三峰口駅の引き上げ線はその名残であり、かつては鉱山ホッパーまでつながっていた。また、大滝村方面にケーブルカーを建設する計画もあったという。

ICカード乗車券については2022年3月12日PASMOを導入し、PASMOのほかSuicaなどの全国相互利用交通系ICカードも利用できる[18][19]

営業中の路線

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廃止路線・区間

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未成路線

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以下の路線の免許を得ていたが失効している[21]白川村・大滝村とも現在は秩父市。

  • 普通鉄道 白川村三峰口 - 大滝村 2.4km 1927年12月5日取得[22]、1936年2月19日失効[23](秩父本線の延長)
  • 鋼索鉄道(ケーブルカー) 秩父郡大滝村地内 1.8km 1927年12月5日取得[22]、1930年12月26日失効[24]

運賃

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車両

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地方私鉄にも斬新な高性能車が多数登場した1960年代までは、自社オリジナルの車両も製造していたが、近年は他社からの譲渡車両のみとなっている。譲渡元は複数の鉄道会社に及び、さながら保存鉄道的な色あいを帯びている。

塗装

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電車は1960年代は茶色に白帯、1970年代は茶色のツートンカラーで、1980年代に入ると黄色を基調に窓下に茶(急行用車は紺)のラインを配したオリジナルデザインをタクシー・バス車両など、グループ全般にわたり導入したが、1990年代に入ると電車は白地に青を基調とした塗装が主流となっている。ただし、2007年の鉄道博物館開館記念イベントから2009年の設立110周年にかけ、1000系のうち5編成国鉄101系を模したカラーリング(オレンジバーミリオン [1011F(2010年廃車)・1003F(2011年より)]、スカイブルー [1001F]、カナリアイエロー [1012F]、ウグイス関西線バージョン [1009F])に、2編成を旧塗装(茶色ツートン[1002F]、黄色に茶帯[1007F])にそれぞれ変更している。2020年現在、5000系は都営地下鉄時代から引き続く青色のライン、6000系は白地に青色のライン(6003Fはリバイバル塗装として茶色)、7000系および7500系・7800系は緑色と黄色のグラデーションを基調としており、7500系の一部編成は全面ラッピングが施され運用されている。

電気機関車は標準色として青を基調に正面と車体裾に白帯を配する。この塗装はデキ107・108が松尾鉱業鉄道から持ち込んだもので、それ以前は茶色に車体裾に白帯を配するものであった。また、各種イベント等を通じて様々な塗色変更が施されており、2020年現在は標準色以外に、黒色に警戒色(デキ201)、青単色(デキ302)、黄単色(デキ502)、桃色に正面・裾白帯(デキ504)、緑に裾白帯(デキ505)、赤単色(デキ506)と、バリエーションに富んだ構成となっている。

現有車両

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過去の車両

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なお、かつて「パレオエクスプレス」で使用されていた旧形客車は秩父鉄道がJR東日本から借り入れたものであり、秩父鉄道所有の車両ではない。

車両数の変遷

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年度 \ 形式名 100形 300系 500系 800系 1000系 2000系 3000系 5000系 6000系 7000系 7500系 7800系 12系客車
(冷房車)
ヲキ・ヲキフ
100形
1982年(昭和57年)
-1985年(昭和60年)
20 6 18 20 64 180
1986年(昭和61年) 20 6 18 20 6 70 180
1987年(昭和62年) 10 6 18 20 21 75 180
1988年(昭和63年) 6 6 18 20 21 71 162
1989年(平成元年) 6 18 16 24 64 162
1990年(平成2年) 6 18 36 60 162
1991年(平成3年) 6 18 36 60 162
1992年(平成4年) 6 36 16 3 61(3) 162
1993年(平成5年) 6 36 16 9 67(9) 162
1994年(平成6年) 6 36 16 9 67(9) 162
1995年(平成7年) 6 36 16 9 67(13) 162
1996年(平成8年) 6 36 16 9 67(19) 162
1997年(平成9年) 36 16 9 61(27) 162
1998年(平成10年) 36 16 9 61(31) 162
1999年(平成11年) 36 16 9 61(33) 162
2000年(平成12年)
-2005年(平成17年)
36 9 12 4 61(49) 138
2006年(平成18年) 36 6 12 3 4 61(49) 138
2007年(平成19年) 36 12 9 4 61(49) 138
2008年(平成20年) 36 12 9 4 61(49) 138
2009年(平成21年) 30 12 9 6 4 61(51) 138
2010年(平成22年) 27 12 9 6 3 4 61(52) 128
2011年(平成23年) 21 12 9 6 9 4 61(54) 128
2013年(平成25年) 9 9 9 6 21 2 4 60(57) 128
  • 1982・83年は1月1日時点、1984年以降は4月1日時点。
  • 『私鉄車両編成表』各年版(ジェー・アール・アール)

保存車両

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以下の車両が保存されている。

他にも貨車が多数売却されており、その数は把握できない。各形式の項目も参照。

ロケ撮影など

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鉄道線は、映画テレビドラマCM撮影などで使用されることが多い。広瀬川原車両基地構内や熊谷駅構内、三峰口駅のプラットホームなどがロケーション撮影に使用されている。

索道事業(廃止)

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関連会社

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過去の関連会社

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  • 秩鉄タクシー - 2020年3月31日を以て解散[25](清算結了は同年6月29日)。タクシー事業者。熊谷地区の秩鉄ハイヤーが秩父地区の(旧)秩鉄タクシーを吸収合併し、商号変更。
    • 秩父地区は撤退済み(詳細不明)
    • 熊谷地区は2018年9月末で熊谷構内タクシーに事業移管して廃業[26]
  • 秩父観光興業 - 2023年10月1日付で秩父鉄道観光バスに合併され解散[27]

脚注

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注釈

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  1. ^ ヲキ・ヲキフ100形貨車では、社紋の下に「秩父」と書かれている。
  2. ^ 秩父鉄道が発行している沿線情報誌『秩父鉄道ニュース』は、以前は『秩父沿線ニュース』という名前であった。現在もパンフレット等で「秩父沿線」という表現が使われている。
  3. ^ 例として、公式通販サイト名が「ちちてつe-shop」である。
  4. ^ Chichibu Tetsudo Kabushikigaisha」の略。急行用の6000系電車には、乗務員室近くの車両側面に「CTK」と描かれている。
  5. ^ 100形電車には車両側面に「C.T.K.」と書かれており、保存車両を三峰口駅の鉄道車両公園で見ることができたが現在は解体撤去されている。

出典

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  1. ^ 会社概要 - 秩父鉄道株式会社
  2. ^ a b c d e 秩父鉄道 会社概要(2019年12月29日閲覧)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 秩父鉄道株式会社『第201期(自 2023年4月1日 - 至 2024年3月31日)有価証券報告書』(レポート)2024年6月27日。 
  4. ^ 会社情報 秩父鉄道(2021年11月20日閲覧)
  5. ^ 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成28年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.89
  6. ^ 秩父鉄道・長瀞ラインくだり - 皆野町観光協会
  7. ^ 有隣倶楽部(2020年2月29日閲覧)
  8. ^ ガーデンハウス有隣(2020年2月29日閲覧)
  9. ^ 豚みそ丼専門店 有隣(2020年2月29日閲覧)
  10. ^ IR情報 秩父鉄道(2021年11月20日閲覧)
  11. ^ 創立110周年記念企画 秩父鐡道110年の軌跡 第1回 草創期~鉄道敷設への第一歩~秩父鉄道(2019年12月29日閲覧)
  12. ^ 平成29年度末までに全旅客駅へ導入「旅客案内情報サイネージ」を9駅で運用開始』(PDF)(プレスリリース)秩父鉄道、2016年11月30日https://www.chichibu-railway.co.jp/wp-content/uploads/2016/11/20161130_unyushirei.pdf2020年1月11日閲覧 
  13. ^ 7月20日(土)から「東武鉄道×秩父鉄道 SAITAMA プラチナルート乗車券」 を発売します!〜乗車券発売に合わせ、スタンプラリーを実施 (PDF) - 秩父鉄道(2019年7月9日)2019年12月29日閲覧
  14. ^ a b “秩父鉄道、貨物輸送用路線を一部廃止”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2020年3月27日). オリジナルの2020年3月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200331041827/https://r.nikkei.com/article/DGXMZO57346530X20C20A3L72000?s=4 2020年4月4日閲覧。 
  15. ^ 石炭貨物輸送終了のお知らせ - 秩父鉄道 (2020年1月14日) 2020年3月28日閲覧
  16. ^ 鉄道営業路線の一部廃止に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)秩父鉄道、2020年3月26日。オリジナルの2020年3月27日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200327105113/https://www.chichibu-railway.co.jp/corporate/wp-content/uploads/sites/7/2020/03/a331929e03de5e130d4e2fddc348c98a-1.pdf2020年4月4日閲覧 
  17. ^ a b 三ヶ尻線 熊谷貨物ターミナル駅~三ヶ尻駅間の廃止期日について”. 秩父鉄道 (2020年11月16日). 2020年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月16日閲覧。
  18. ^ a b 秩父鉄道、交通系ICカード「PASMO」を導入 〜2022年3月12日(土)よりサービス開始〜』(PDF)(プレスリリース)秩父鉄道、2022年1月27日。オリジナルの2022年1月27日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20220127093258/https://www.chichibu-railway.co.jp/wp-content/uploads/2022/01/20220127_ICcard.pdf2022年1月27日閲覧 
  19. ^ ICカード乗車券システムを導入し、お客様の利便性の向上、感染症対策の向上を図ります』(PDF)(プレスリリース)秩父鉄道、2021年1月27日。オリジナルの2021年1月27日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20210127170626/https://www.chichibu-railway.co.jp/wp-content/uploads/2021/01/20210127_ICcard.pdf2021年1月28日閲覧 
  20. ^ “五私鉄の旅客、貨物営業廃止を軽微認定”. 交通新聞 (交通協力会): p. 1. (1984年1月25日) 
  21. ^ 森口正之著『鉄道未成線を歩く』(JTB、2001年)p.187 の「大正・昭和期」における未成鉄道の失効路線一覧4。
  22. ^ a b 「鉄道免許状下付」『官報』1927年12月7日国立国会図書館デジタルコレクション)
  23. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1936年2月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  24. ^ 「鉄道免許失効」『官報』1930年12月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  25. ^ 秩鉄タクシー株式会社の解散及び清算手続き開始について”. 秩父鉄道. 2020年4月1日閲覧。
  26. ^ 第196期 事業報告書”. 秩父鉄道. 2020年1月25日閲覧。
  27. ^ 秩父観光興業株式会社の情報|国税庁法人番号公表サイト

関連項目

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外部リンク

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