国道477号
国道477号(こくどう477ごう)は、三重県四日市市から兵庫県川西市を経由して大阪府池田市に至る一般国道である。
一般国道 | |
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国道477号 | |
地図 | |
総延長 | 234.2 km |
実延長 | 212.8 km |
現道 | 195.4 km |
制定年 | 1993年(平成5年) |
起点 | 三重県四日市市(北緯34度57分55.75秒 東経136度38分5.06秒 / 北緯34.9654861度 東経136.6347389度) |
主な 経由都市 |
滋賀県蒲生郡竜王町 京都府南丹市 兵庫県川西市 |
終点 | 大阪府池田市 石橋阪大下交差点(北緯34度48分24.9秒 東経135度26分50.1秒 / 北緯34.806917度 東経135.447250度) |
接続する 主な道路 (記法) |
国道1号 国道306号 国道307号 国道8号 国道161号 国道162号 国道9号 国道173号 |
■テンプレート(■ノート ■使い方) ■PJ道路 |
概要
編集起点の三重県四日市市から北西に向かって武平峠を通って鈴鹿山脈を越え、滋賀県日野町、近江八幡市を経由して琵琶湖の南部を有料道路琵琶湖大橋で渡って京都府に入り、京都市北部の山中を北に向かって大きく迂回し、南丹市や亀岡市を通過しながら南下して終点の大阪府池田市へ向かう一般国道の路線である。
途中の京都府内の一部区間は、いわゆる「酷道」のひとつとしても知られており[1]、洛北[注釈 1]の杉林の中を縫うように走る退避場所の少ない離合困難な隘路や[1]、交差点での経路が鋭角カーブになっている通称「百井別れ」[2]、極めて急でかつ舗装が劣悪な百井峠などがあるほか、八木駅(南丹市)付近では狭隘な駅前商店街を通過するなど、難路も多い。なお、大河原バイパス(滋賀県)や小出石バイパス(京都府)などが供用を開始し、滋賀県竜王町と近江八幡市の境界付近に連続していた「くの字型カーブ」がほぼ直線に改善されたほか、2011年現在も西田大藪道路(夢かなえ橋、京都府)や大布施拡幅(京都府)などが事業中で、少しずつではあるが通行困難箇所の改良が進められている。
路線データ
編集一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 2]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。
- 起点:四日市市(蔵町98番地[4]、国道23号交点、国道164号上)
- 終点:池田市(石橋阪大下交差点[5] = 国道176号、国道423号上)
- 重要な経過地:三重県三重郡菰野町、滋賀県蒲生郡日野町、同郡竜王町、近江八幡市、守山市、大津市(真野)、京都市(左京区)、京都府北桑田郡京北町[注釈 3]、同府船井郡八木町[注釈 4]、同郡園部町[注釈 4]、亀岡市、川西市
- 総延長 : 234.2 km(三重県 39.3 km、滋賀県 81.9 km、京都府 42.0 km、京都市 52.1 km、大阪府 11.1 km、兵庫県 7.8 km)重用延長を含む。[6][注釈 5]
- 重用延長 : 21.3 km(三重県 2.1 km、滋賀県 1.3 km、京都府 12.2 km、京都市 2.4 km、大阪府 - km、兵庫県 3.2 km)[6][注釈 5]
- 未供用延長 : なし[6][注釈 5]
- 実延長 : 212.8 km(三重県 37.2 km、滋賀県 80.6 km、京都府 29.8 km、京都市 49.7 km、大阪府 11.1 km、兵庫県 4.6 km)[6][注釈 5]
- 指定区間:国道1号、国道9号と重複する区間(京都府南丹市)[7]
歴史
編集路線状況
編集起点のある三重県四日市市から滋賀県蒲生郡日野町を走る国道307号までの「湯の山街道」「鈴鹿スカイライン」とよばれる区間は、一般国道としては一般的な整備がなされた道路が続く。国道307号から琵琶湖大橋までの滋賀県内のルートは道なりに進まず、右左折をくり返しさせられるところが多い[9]。かつては、滋賀県東近江市の区間に「止まれ」の道路標識があり、優先道路としての扱いは県道以下の場所も存在した[9]。
滋賀・京都の府県境にある峠である途中越を越えて京都市左京区内に入ると、百井峠前後の区間で道幅は1車線と狭く舗装状態の悪い道になり、急カーブが連続する勾配18 %の坂道がある[9]。さらに、百井別れ - 花脊峠と1車線の隘路が続き、花脊大布施町まで京都府道38号京都広河原美山線と重複する[10]。南丹市や亀岡市、川西市にも酷道区間は見られ、南丹市内の八木駅前の国道9号八木交差点から延びる商店街を突っ切る国道となる。この商店街では、マイクロバスを除く大型車を対象にした一方通行規制となっており、桂川に架かる大堰橋側から八木駅方向(東から西方向)のみ大型車は通行できる[10]。南丹市内の八木交差点から園部河原町交差点までの約8キロメートル (km) 区間は、JR西日本山陰本線に沿いながら国道9号と重複する[10]。山間部では道は狭くセンターラインがないところもある[2]。
大阪府池田市の国道176号・西本町交差点付近は国道173号と国道423号と重複するところで、関西きっての渋滞頻発区間としても知られている[10]。だが、阪急宝塚本線池田駅・川西能勢口駅の高架化、兵庫県道12号川西篠山線バイパスの全通、1998年4月の阪神高速道路11号池田線全通、2007年5月の箕面グリーンロード開通で以前より渋滞は減少した。
バイパス
編集- 西浦バイパス
- 三重県四日市市西町と同市西浦二丁目を結ぶ。2014年(平成26年)4月30日供用開始。
- 四日市湯の山道路
- 三重県四日市市高角町と三重郡菰野町音羽を結ぶ。全線開通済み[11]。
- 菰野バイパス
- 三重県三重郡菰野町音羽と同町千草を結ぶ。
- 大河原バイパス
- 滋賀県甲賀市土山町大河原に位置する。全線にわたって開通している。
- 必佐バイパス
- 滋賀県蒲生郡日野町三十坪と同県東近江市下麻生町を結ぶ。2013年(平成25年)12月9日供用開始。
- 幸津川洲本バイパス
- 滋賀県守山市幸津川町と同市洲本町を結ぶ。事業中。一部は開通しており、残る区間は2026年(令和8年)に完成する予定である[12]
- 小出石バイパス[13]
- 京都府京都市左京区大原小出石町(国道367号重複区間との分岐部分)に位置する全長約150 mの道路。2004年度に設計や地質調査などを行い、翌年度から3年間の計画で事業化された。なお、改良前の旧道は幅員が約4 mしかなく離合が困難であった。
- 西田大藪道路
- 京都府南丹市八木町西田と同市八木町大薮を結ぶ。2023年3月に完成。
- 殿谷道路
- 京都府南丹市園部町口人と同市園部町殿谷を結ぶ。
- 東郷バイパス[14]
- 大阪府豊能郡能勢町野間稲地と同町地黄を結ぶ全長約3 kmの道路。狭隘区間の改良が企図されたが集落内での道路拡幅が困難のため、圃場整備事業と連携し捻出された敷地にバイパス道路を設けることとなった。2002年(平成14年)に一部が供用開始[15]され、残る区間も2010年(平成22年)3月26日に供用開始された[16]。
有料道路
編集通称など
編集- 菰野道:三重県四日市市内の通称名。
- 巡見街道:三重県三重郡菰野町。四日市菰野バイパスが部分開通する以前の国道306号重複区間の通称。
- 湯の山街道:三重県菰野町。国道306号交点から湯の山温泉へ向かい、三重県道752号茶屋町湯の山停車場線と分岐した後は温泉街の北側を迂回して鈴鹿スカイラインへ向かう。
- 鈴鹿スカイライン:三重県菰野町から滋賀県甲賀市間。武平峠を越える。もとは有料道路区間であったが現在では無料化されている。冬季は通行止め。
- 浜街道:滋賀県守山市から近江八幡市。滋賀県道26号大津守山近江八幡線との重複区間に用いられる。
- レインボーロード[注釈 7]:滋賀県大津市に所在。
- 花折街道:兵庫県川西市から大阪府豊能町間。「花折断層」「花折峠」など、「花折」と付く地名等は沿線の京都府から滋賀県付近へかけての地域に存在するが、道路については国道指定以前(川西園部線時代)からこの辺りの道路通称として呼称されている。
- 川園線:川西市国道173号交点から南丹市園部町河原町国道9号交点までの33.4 km。国道に指定される以前の兵庫県道39号・大阪府道5号・京都府道42号川西園部線にあたる区間である。
百井別れ
編集百井別れ(ももいわかれ)とは、京都府京都市左京区鞍馬にある国道477号と京都府道38号京都広河原美山線が分岐する交差点の通称[1]。
国道477号は一見不可解なルート設定が散在するほか難所も多いため、酷道と評されているが、その中でも最大の難所がこの百井別れとその周辺の百井峠だと言われている[18][19]。百井別れは、切り返しのいる国道の交差点としてよく知られている[20][2]。
百井別れの概要
編集百井別れは、百井峠と花脊峠の中間にある京都府道38号京都広河原美山線との交差点(三差路)であるが、ここが難所と呼ばれる所以(ゆえん)は、国道としては急すぎる分岐角度にある[18]。百井別れから花脊峠方向へ登る国道477号と、鞍馬方面へ降る京都府道38号はほぼ2車線幅ほどあるセンターラインなしの道で、この2方向が道なりとなっている[2]。国道477号のルートはこの交差点で道なりになっておらず、ほぼ180度転回しながら向きを変え、斜面にへばりつくような細い1車線の坂道で百井峠へと向かう[1]。
百井別れにおける国道477号の右左折は、百井峠側から進入してきた場合は小型車(コンパクトカーや軽自動車)なら切り返し無しで花脊峠方面へ曲がれることもあるが[20]、花脊峠側から進入してきた場合は百井峠側の方が狭路であるため、崖から落ちないように路肩側を比較的余裕を持って通行する必要があることから、四輪車ではほぼ切り返しが必要となる[18][20][2]。また、ここから百井中央までの区間は非常に急な坂で路面の状態も悪く、しかも道幅が極めて狭い上にすれ違い可能な箇所はほとんどない[18]。
百井別れの所在地
編集京都市右京区京北周山町の国道162号交点から京都府京都市左京区大原小出石町の国道367号交点までが花背峠から百井峠にかけての区間である。
- 京都府京都市左京区鞍馬本町
- 位置=北緯35度09分00.0秒 東経135度47分06.0秒 / 北緯35.150000度 東経135.785000度(世界測量系)
重複区間
編集- 国道164号(四日市市浜町・国道23号交点 - 同市中部・国道1号交点)
- 国道365号(四日市市西町・国道1号交点 - 同市西浦・堀木橋南詰交差点)
- 国道367号(大津市伊香立途中町・途中交差点 - 京都市左京区大原小出石町)
- 国道9号(南丹市八木町八木・八木交差点 - 南丹市園部町河原町・園部河原町交差点)
- 国道372号(南丹市園部町埴生 - 亀岡市宮前町宮川・宮前交差点)
- 国道173号(川西市東畦野・一の鳥居交差点 - 池田市西本町・西本町交差点)
- 国道423号(池田市木部町・木部町交差点 - 池田市石橋・石橋阪大下交差点)
- 国道176号(池田市西本町・西本町交差点 - 池田市石橋・石橋阪大下交差点)
道路施設
編集インターチェンジ
編集- 高角インターチェンジ(四日市湯の山道路、四日市市高角町)
- 平尾インターチェンジ(四日市湯の山道路、四日市市平尾町)
- 吉沢インターチェンジ(四日市湯の山道路、三重郡菰野町大字吉澤)
橋梁
編集- 久保田橋(三滝川、四日市市)
- 湯の山橋(三滝川、菰野町)
- 幸浜大橋(野洲川、守山市)
- 野村橋・古川橋・鈴橋(日野川 、近江八幡市・東近江市)
- 琵琶湖大橋(琵琶湖、滋賀県守山市 - 大津市)
- 新宿橋(真野川、大津市真野)
- 大堰橋(大堰川、京都府南丹市)
トンネル
編集- 蒼滝トンネル(菰野町)
- 武平トンネル(三重県菰野町‐滋賀県甲賀市)
- 蔵王トンネル(日野町)
- 途中トンネル(大津市伊香立途中町)
- 大布施トンネル(京都市左京区花脊大布施町)
道の駅
編集通行止め区間
編集- 旧鈴鹿スカイライン区間は2008年9月2日の豪雨によって大規模な崩土が発生したため、それ以来長い間通行止めとなっていた[21]が、2010年7月16日に滋賀県側が、2011年11月1日には三重県側がそれぞれ復旧し、全線通行可能となった[22]。
- 2010年7月14日の豪雨によって路面が崩落したため、兵庫県川西市黒川(兵庫県道・大阪府道605号国崎野間口線交点)から大阪府豊能郡能勢町野間中、および東郷バイパスの野間稲地(いずれも大阪府道4号茨木能勢線交点)の間、約3.6 kmが通行止めとなった[23]が、2011年3月25日15時に片側交互通行可能となった[24]。その後、同年4月27日に全面復旧となった[25]。この区間は、2014年8月に来襲した台風11号の大雨でも被害を受け、2014年9月末まで1か月半にわたり通行止めになっている。
- 2013年9月に来襲した台風18号の被害の復旧工事のため、京都市右京区嵯峨越畑から亀岡市旭町三俣の間約5 kmが2014年6月20日から12月15日の間全面通行止めとなった。この区間に人家はなく、京都府道50号京都日吉美山線 - 広域農道 - 京都府道408号郷ノ口室河原線で迂回可能。
地理
編集通過する自治体
編集交差する道路
編集三重県四日市市
- 国道23号・国道164号:蔵町(起点)(国道164号と中部交差点まで重複)
- 国道164号・国道1号:中部交差点(国道1号と四日市橋南詰交差点まで重複)
- 国道1号・国道365号:四日市橋南詰交差点(国道365号と西町まで重複)
- 東名阪自動車道:四日市インター入口
三重県三重郡菰野町
- 国道306号:菰野交差点
滋賀県蒲生郡日野町
- 国道307号:松尾北交差点
滋賀県蒲生郡竜王町
滋賀県大津市
京都府京都市
- 国道367号:左京区大原小出石町
- 国道162号:右京区京北周山町上寺田
京都府南丹市
京都府亀岡市
- 国道372号:宮前交差点
兵庫県川西市
- 国道173号:一の鳥居交差点(池田市西本町交差点まで重複)
大阪府池田市
- 阪神高速11号池田線:池田木部第二出入口
- 国道423号:木部交差点(西本町交差点まで重複)
- 国道173号・国道423号・国道176号:西本町交差点
- 国道171号・国道173号:石橋阪大下交差点
通過する路線バス
編集通過する主な峠
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c d 松波成行 2008, p. 46.
- ^ a b c d e 鹿取茂雄 2018, pp. 56–57.
- ^ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2019年10月31日閲覧。
- ^ “三重県の道路/県管理道路一覧”. 三重県県土整備部. 2012年11月1日閲覧。
- ^ 平成5年(1993年)3月31日大阪府告示第574号
- ^ a b c d e f g “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2024年4月20日閲覧。
- ^ “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2012年11月1日閲覧。
- ^ “一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(平成4年4月3日政令第104号)”. 法庫. 2012年11月1日閲覧。
- ^ a b c 渡辺郁麻 2008, p. 49.
- ^ a b c d 渡辺郁麻 2008, p. 47.
- ^ “一般国道477号四日市湯の山道路の供用を開始します”. 三重県 (2018年9月6日). 2018年9月6日閲覧。
- ^ “湖国のみち開通目標”. 滋賀県. 2022年2月18日閲覧。
- ^ “477号小出石バイパス 用地買収を進捗 年度後半にも着工見込む 京都市(京都府下ニュース)”. 京都建設タイムス. (2005年4月20日). オリジナルの2014年1月25日時点におけるアーカイブ。 2010年12月10日閲覧。※事業化当時のソースであり、完成時または現状と相違する可能性がある。
- ^ “道路改良事業の紹介”. 大阪府. 2010年12月10日閲覧。
- ^ “能勢町の歩み”. 能勢町. 2010年12月10日閲覧。
- ^ “平成22年度・大阪府池田土木事務所_施策のポイント” (PDF). 大阪府. 2011年11月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年1月26日閲覧。
- ^ “道路の愛称”. 滋賀県 湖東土木事務所 道路計画課 (2010年6月25日). 2013年4月12日閲覧。
- ^ a b c d 佐藤健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年、24-27頁。ISBN 978-4-06-288282-8。
- ^ 鹿取茂雄 2018, p. 57.
- ^ a b c 渡辺郁麻 2008, p. 48.
- ^ 平成20年9月2日〜3日の災害による通行止めについて - 三重県
- ^ “国道477号(鈴鹿スカイライン)の通行について”. 滋賀県. 2011年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年7月18日閲覧。
- ^ “2010.07.14の豪雨による国道477号通行止めに伴う迂回路図” (PDF). 兵庫県. 2010年7月30日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “国道477 号『全面通行止』から『片側交互通行』へ規制変更のお知らせ” (PDF). 兵庫県. 2011年4月23日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “一般国道477号全面復旧のお知らせ。”. 2011年4月28日閲覧。[リンク切れ]
参考文献
編集- 鹿取茂雄(著)、磯部祥行(編)「国道477号〈百井別れ〉」『酷道大百科』〈ブルーガイド・グラフィック〉、実業之日本社、2018年12月28日、56 - 57頁、ISBN 978-4-408-06392-8。
- 松波成行、渡辺郁麻「国道477号」『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、46-49頁、ISBN 978-4-86320-025-8。