概要
数年前の自分(高校卒業程度の物理は履修しているが、趣味で電子工作をしたことがない)が読んだときに学習をショートカットするための知識をまとめておこうと思ったので書きます。
同じように電子工作を始めようとして、躊躇している人が居たら、参考になるかもしれません。 ちょうど家にいる時間が増えているこのタイミングで、技術の幅を広げるのも楽しいと思います!
- この文章は趣味レベルの電子工作で遊んでる僕が独断で書いたものです
- 高周波回路や、高電圧を扱うような工作ではなく、ホビー用途を対象としています
- 技術的な誤りがあったらごめんなさい…
このエントリに書いてある程度の理解力でも、こんな感じの事は出来るようになりました。
初めまして。
— Haritora (@HaritoraVR) 2020年5月3日
Haritoraという下半身トラッキングシステムを作っています。
ベースステーションが結構高いので、フルトラを民主化出来たら嬉しいです('-'*)#vrchat pic.twitter.com/nQstCKjmy7
よくある質問と答え
電子工作ははんだ付け難しくない?
半分正解で半分間違い。
白光のはんだごてを使うと、技術の時間で苦労したのが冗談みたいに半田付けが楽になります。
はんだ吸い取り線は不便なのではんだシュッ太郎を使うと、割と失敗したときのリカバリが出来ます。
サンハヤト はんだシュッ太郎NEO 45Wタイプ HSK-300
- メディア: Tools & Hardware
2.54mm幅のピン程度なら、はんだごてのこて先を太いものにすると、より簡単にハンダ付けできます。
こて台は金色のこれがおすすめ。だけど安い他のでも大丈夫です。
ユニバーサル基板にちゃんと実装するの大変では?
ユニバーサル基板っていうのはこういうやつです。
実はこの数年、ユニバーサル基板は使ったこと無いです。
深圳のPCBサービス(PCBwayやPCBGOGO)と後述のKiCADがあれば、毎回基板を起こして発注してしまえます。到着時間も数千円で1週間程度なので、週末工作も可能です。
また、試作時点ではブレッドボードで大丈夫です。 ブレッドボードはこういうやつです。
回路図に何が書いてあるかわからない
とりあえず、どこにコンデンサを入れると良い、とか抵抗の値は…みたいなのが読めなくても、結線するだけでなんとなく使えるブレイクアウトボード(breakout board)という形で各種センサーは入手できることが多いです。
ブレイクアウトボードの場合は配線も2.54mm幅になっていることが多いので、ハンダ付けもしやすく、多くの場合は繋げば動くので大丈夫です。
基板を起こすっていうとコンデンサとかも全部配置しないといけないの?
これが僕がハマっていた罠でした。 世の中には既に良い感じに配線済みのブレイクアウトボードがあるので、ブレイクアウトボードを幾つかそのまま乗せて、マイコンを乗せるための穴だけ開いて配線だけをPCB基板に作る。という作り方をしても(多少不格好でサイズが大きくなりますが)動きます。
十分コレでも楽しめるので、ブレイクアウトボードを何個か乗せるだけの基板を作ることに躊躇しないようにしましょう。そうすると出来ることが大幅に増えます。
電子工作はお金がメチャクチャ掛かりそう
それはそう…とは言え
- Arduinoなどのマイコンは互換品がAmazonとかで買える(数百円から千円程度)
- センサーの中華製ブレイクアウトボードもAmazonで買える(数百円)
- ピンヘッダやジャンパワイヤ、ブレッドボードもAmazonで買える(数百円)
- どうしても無さそうならAliexpress経由で買うことで安く買える(納期は長い)
なので、はんだごてとシュッ太郎など工具だけ揃えたら、開発環境は無料でもそろっていて、個別部品も中華クローンなどがあるので安価に作ることが出来ます。
出来上がった基板を収めるケースが高い…
実はこれも罠で、タカチ製のちゃんとしたケースとかを使うより、3万円程度の3Dプリンターを買って、Fusion360でケースを設計してプリントした方がピッタリサイズになるし、ランニングコストがそれほど掛からないので便利です。
電子回路をケースに入れずに裸で運用していると、うっかり金属に触れてショートして壊してしまう可能性も減るので、ケースを作れる環境は用意しておくと安心です。
ソフトウェアを書くのが凄く面倒くさそう…
Arduinoの標準IDEはお世辞にも高機能とは言いづらいですが、VisualStudio CommunityとVisualMicroの組み合わせや、あるいはVSCodeとArduinoプラグインなどの開発環境であればコード補完も効くので効率的に開発できると思います。
どんな学習ルートで進めば良いの?
最初にArduinoの全部入りセンサーキットとか工具を買う
Amazonで数千円です。工具は上に書いたものを揃えておけば、大丈夫じゃないかなと思います。
ミニマルに始めるならはんだごてだけでも大丈夫です!
また、ソフトウェア畑の人であれば、初めてのマイコンにM5StackやM5StickCなども良いかもしれません。
ブレッドボードで実験して動いたら、動いた回路の組み合わせをKiCADで再現する
基板を作るためのCADであるKiCADを覚えましょう。fritzingとかEagleとかより情報量が段違いなので。 以下のリンクを読んで、KiCad 5.0 / 5.1 入門実習テキスト『KiCad Basics for 5.x』を読めば大体それっぽくなります。
KiCAD上で完全に回路を再現するためのカスタムIC部品の製作、とかも手を出すとステキですが、似たサイズのピンヘッダやピンソケットを代わりに置いてしまえば大丈夫です。
また、配線を手でやらなくても配線自動生成(AutoRouting)を使うことで凄く簡単にそれっぽい基板になります。KiCADの回路図エディタを怖がらずに数時間使ってみると、 配線自動生成のお手軽さの恩恵を受けられて、すぐに投資した時間を回収できます。
ケースを作るために3D CADを覚える
非商用であればFusion360が無償です。情報がとても多いのとYouTubeの解説講座も充実しているので、おすすめです。
また、3Dプリンタは3万円程度の物でも(ケース程度であれば)十分に使えます。
ThingsverseにあるケースのstlファイルをFusion360に読み込んで、無理やり改変して取っ手を付けたりサイズを調整する、というところまで出来るようになると、一気に世界が広くなった気持ちになります。
好きなものを作る
Enjoy!