こういう時間もある

昨年末、仕事を納めて、自転車で職場の忘年会会場に向かっていた時のこと。
寒い日だった。走り出してすぐ、カバンからニット帽を出して被った。
 
川の手前の坂を登り、大きな橋を渡る。
午後四時。川面が夕方の空を映し、カモメのような鳥がたくさんピーピー鳴きながら飛んでいた。まだ明るいけれど、夕日があたっていないところは深い色に沈み、夜の気配。天気の良い冬の夕方の冷たい空気。そして明日から休みという安心した気持ち。
 
いい時間だな。幸せだなと感じつつ、昔の自分が未来を想像したとして、今の年頃でこういう時間を持ち、こういう気持ちになることは予想できないだろうなと、ふと思った。
なんということもない時間とも言えるが、生きて過ごしてみないと味わえない微妙なバランスの幸福感。
 
誰の共感も得られるわかりやすい幸福もいいが、こういう実際に過ごしてみないとわからない時間が、たまにあることは生きることの救いだ。