米国小児科学会報告書:解熱剤適正使用に関する保護者教育強調

熱を早く下げさせたく多くの親は奔走する。発熱恐怖症("fever phobia")に陥り、平熱に下げようとならないように親への教育が必要であり、解熱剤適正使用啓発の必要性を示したアメリカの小児科学会の報告書


American Academy of Pediatrics (AAP:http://www.aap.org/) は、Pediatrics誌に熱単独だけでは解熱剤投与必要ないことを示唆。
Clinical Report—Fever and Antipyretic Use in Children
Janice E. Sullivan, MD, Henry C. Farrar, MD, and the SECTION ON CLINICAL PHARMACOLOGY AND THERAPEUTICS, and COMMITTEE ON DRUGS
http://pediatrics.aappublications.org/cgi/reprint/peds.2010-3852v1


親御さん向け教育が必要ということが学会からのニュースに書かれている。

発熱及び"fever phobia"(発熱恐怖症)に関する教育必要性、適正投与に関する教育的ニュース

NEWS AND FEATURES Fever! Fever! Fever!
http://aapnews.aappublications.org/cgi/content/full/32/3/8


この報告書の責任者であるDr. Janice Sullivanは、「楽にさせてあげることが主となるべきであり、体温を絶対視すべきではない」と述べている。
本来熱は免疫系の"jump-starting”が目的の現象であり、それにより細菌やウィルス成長を阻害することとなるのだ(http://www.healthnews.com/family-health/child-health/fast-fighting-fever-with-medication-not-always-beneficial-for-children-4801.html)。


情報ソース:http://aapnews.aappublications.org/cgi/content/full/32/3/8


要約抜粋:
小児の発熱は、小児科および医療関係者が頻繁に遭遇する症状の一つであり、親の関心の多い原因である。.多くの親は、熱が殆ど無いか、平熱でさえ、解熱次を与え、平熱維持しなければならないと考えている。
しかし、発熱そのものは疾患そのものではなく、感染と戦う利益性に基づく生理学的メカニズムである。
熱自体が病気の経過を悪くしたり、あとに残る合併症の原因となる疾患原因になるなどのエビデンスはない。
故に、発熱児への対処として最初の目標は、子供の全般的快適性を改善することであるべきで、平熱への回帰を目標としてはならない。
発熱児の両親や世話人から相談を受けるとき、一般的に全身状態が良いこと、活動性を観察することの重要性、重篤疾患の兆候を観察すること、適切な水分摂取を促すこと、解熱剤の安全な投与を強調すべきでる。
現行エビデンスでは、発熱状態の全般的に元気な子どもに対するアセトアミノフェンとイブプロフェンに、安全性有効性の差はない。2つの合剤が単剤同士より有効であるというエビデンスがある。しかし、併用使用の合併症や安全性への懸念が関心を生んでいる。
小児科医は、単純化した方式、投与量、投与デバイスをアドボケートし、患者の安全性を促さなければならない。


最後の合剤記載は、あえて触れないほうが良い気がするのだが、使用法として流布し始めてるのでその対策なのだろうか・・・

by internalmedicine | 2011-03-01 09:00 | 感染症

 

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