『僕たちは希望という名の列車に乗った』
原題:Das schweigende Klassenzimmer
2018年製作/ドイツ映画/上映時間:111分/PG12/2019年5月17日日本公開
監督:ラース・クラウメ
出演:レオナルド・シャイヒャー
トム・グラメンツ
レナ・クレンク ほか
ベルリンの壁建設前夜の東ドイツを舞台に、無意識のうちに政治的タブーを犯してしまった高校生たちに突きつけられる過酷な現実を、実話をもとに映画化した青春ドラマです。
監督は『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』などのラース・クラウメ。
あらすじ
1956年、東ドイツの高校生テオとクルトは、列車に乗って訪問した西ベルリンの映画館で、ハンガリーの民衆蜂起のニュースを見る。クラスの中心メンバーの彼らはクラスメートに声を掛け、ハンガリー市民に哀悼の意を表し、授業中に2分間の黙祷を実施した。だがその行為は、社会主義国家への謀反と見なされる。
(シネマトゥデイより)
政治のタブーに踏み込んだ若者たちが、究極の選択を迫られる実話を基にした青春映画です。
ベルリンの壁ができる5年前という激動の時代を生きた少年・少女たちを描いております。
原題の直訳が「沈黙の教室」。
これですとスティーヴン・セガールが大活躍する映画と勘違いされてしまうからか、ある意味的確、ある意味ネタバレな邦題の本作。
劇場公開時、「観たい」と思っていたのですが、見逃してしまい、ようやく鑑賞することができました。
想像以上に東ドイツの社会主義が冷たく、鋭く尖ったような恐ろしさを感じ、本当に怖く感じました。
また、労働者階級の過酷さ、厳しさも描かれております。
ほんの2分間の黙祷。
それが国家規模にまで発展してしまう・・・。
社会主義の敵として徹底的に首謀者を暴こうとする権力に対し、仲間を売って助かる道を選ぶか?自分たちの信念を貫き、大学進学を諦めるのか?
非情に迫る権力のそれこそ大きな壁が凄まじい戦慄を呼びます。
今、私たちが当たり前に手にしていると思われている自由。
それを奪われ、それを求めることに多大の犠牲を払っていた時代が存在した。
その悲しい現実を目の当たりにし、胸が締めつけられる思いでおりました。
終盤、あの名作『いまを生きる』っぽいものを狙ったところはご愛敬ですが、とてもすばらしい、”ベルリンの壁”を知らない若い世代にぜひ観てもらいたい作品です。
若い俳優さんの目が活き活きしておりました。
ここもすばらしかった!
日本版予告編