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若者がファクトチェック技術を競う「ユースファクトチェック選手権 2024」開催――大会形式で情報リテラシーを学ぶ

(トップ画像:Classroom Adventureのプレスリリース、2024年10月16日付)

 Classroom Adventureは、日本ファクトチェックセンター(JFC)ほか各国ファクトチェック団体との共催で、12~24歳を対象としたファクトチェックの技術を競う大会「Youth Verification Challenge 2024(ユースファクトチェック選手権 2024)」を11~12月に開催する。入賞チームには総額約25万円の賞金も送られる予定で、現在、参加者を募集中である。

生成AIなどの普及で情報の見極めがますます困難に

 SNSや生成AIの普及で、より深刻な社会問題となってきている誤情報の拡散だが、特に若者において正しい情報の見極めが困難になっているという[*1]。この状況を踏まえ、慶應義塾大学発のEdTech企業であるClassroom Adventureらは、若者がデジタル時代を生きるために不可欠な情報リテラシーを実践的かつ身近に学ぶ場としてユースファクトチェック選手権の開催を決定した。本大会は、2021年からGoogle News Initiativeが開催してきたが、今回はそれを引き継ぐ形となる。

[*1]…… 2024年に読売新聞が行った調査では、日本は誤情報を見抜けた人の割合が米国・韓国よりも低かった。また、総務省が2020年に発表した新型コロナウイルス感染症の情報についての調査報告書には「新型コロナウイルス感染症に関する間違った情報や誤解を招く情報について、若い年代ほど情報を信じてしまった割合や情報を拡散してしまった割合が高くなる傾向が見られたことから、特に若い年代に対してリテラシー向上の取組を充実させていくことが必要である」と記載されている。

ユースファクトチェック選手権の狙い

 ユースファクトチェック選手権は、大会形式とすることで、情報リスクから逃げるのではなく情報と正しく向き合うための技術を養うとともに、リアルタイムで行われるチーム対抗戦で、迅速かつ正確に情報を判断する能力を身に付けることを狙いとしている。

ファクトチェックの問題例(出所:Classroom Adventureのプレスリリース、2024年10月16日付)

 本大会は、3日間に分けて行われる。11月23日開催の第1ステージではClassroom Adventureが提供しているファクトチェックのゲーム「レイのブログ」に挑戦するとともに、JFC編集長の古田大輔氏による特別講演が行われる。11月30日開催の第2ステージは日本大会として、リアルタイムのチーム対抗戦を通じて複数の検証課題に挑戦する。そして12月14日開催の第3ステージは世界大会で、各国の代表チームがリアルタイムに対決する。この世界大会で入賞したチームには、総額約25万円が副賞として送られる。

ファクトチェックの初心者も参加できるように、ファクトチェックの基本レクチャーから世界大会までを3日間に分けて実施(出所:Classroom Adventureのプレスリリース、2024年10月16日付)

 大会はすべてオンラインで行われ、YouTubeなどの配信サービスを通じて世界中に発信される予定だ。参加のためのエントリーは、11月18日まで大会公式サイトから行える。

文:佐々木三奈 フリーランスライター/校正者、がん患者・経験者の運動を支援する「まめっつ」メンバー。『SDGs白書』『インターネット白書』の編集にも参加。

「D for Good!」2024年10月29日付記事より)

「D for Good! by Impress Sustainable Lab.」について

このコーナーは、インプレスホールディングスの研究組織であるインプレス・サステナブルラボがnoteで連載中の「D for Good!」から記事を転載しています。D for Good!では「デジタルで未来を明るく!」を掲げ、書籍「インターネット白書」「SDGs白書」を編集するインプレス・サステナブルラボ研究員が、サステナビリティが身近になる話題を発信しています。