お仕事にも役立つ無料アプリ
多言語間でスムーズな会話が実現しそうな「Microsoft Translator」
2017年7月12日 06:00
サービス名 | Microsoft Translator |
リリース日 | 2008年9月8日 |
運営会社名 | Microsoft Corporation |
料金 | 無料 |
URL | https://translator.microsoft.com/ |
登録 | 不要(ウェブページ上で「会話」に参加する場合はMicrosoft、Facebook、Google+いずれかのアカウントでのログインが必要) |
2015年7月から、すずまりさんに執筆をお願いしている連載「いまさら聞けない!? ちかごろ話題のサービス・アプリをさくっと解説」を“お仕事にも役立つ無料アプリ”としてリニューアルします。実際にどんなときに使うと便利なのか、そのメリットをお伝えする内容はそのままに、無料のiOS/Android/PCで使えるアプリについて、とくに仕事やビジネスの現場で使うと、より便利になるアプリについてご紹介していきます。(編集部)
ニューラルネットワークによる自動翻訳サービス
ふだん英語を使う機会がないビジネスパーソンにとって、突然英語が必要になる環境というのは、かなり酷なものでしょう。ビジネス英会話の本を買って、何とか定型文は言えても、相手の言っていることがさっぱり分からないというのはありがちです。そんな方の強い味方になってくれそうなのが、「Microsoft Translator」です。
「Microsoft Translator」は、Microsoftが2008年から無料で提供している音声やテキストの自動翻訳サービスです。
現在「Microsoft Translator」が利用できるのは、Microsoft Translatorのウェブサイト、Android/iOS/Windows/Amazon端末向けの「Microsoft Translator」アプリ、Microsoft Edge向け拡張機能「Translator for Microsoft Edge」、Outlookアプリ向けのアドイン「Translator for Outlook」となっているほか、一部のSkypeでもリアルタイム翻訳が利用でき、企業向けのAPIも用意されています。
対応言語は60以上の国と地域。このほかに、画像認識では、「スタートレック」でおなじみのキャラクター“クリンゴン星人”が話すクリンゴン語の翻訳もサポートされています。
アフリカーンス語 | アラビア語 | ボスニア語(ラテン文字) | ブルガリア語 |
広東語 | カタロニア語 | 中国語(簡体字) | 中国語(繁体字) |
クロアチア語 | チェコ語 | デンマーク語 | オランダ語 |
英語 | エストニア語 | フィジー語 | フィリピン語 |
フィンランド語 | フランス語 | ドイツ語 | ギリシャ語 |
ハイチクレオール語 | ヘブライ語 | ヒンディー語 | ミャオ・ヤオ語 |
ハンガリー語 | インドネシア語 | イタリア語 | 日本語 |
キスワヒリ語 | 韓国語 | ラトビア語 | リトアニア語 |
マダガスカル語 | マレー語 | マルタ語 | ノルウェー語 |
ペルシャ語 | ポーランド語 | ポルトガル語 | オトミ語 |
ルーマニア語 | ロシア語 | セルビア語(キリル文字) | セルビア語(ラテン文字) |
スロバキア語 | スロベニア語 | スペイン語 | スウェーデン語 |
タヒチ語 | タイ語 | トルコ語 | ウクライナ語 |
ウルドゥー語 | ベトナム語 | ウェールズ語 | ユカテックマヤ語 |
2016年4月から画像認識による自動翻訳機能が追加され、2017年4月からは従来の統計的手法からニューラルネットワークによる機械翻訳に切り替わり、翻訳精度が飛躍的に向上。さらにリアルタイム音声翻訳にも対応しました。Skype翻訳で提供されるリアルタイム音声翻訳は1対1に限られるようですが、Microsoft Translatorのウェブサイトやアプリを使うと、100人までのリアルタイム音声翻訳ができるといいます。
すべての言語がリアルタイム音声翻訳に対応しているわけでありません。この中でリアルタイム音声翻訳が可能なのは、アラビア語、中国語(マンダリン)、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語、そして日本語です。つまり、これらの言語間なら、「Microsoft Translator」を介してお互いの言葉で会話できるというわけです。
「Microsoft Translator」アプリでリアルタイム翻訳
最も身近な存在となるのが、スマートフォン用の「Microsoft Translator」アプリでしょう。1つの画面に音声翻訳、テキスト翻訳、画像認識翻訳、グループチャットの機能メニューが並び、必要に応じてすぐ起動できるようになっています。翻訳先は、英語、アラビア語、イタリア語、インドネシア語など50言語。言語パックをダウンロードしておけば、オフラインでも翻訳機能を利用できます。
マイクのアイコンから利用できる対面式の音声チャットは、テキストへの変換精度が極めて高く、よほど早口でなければ、ほぼ間違いなく認識してくれます。
変換履歴は別の画面(iPhoneでは画面左下にある時計のアイコン)から確認でき、気になるフレーズのピン止めや、ほかのアプリへのシェアも可能です。
翻訳アプリといえば、分からない単語や文章をコピー&ペーストで流し込み、翻訳するという使い方が一般的でしょう。
しかし、あえて「Microsoft Translator」アプリを使うなら、やはりリアルタイム翻訳を活用したいところです。相手も「Microsoft Translator」アプリをインストールしておく必要はありますが、ホストになってコードを発行し、話したい相手にコードを渡して招待すると、その場で会話ができますから、相手の発言をいちいちコピー&ペーストして、翻訳してはチャット画面に戻る、というわずらわしさから解放されます。チャットアプリなどで言葉が通じないときは、いったん会話の環境を「Microsoft Translator」アプリに移すことで、スムーズなコミュニケーションが可能になるかもしれません。
気になる翻訳精度ですが、元の文章が丁寧に書かれていれば、かなり高い精度で変換してくれるようです。ただし、口語などかなりくだけた表現になっている場合は、雰囲気を掴む程度にとどまることもあります。とはいえ、テキストの打ち間違いもある程度はカバーしてくれるので助かります。会話には変換前のフレーズも表示できるので、オンにしておけば知識を動員して意味を補うこともできるでしょう。
あくまでも翻訳ツールでありグループチャットではないので、自分が参加した会話や、そのログを参加者側で残せないということは覚えておきましょう。会話のログを保存できると、その後の勉強にも使えそうな気がします。
このほか、インプットしたものを翻訳するだけでなく、例文を集めた「フレーズブック」も必見。「食事」「宿泊施設」「基本表現」「時間、日付、番号」「テクノロジー」「健康」「旅行と行き先」などのカテゴリー別に、すぐ使える例文が並んでいます。例えば「テクノロジー」は「携帯電話を紛失しました」「SIMカードが欲しいのですが」といった具合です。どんなことが書いてあるかを確認しておけば、いざというときに、ドギマギしないで済みそうです。
「Microsoft Translator」を使う3つのメリット
「Microsoft Translator」を使うメリットは、利用環境(対応デバイス)が幅広いこと、複数のデバイスを使ってグループで利用できること、テキストと音声の両方でリアルタイム翻訳が可能なことの3点。
リアルタイム翻訳に対応した言語同士なら、それぞれのスマートフォンを持ち寄れば、お互いの母国語が分からなくてもグループディスカッションが実現します。さらに、アドオンも使えばメールやドキュメント、オンラインミーティングなど、ビジネスにおける多くのシーンをカバーできるわけです。
外国語が話せなくても、レジや受付にタブレットやマイクを用意しておけば、備え付けのタブレット内のアプリを見ながら会話ができるかもしれません。スマートフォンのアプリは、外国人の多いシェアハウスや、Airbnbのような宿泊サービスを利用するときも活躍しそうです。
まずはリアルタイム翻訳機能を体験するところから始めてみましょう。