フリーの翼型解析ソフトXFLR5の使い方
人力飛行機や模型飛行機などなど翼を持つものを設計しきゃいけない人への記事です.
流体力学の知識と航空力学についての知識が少しだけでもあると読みやすいと思います.
自分は人力飛行機を設計したことはあるけど,流体や航空力学は専門外で独学なので深くは知らないし間違ってるところあるかもしれません.
XFLR5ver5.0の記事です.
翼型解析・3次元解析のこれまで
XFOIL
フリーの2次元翼型解析ソフトで有名なものにXFOILがある.
開発したのはMITの教授で模型飛行機や人力飛行機界隈では有名人のMark Drela教授.
2次元翼型解析ソフトとしては素晴らしいソフトだけど,シンプルすぎるユーザーインターフェイスのせいでちょっとだけ難しい.
↓XFOILの画面
XFOILはCUI(コマンドラインインタフェース)なので黒い背景にやって欲しいことのコマンドを打ち込んで進めていく.
コンピュータに詳しい人ならいいけど,多くの人には敷居が高くヘルプ(「?」を打ち込んで見ることが出来る)見ても難しい.
XFOILのざっくりとした使い方は
トップレベルから「OPER」「GDES」「MDES」「QDES」の各々のサブルーチンに移ってコマンド入れていく
- OPER(Operation):2次元翼の解析
- GDES(Geometry Design):翼型をいじれる
- MDES:欲しい翼周りの速度分布を元に,複素平面上の写像を使って逆問題的に翼型を出してくれる
- QDES:MDESとほぼ同じ.一部分だけ翼型を変更できる
飛ぶものを設計するなら,翼型のデータベースから使いたい翼型を持ってきてOPERルーチンを使いながら翼の性能を求める.
アルゴリズムの問題で人力飛行機でよく使われるDAEシリーズの翼型などでは値が発散してしまい繰り返し計算させる「↑,ENTER」を連打する簡単なお仕事をする羽目になる.
とにかくXFOILは使いにくい
XFOIL以外の翼型解析
Javafoilというソフトもある.アルゴリズムが違うのかXFOILと値が異なったりする.見た目はキレイだが特に利点はなさそう.JAVAFOILのサイトにJAVAPROPというプロペラの空力計算できるソフトがあって,それは面白いかなとは思うけど.
XFLR5の概要
XFLR5はGNU GPLライセンスのフリーソフト.低レイノルズ数領域での2次元翼型解析・3次元翼の運動解析ソフト.XFOILとAVLを合わせて使いやすくして機能を増やしたようなすごいやつ.模型飛行機などの低レイノルズ領域のためのソフトであって他のレイノルズ数領域,例えば実際の飛行機には適さない.
- XFOILと同じアルゴリズムで見やすく使いやすく2次元翼型解析できる
- XFOILと同様に順解析(揚力係数求めたり)に加えて逆解析で翼型の設計もできる
- 3次元での機体の解析では揚力線理論(LLT:Lifting Line Theory)とAVLを参考にした渦格子法(VLM:Vortex Lattice Method)と3次元パネル法の3つから選べる
- XFOILではやりにくかった翼型同士の比較やグラフ化もソフト内でできる
- 3次元翼を3D表示してくれて揚力・抗力・モーメント等を値と共にグラフィカルにも出力してくれる
使い方
インストールは出来たものとして立ち上げると真っ黒な画面が出てくるので[File]→[New Project]とか選びたくなるけど選んでも翼型も読み込んでないしモードも選んでないので何も出てこない.
XFLR5では4つのアプリケーションモードがある
- Direct Foil Design
- XFoil Inverse design
- XFoil Direct Analysis
- Wing and Plane Design
[File]からいずれかを選ぶとそのモードになって色々いじれるようになる.
それぞれのモードを一括して保存するのにProjectファイル(hoge.wpa)で保存される.
Direct Foil Design
翼型を混ぜたり編集したりするモード
読み込み
[File]→[Open]から翼型の座標が書かれたテキストファイル(datファイル)を開くか
ファイルのアイコンからdatファイルを開く.(このページ最後のAppendixも参考に)
このとき一見うまく読み込めたように見えても後縁が離れていることがある.
これはEdit coodinateでいじろうとしても思ったような変更ができないので.[Foil]→[Refine Locally]で直す.
NACA系列や模型飛行機用の翼型だと後縁が鋭くなりすぎないように後縁が離れていたりするので好きなように調整する.
NACA4字番号と5字番号は[Foil]→[NACA Foil]から数字を入れると座標ファイル無しに出してくれる.
下の欄のNumber of Panelはその翼型の座標の個数.翼型は読み込まれた座標を直線でつないでいるので座標数少ない翼型を読み込むと特に前縁付近でカクカクになる.座標点多すぎてもAnalysisのところでエラーが出る模様.
ここでは人力飛行機の主翼に使う翼型の選定を想定して人力飛行機っぽい翼型として
DAE11,DAE21,DAE31
EPPLER 393,EPPLER 395,EPPLER 396
FX-76-MP-120,FX-76-MP-140,FX-76-MP-160
比較対象として
EPPLER 654(鳥コン滑空機で使われる)
NACA 4412(軽飛行機で使われる,鳥コン滑空機でも)
CLARK Y(模型飛行機で使われる)
を読み込んだ
【追記】
ここで翼型比較をしようかと思ったけど,長くなるので別記事にした
http://d.hatena.ne.jp/ina111/20100903/1283534704
【追記終了】
用語の説明
左から順番に
Thickness(%)→翼厚
at(%)→最大翼厚位置
Camber(%)→最大キャンバー,中心線と翼弦の距離
at(%)→最大キャンバー位置
Points→翼型を表すdatファイルの座標の数
TE Flap(°)→後縁フラップの取り付け角
TE XHinge→後縁フラップの翼弦方向の位置
TE YHinge→後縁フラップの垂直方向の位置
LE 〜→前縁フラップの〜
右側にあるボタンやDesign...ボタン(=上のFoilタブと同じ)の中身
Duplicate→選択している翼型の複製
Normalize the Foil→翼弦長が1.00以外で読み込まれた翼型を縮小拡大して1.00にする
De-rotate the Foil→回転によって翼弦をx軸に合わせる.Normalizeと合わせて翼型を正規化できる
Refine Locally→よくわからない.後縁がつながってないときに使ってる
Refine Globally→翼型の座標の数を変更できる.どこに座標を集中させるかなど.
Edit Foil Coodinates→読み込んだ翼型の座標の編集,正直使いにくい
Scale camber and thickness→キャンバーと翼厚の%と位置の変更
Set T.E. Gap→後縁の隙間の設定
Set L.E. Radius→前縁半径の設定
Set Flap→フラップの設定
-
- -
Interpolate Foils→2種類の翼を混合する.任意の比率で可能
NACA Foils→NACAの4字・5字翼型を作る
マウスで新しい翼型を作る
翼を取り込む前からあるSpline foilはマウスで座標点を動かし,その点を使ったB-スプライン曲線で結んで翼型にするもの
Ctrl+クリックで制御点を増やすことができる
既存の翼型から加工
右側のボタンの[Design...]もしくはメニューの[Foil]から以下のところをいじると良い.
調整
翼型を作成・加工すると解析で値が収束しないことがある.そのときは以下のような調整が必要.
- [Refine Locally]で後縁の座標が変になってるのを直す
- [Refine Globally]で座標の集中させているところを直す.前縁(曲率の大きなところ)に多くの座標が必要.形は変じゃないのに解析できないときはとりあえずここのApplyを押してみるとよい
- [Normalize]で大きさを正規化.
- [De-rotate]で翼弦とx軸を一致させる.
- [Edit Foil Coodinates]で翼面に尖ったり滑らかでない点がある場合に除いたり動かしたりする.
XFoil Inverse Design
所望の速度分布から翼型を設計できるモード
Full Inverse Design(XFOILでいうMDES)とMixed Inverse Design(XFOILでいうQDES)と同様のことができる.
日本語のドキュメントだとMac OS XでXfoilを使おう!
が参考になる.
グラフ縦軸のQ/Vinfは主流と翼面上の流速の比.左側が下面で右側が上面側を表している.
Full Inverse Design Methodで出力される翼はDirect Analysisで読み込める座標の数より多いので[Foil]/[Design]→[Refine Globally]で座標の数を変えるべきらしい.
Mixed Inverse Methodでは元の翼と同じ座標数だが座標の数を変えることを勧められている.
使い方
・Full Inverse Design
- 元になる翼型を読み込む
- 右側にある[New Spline]ボタンを押す
- 上面か下面のどちらかから2点を選ぶ
- スプライン曲線の制御点をマウスで動かして所望の速度分布を作る
- [Apply Spline]ボタンを押す
- [Execute]ボタンを押すと新しい翼型を出力してくれる
これを繰り返して設計する
・Mixed Inverse Design
Full Inverse Designの5まで同じで[Apply]ボタンを押したあと,[Mark for Modification]ボタンを押して翼のどこを変形するかを決める必要がある.
XFoil Direct Analysis
翼型の2次元数値解析を行うモード
[Polars]→[Define an Analysis]で流れの条件を決める
解析タイプは4つある
- レイノルズ数,マッハ数.風洞の条件に近い
- レイノルズ数と揚力係数の平方根の積,マッハ数と揚力係数の平方根の積.水平飛行の条件
- レイノルズ数と揚力係数の積,マッハ数.速度と高度が変化しない条件
- 迎え角,マッハ数.特定の迎角でのReの変化をみる
どのパラメータを固定するかでTypeを決める.Type1を使うことが多いはず
用語の説明
レイノルズ数は以下の式で定義
Re:レイノルズ数,U:代表速度(機速),L:代表長さ(翼弦長)
ν:動粘性係数(常温空気中なら0.14〜0.17×10^-4[m^2/s])
人力飛行機の主翼の場合,低出力機でRe=300000〜500000とか高速機でRe=500000〜800000とかになる.
空気中の音速が340m/sで機速が6m/s〜10m/s程度なのでマッハ数は0.02〜0.03と小さくなるので0で良い.
Transition settingsの中のNCritは主流の乱れや翼の振動,表面粗さによる境界層遷移の位置に関するパラメータ.
NCrit=9.0が標準的な値らしい.
NCritが小さい方が撹乱の度合いが大きい.定性的には撹乱が大きいと層流から乱流に移る間の剥離泡(separation bubble)が早く遷移するので抗力が減るが,迎え角を大きくしたときに後流の剥離が早まるために失速角は小さくなる(失速しやすい).レイノルズ数の領域が異なるとこの定性的な話は変わってくるはずなので模型飛行機設計する人は注意.
Foeced transitionsは翼にスタッドを付けたりする場合に設定する.そこで層流から乱流へと遷移する.普通に使うならtopもbottomも1.00で良い.
右側のタブの用語の説明
viscousが粘性か非粘性か.人力飛行機や模型飛行機の場合チェックした方が良いはず.
Init BLをチェックすると,解析の前に境界層を基準値にリセットしてくれる.最初に解析するとき,前回収束しなかったとき,違う条件で解析するときはチェックをいれるべき.Batch処理やsequenceにチェックいれているときは自動的に収束するまでInit BLはオフされて,また収束しなかったときは境界層を基準値に戻してくれる.sequenceでやるときでも前回と角度が違うだろうからオンが良い.よくわからなかったら基本的にオン.
Store OppはOperation Pointの保存でチェックを入れるとメモリーにその条件での結果を保存してくれる(?
条件を決めたら右側の[Analyze]ボタンで計算.
αが迎え角,Clが揚力係数,Sequenceをチェックすれば迎え角を連続で計算してくれる.
Analyze
[Analyze]ボタンを押すと小窓のグラフが出てくる.これは一回の計算では値が収束しないので何度も計算してることを表している.横軸のIterがIterationの略で反復計算回数,縦軸が値の発散具合.失速角以上の迎え角やキャンバーがついている翼での低迎角,DAEシリーズなどでは値が発散しやすい.
迎え角を連続にして解析かけると何点か発散する.よくあることなので気にしない!
多くの点が発散する場合,以下をチェック
- レイノルズ数が小さすぎないか
- 翼型の形が変になってないか
- NCritの値が適切か
特に翼型の形が悪いことが多いので,Direct Foil Designで翼型の調整をすると発散が少なくなる.
上の方の調整のところを参考に.
発散する点はゼロにはしにくいので大体で良い.
幅広いレイノルズ数領域をいっぺんに解析したいときは[Polars]→[Batch Analysis]から可能.
用語の説明
show BL→境界層の厚さ表示
Show Pressure→上の図のように翼の圧力の方向や分布表示
Animate→迎え角を連続で解析していれば,迎え角を変えると圧力分布がどう変わるかがアニメーションで表示
Upper Trans.→翼上面の遷移点
Lower Trans.→翼下面の遷移点
[Operating Points]→[Cp Graph]で上のグラフの縦軸を圧力係数から局所流速に変えることができる.
Wing and Plane design
主翼と尾翼,胴体を3次元的に配置して機体の各種係数を計算してくれるモード
Direct Analysisで解析した翼の特性を用いて計算する.
Direct Analysisで十分に広いレイノルズ数と幅広い迎角での解析が済んでいないとflight envelopeから外れてしまい,エラーがおきるのがで注意.揚力係数がほぼゼロになるところから失速角以上まで解析していると良い.
レイノルズ数と各種係数の値は適宜補間してくれるので間隔(Δ)は適当で良い.
解析方法
XFLR5で対応している3次元解析の方法は3つある
- 揚力線理論(LLT:Lifting Line Theory)
- 渦格子法(VLM:Vortex Lattice Method)
- 3次元パネル法(3D Panel Method)
揚力線理論(LLT)の説明
言葉で説明しようとすると以下のようになる,ここ何行かは読み飛ばしてもらって構わないです.
2次元翼には循環が発生していてクッタ・ジューコフスキーの定理により主流と垂直方向に揚力が生まれると考えることができる.一方,翼端があると上下面の圧力差によって発生する後流渦により誘導される吹き降ろしの流れがある.吹き降ろしと循環の外積が主流方向の力になり,これが誘導抗力になる.これを数式で表すと循環のスパン方向の分布関数がプラントルの揚力線理論の支配方程式という微分積分方程式になる.翼端以降では循環が0になることに着目して簡単化するためにフーリエ級数変換する.フーリエ級数変換されているのでθについて離散化された絶対迎え角と揚力傾斜とコード長を用いた連立方程式を解くことにより揚力と誘導抗力が解析的に求められる.
以上の意味分からない説明おわり.
本で書かれているような揚力線理論では揚力曲線をゼロ揚力角と揚力傾斜というx切片と傾きで1次近似(線形化)している.
XFLR5ではDirect AnalysisのType1で出した揚力曲線が非線形でもその曲線のままで揚力線理論で計算してくれる.
揚力線理論の特徴
- 低アスペクト比の翼と後退角の大きな翼の計算には向かない
- 上半角は少ないことを前提に計算している
- 後退角と上半角はCmの計算にしか使われず,揚力分布に影響しない
- 揚力曲線の非線形性が強いと収束しないことがある.そのときは緩和係数(relaxation factor)の値を大きくすると収束性が良くなるが値の厳密性がなくなる.デフォルトでは20になっている.1以上40以下で変更すべき.
風圧中心は
で表されて分割されたところごとに計算される
吹き降ろしは
Viが吹き降ろし速度,V∞が主流の速度,αiは誘導迎え角
で表されて,表示させることも可能.
グラフの細かい値を見たいときは[OnPoint]→[Current OpPoint]→[Export]でテキストに出力できる.
個人的に思うことは
模型飛行機の設計や人力飛行機の動きをだいたい知りたいなら有意義に使える.
ただし分割数が多く設定できないので人力飛行機の実際の設計には使えない.
LLTが一番正確だと書いてあるが,分割数の関係でVLMの方が揚力も抗力も
分割数を上げた自分で実装したLLTに近い値が出た.
そもそもVLMもちょっと違う値なんだけど.
失速角以上のときは現実とは違う値が出ているはず
理論計算でどれが正しいか,なんて検証なしではアテにならないけど
それにしても計算精度低い.
渦格子法(VLM)の説明
渦格子法はLLTに不向きな翼平面形(低アスペクト比,後退角が大きい,上半角を考慮したい)のときにLLTの代替手法として実装されている.揚力面理論を数値解析できるようにしたもの.
翼を小さなパネルに分割してそれぞれの循環から空気力を求めている.
計算はパネル数の正方行列の逆行列を求めることによりなされる.
LLTとの違いは
- 誘導抗力に関して近似をおこなっているので抗力がLLTより不確か
- 後退角が大きい,低アスペクト比,上反角が大きい,wingletがついている翼でも解析できる
- Cm(モーメント係数)とCP(風圧中心)の値は翼の表面力の積分として計算される.摩擦抗力と遷移などの粘性に関する変数はClの値から導かれていて実際の値と異なる.
VLMにはclassicとQuadsの2種類あるがQuadsの方が計算が早い.値もそんなに変わらない.
3次元パネル法の特徴
- VLMが翼のキャンバーライン上の分割だけで計算していたのに対して,翼の厚みを考慮することができるので複雑な3次元形状のものに対応する
- 翼の上下面のCpの分布がわかる
- 胴体も含めた解析ができる
- Cm(モーメント係数)とCP(風圧中心)の値は翼の表面力の積分として計算される.摩擦抗力と遷移などの粘性に関する変数はClの値から導かれているので実際の値と異なる(VLMと同じ)
[OpPoint]→[Advanced Setting...]のcore radiusは最小のパネルサイズの1/1000以下が推奨されている.デフォルトでは10^-6m
解析にあたっての注意
摩擦抗力や遷移は有限のスパンを持つ実際の翼と2次元翼とで異なる.スパン方向に対して遷移点は一定ではないし摩擦抗力の値も一定ではない.アスペクト比の大きい翼では問題ないが上半角や低アスペクト比や後退角の大きい翼では解析結果と実際は違う値になる可能性がある.
LLTでは粘性抵抗についてと失速角近くの挙動について一番信頼性がある.
LLTが得意でない翼のときにVLMが有効.
3次元パネル法は翼上下面での圧力分布を知りたいときと胴体の影響を考えたい時に有効.
VLMと3次元パネル法では横滑りも計算できる
解析条件
CoGはCenter of Gravityで重心位置
Aerodynamic Dateのρは空気密度(常温空気中で1.2[kg/m3]程度)
νは動粘性係数(常温空気中で0.14〜0.17×10^-4[m^2/s])
Viscousは粘性か非粘性か
Tilt. Geom はVLMと3次元パネル法において後流をx軸に合わせていたのを主流の方向に合わせるボタン.計算時間が少し長くなりCmの値に影響するらしい.
Wake Roll-upは扱いに注意が必要なのでチェックしないのを推奨されている.
Control Analysis
TYPE5,6の制御解析では
重心位置,取り付け角,エレベータの取り付け角,フラップの角度をパラメータとして安定性について考えることが出来る.
解析のためにVML1が使われる
TYPE5はTYPE1に対応.TYPE6はTYPE2に対応
イマイチ使えないんだけど,,中身未実装?
解析結果
1行目:翼・飛行機の名前
Wing Span:翼幅(スパン)
XYProj. Span:xy平面に投影した翼幅
Wing Area:翼面積
XYProj. Area:xy平面に投影した翼面積
Plane Mass:機体重量(全備重量)
Wing Load:翼面荷重
Root Chord:翼根の翼弦長(コード長)
M.A.C:空力平均翼弦(Mean Aerodynamic Chord)
Tip Twist:翼端でのねじり下げ
Aspect Ratio:アスペクト比
Taper Ratio:テーパー比(翼根と翼端の先細比)
Root-Tip Sweep:後退角
QInf:機体速度(無限遠での流速なのでInfが入ってる)
Alpha:迎え角
CL:全機揚力係数(翼型など局所揚力係数のときは"Cl"と小文字になる)
CD:全機抗力係数
Efficiency:翼効率
Cl/Cd:揚抗比
GCm:重心位置での縦揺れモーメント係数
Rolling Moment:ロール方向のモーメント係数
Induced Moment:誘導抗力の左右の差によって生まれるヨー方向のモーメント係数
Airfoil Yawing Moment:誘導抗力以外によって生まれるヨー方向のモーメント係数
XCP:翼の前縁側先端からの風圧中心の位置
極曲線,揚力曲線,モーメント曲線,揚抗比が表示される
LLT,VLM,3Dパネル法それぞれ計算手法によって値が異なる.
どれが実際に近いのかは翼の平面形による.
ただしLLT以外の抗力係数とモーメント係数の値は
揚力係数から導いた値を使っているので,LLTの不得意な翼以外はLLTが近いらしい(自信なし
吹き降ろしによる誘導迎え角のグラフ
エスパーな人ならここを見てコード長やねじり下げの角度を変えて良い感じに設計できるのかも.
分割数をもっと上げたときよりカクカクになってしまってるので
分割点の微妙な違いによって揚力や誘導抗力の値が少し異なる.
VLMや3Dパネル法だと比較的スパン方向に分割数が増やすことができるので
LLTより誘導迎え角は細かく出してくれる.
(ちょっと先っぽがトンガリすぎで変だと思ってる)
分割は多くてうれしいけど,値自体は怪しいらしい.
誘導抗力の分割数的にあんまりよくないLLT
近似しているために誘導抗力の値自体怪しいVLM.3Dパネル法
どっちを使うかは好き好き
リンクまとめ
ソフトウェア
xflr5
ここで紹介している翼型解析ソフト.最新版のダウンロードはここで.参考になるドキュメントもいくつかある.一番良いのはダウンロードについてるGuidelines.pdfファイルなのでわからなくなったらまずそれを見るのが良い.
xfoil
泣く子も黙るXFOILの配布元.ここにおいてあるドキュメントも参考になるかも.
AVL
3次元解析ソフトAVLの配布元.VLMの計算方法はここのドキュメントが詳しいかも.
JAVAFOIL,JAVAPROP
XFOILと少し異なる計算方法(EPPLERコード)で数値解析されるJAVAFOILとプロペラの簡単な設計ができるJAVAPROPがある.飛行機,模型飛行機の空力に関する資料もまとまってる.英語だけど.
Prop Desingner
ここの記事とは関係が薄いけどJAVAPROPを紹介してしまったのでついでで紹介.プロペラの設計ができるソフト.ちゃんと使ったことないからわからないけど,人力飛行機の設計には使えないとかなんとか・・・
FoilSim III
NASAの教育用翼型シミュレーションのwebアプリ.教育用であり,設計用ではないので値は信用できない.実験値とも異なると書いてある.しかし,いじりながら流れが見えて面白い.このNASAのAerodynamicのページは空力関係の知識が教育用にまとまっていてすごい.
翼型データベース
昔は日大NASGが翼型データベースを公開してたのに残念ながら止めてしまったので日本語のデータベースはなくなってしまった.なので外国のを使う.
http://www.worldofkrauss.com/
翼型の数が多くてオシャレな感じでまとまっているデータベース
ここで出てきたページをメモ帳に貼りつけて拡張子をdatにして保存
後縁をそろえたりする必要あり.そのままでは読み込めないものもあるので注意
UIUC(イリノイ大学)の翼型データベース
ここも翼型の数は豊富.一辺にダウンロードしたかったらこっちの方がいいかも.
上面下面の順番が逆だったり前縁から始まってたりで座標ファイル(datファイル)をいじるのが必要なこともある.
http://www.mh-aerotools.de/airfoils/index.htm
上のソフトウェアJAVAFOILと同じリンク.MH系列の翼型が置いてある.
http://aerodynamix.altervista.org/soft.htm
翼型に関する各種ソフトへのリンクと翼型のまとめ(zipファイル)が置いてある
その他リンク
XFLR5紹介
2年半前に自分で書いたXFLR5の解説.昔所属していたサークルのHPに書いたもの.このとき学部2年でこのときから流体とか飛行機の知識に関して全く増えてないのでこの記事もダラダラ文章長くしたってだけだけど,ここが元ですよっていう.
Appendix
翼型の座標ファイル
翼型を読み込むときにdatファイルを読み込むと書いてきたが拡張子.datのファイルは単なるテキストファイルで拡張子を変更してあるだけ.メモ帳などで読める.
翼型の形式は一行目に翼型の名前で2行目以降にX,Yの座標.左がX座標,右がY座標.間はタブかスペースで区切る.後縁から上面を通って前縁を回り下面を指定している.UIUCの翼型データベースから持ってくるとこの形式じゃないのでエクセルなどを使ってこの順番に並び替える必要がある.
"#"でコメント行にでき,#がある行は読み込まれない.
2行目以降に余計な空欄や数字,文字があると読み込みに失敗するのでコメント行にするか消すかする.
翼効率について
翼効率の定義は楕円翼(誘導抗力が最小)と求める翼の誘導抗力の比のイメージで,実際の定義は翼効率eとして
CLは揚力係数,ARはアスペクト比,CDiは誘導抗力係数
で定義される.
連続な関数で計算できれば翼効率が1を超えることはないが分割数やパネルの密度によっては1を超えることがある.
離散化の影響で1を超えてしまっているだけなのでバグではない.
VLMと3次元パネル法の理論に関して
きちんと理解してないので解説しなかった.
境界条件の違いは
VLMはノイマン条件.3次元パネル法はディリクレ条件.
ディリクレ条件は端部で速度ゼロ,ノイマン条件は流れの出入がない.
あとで書き込むこと
static margin
LLT,VLM,3D panel のCmClなどの違いについて