収集されたデータに基づいた推論、見解、いわゆる「AI」と総称される確率、統計的処理は、今や至る所で動作している。典型的な事例が、コンテンツの選定と提案だ。
ユーザーの行動、志向(あるいは嗜好)に基づく推論の結果として、webブラウザや検索アプリを起動すれば、ニュースや雑誌のコンテンツが列記される。スマートフォンは、ユーザーの意図に関わらず、そのようなコンテンツを一方的に通知してくることもある。
この推論が的を射たものであれば、当意即妙、気が利くものとして自然に受け入れられるのであろうが、とてもそのようなレベルには達していないのが現実だ。婉曲に言えば、実用レベルには達しているのだろうが、実用レベルに機能することを妨げる何らかの事情が働いているのだろう。しかし率直な印象としては、それはユーザーに対する嫌がらせ、迷惑以外の何ものでもない。
ここ数日、気に障るのがGoogleアプリの通知だ。芸能ゴシップ、何の役にも立たない”ライフハック”的な、「いまトピ」の記事を数時間おきに知らせてくるようになった。
私は、いわゆるPersonalizationや、広告系のカスタマイズ機能をOpt out、Off、あるいは解除している。これは私個人の情報に基づいた統計的処理の結果ではなく、明らかにGoogleアプリ、その裏のロジックが勝手に行っていることだ。
いい加減、鬱陶しいので、一連のNotification(通知)機能を見直すと同時に、無用な「提案」に繋がるであろう機能を解除することにした。
特定コンテンツからの記事を排除する-Google News、Discoverの場合
Google Newsや、Discover (Googleアプリ、Chrome起動時に表示されるコンテンツ)に表示されるコンテンツをコントロールするのは難しい。しかし、特定メディアのコンテンツを排除するのは簡単だ。
記事毎に用意されている三点リーダー(…、︙)を選択すると表示されるメニューに、特定メディアを非表示にする選択肢が用意されている。添付画像で言えば「Dont show content from ~」、「~の記事を非表示」の選択肢だ。
これを選択することで、該当メディアはブロック対象となる。<プラットフォーマーが適切に運用しているならば>、そのメディアからの記事が表示されることは無くなる。
ここであえて、<>と強調しているのは、プラットフォーマーが適切に<運用しない>ことがあるからだ。私の経験で言えば、Microsoft Edge起動時に表示されるコンテンツは、非表示に設定しても、表示を繰り返すことがある。
ちなみに次の選択肢を選ぶことはお勧めしない。
- Not interested in ~
- 類似の記事の表示数を減らす
「Not interested in」の場合、キーワードが併記されているので、そのキーワードを含むコンテンツの表示回数が<減少>することが期待できるのだが、どれほどの効果が期待できるわけでもない。
「類似の~」はもっと始末が悪い。何に類似しているのかが明確に分からないし、何らかのキーワードに関連しているとしても、それが明記されていない。
通知機能からのコンテンツ排除-Googleアプリの場合
念のため前置きしておくが、ここで紹介している方法は「いまトピ」だけを排除の対象にするのではない。「いまトピ」のようにユーザーの望んでいないコンテンツ全般を排除するための方法だ。
Androidの通知機能は複数の箇所に分散しているので、始末が悪い。加えて、アプリケーション毎に通知可否をコントロールできるものの、前項のようにコンテンツ・メディアごとに排除することもできないので、なおのこと始末が悪い。
まず、特定アプリの通知をコントロールしたければ、次の項目から設定を行う。
注意したいのは、ここで通知不可とすれば、該当アプリは通知自体を利用できなくなる、と言うことだ。特定コンテンツ・メディアだけを通知対象外とするのではなく、通知自体が機能しない。
Apps & Notifications > Special app access > Notification access
そこで、アプリごとの設定画面を参照する。そのNotification設定から、通知対象<項目>を選択する。
Googleアプリの場合、次のような項目が用意されている。
- Entertainment
- Shopping
- Sports
- Finance
- Stories about your interests
「いまトピ」のようなコンテンツが通知されたとき、そのトースター(通知アイテム)に、どの項目に該当する表示なのかが併記されている。その項目を通知対象から外せばよい。
ちなみに、私の通知では「いまトピ」は”Stories about your interests”として表示されていたので、該当項目をOFFにした。
これで「いまトピ」をはじめとする、”Stories about your interests”に含まれるコンテンツは通知されなくなる。
もし「いまトピ」の記事が他のカテゴリ(例えばEntertainment)に該当した場合、それは通知される可能性がある。そのような場合、該当項目に対して、同様に対応する必要がある。
余談
”Stories about your interests”をよく見ると、「2 notifications per day」と記載されている。しかし、「いまトピ」は数時間おきに通知されていたことを考えれば、プラットフォーマーの運用がどれほどいい加減であるか、自ずと察せられる。
プラットフォーマーで働ている人たちと言うのは、それなりに才能もスキルもある人たちだと思うのだが、はたして彼らは自分のリソースを
- ユーザーの要否に関わらず、いかにユーザーにコンテンツを見せるか
- ユーザーの要否に関わらず、いかにユーザーにクリックさせるか
と言うことに注ぎながら、それに心理的な後ろめたさを感じることなく、高給とフリー・ランチを享受できる現状に満足し、それでいて”〇〇の民主化”や、世界を変える、社会を変える、と言ったことを本気で考えているのだろうか。
プラットフォーマーは広告会社でもある。ユーザーにコンテンツを見せ、クリックさせるのが、彼らの仕事の一部とはいえ、余りに杜撰でいい加減すぎやしないだろうか。私たちの作った優れたサービスを利用しているのだから、だまって与えられたコンテンツを消費していないさ、とでもいうような傲慢さすら感じるのだ。
先日、オンライン広告をブロックする方法*1を投稿したように、プラットフォーマのお仕着せにせよ、ユーザーが好んで利用しているにせよ、自衛手段を講じたうえで利用したり、可能な限りプラットフォーマーとの接触を減らす、「DeGoogle」*2と呼ばれるような活動は、今や当たり前の反応であり、対応だと思うのだ。