PCとiPad、Androidスマートフォンにタブレットを併用している環境で、Chromeの同期機能は非常に便利です。ブックマークだけでなく、それぞれの端末で開いたタブや参照履歴なども同期してくれます。逆に、これが機能しなくなると状況は一転、不便を強いられることになります。
ありがちなのは「ブックマークが同期できない」というトラブルです。解決方法として提示されがちなのが
- 同期をリセットして、同期を再設定する。
- Googleアカウントをログアウトして、ログインし直す。
- 端末を再起動する。
という方法なのですが、だいたい解決「しません」。ブックマークの同期に失敗しているからと言って、同期や、ブックマークそのものが問題であるとは限らないのです。
workaround的な次善策ではあるのですが、私の解決方法を紹介します。
次の手順を経ます。
1.1台を除き、すべての同期を停止する。
同期の中心になる端末(私の場合はPC)以外の同期を停止します。以後、この端末をメイン機と呼びます。
3.同期が失敗するデータを特定する。
サブ機の同期設定から、同期対象データを選択します。ここでのポイントは、次の作業を繰り返して、どのデータで同期が失敗するのかを特定することです。
- 一つだけ同期データを選択する。
- 同期を再開する。
同期エラーが発生したら、該当データのチェックを外し、他のデータを一つ選択し、同期を再開します。
同期が問題なさそうならば、該当データのチェックはそのまま、他のデータを一つ選択し、同期を再開します。
以上の作業を繰り返し、エラーが生じるデータだけ同期解除します。環境は人それぞれですが、私の場合は次のデータで同期エラーが発生しました。
- Autofill
※日本語ロケールならば「自動入力」
Autofillを同期解除することによって、連動する次のデータも同期が解除されます。
- Cards and addresses using Google Pay
※日本語ロケールならば「Google Payのクレジットカードと住所」
きっと設定画面は次のようになっているはずです。この状態で同期を再開します。
4.同期の再確認
メイン機、サブ機のブックマークを編集し、お互いの更新が同期されるかを確認します。
データ同期そのものの根本原因(今回の場合はAutofill、あるいは関連するGoogle Pay関連の情報)についての根本的な解決はできないのですが、ブックマーク含め、その他のデータは正常に同期できるようになるはずです。
同期が再確認出来たら、2で同期停止した端末に順次、同期再開の作業を実施します。もちろんAutofill、あるいは各自で同期に支障のあるデータは同期対象に含めません。
余談 - Chrome安定版とChrome Canaryの仕様上の違いが原因ではないか?
Chromeで同期が機能しない、という話題は今に始まったことではなく、何年も前からトラブルに遭遇する人は存在しており、都度Googleのフォーラムにも関連トピックが投稿されています。
site:google.com "could not connect to the sync server" - Google 検索
私の場合、このトラブルに経験したのはごく最近のことです。一部の環境に安定版のChromeとChrome Canaryをインストールしています。Canaryは同期できているのに、安定版が同期できていないことに気づきました。
www.google.co.jp
Canaryは安定版よりもメジャー・ヴァージョンで2世代ほど先を行く、開発者向けリリースです。PC、Mac、Android用にリリースされており、iPhoneやiPad向けにはリリースされていません。
このエントリーを書いている時点でのPC向けのヴァージョンは
安定版 | Version 66.0.3359.181 (Official Build) (64-bit) |
Canary | Version 68.0.3439.0 (Official Build) canary (64-bit) |
あくまでも憶測ですが、Canaryでは同期が正常に機能していることから、同期障害は両ヴァージョンの違いに起因している気がします。例えばCanaryでAutofill、あるいはGoogle Pay関連の仕様が新しくなり、安定版との不整合が生じているとか。
私が所有するアンドロイド端末には安定版とCanaryが同一端末上にインストールされています。この端末の同期設定では、
安定版 | Autofill、Cards and addresses...を除く、データを同期。 |
Canary | Sync everything |
という設定で同期できています。ここで安定版の同期設定をSync everythingにする、あるいは除外データにチェックを入れると、
Could not connect to the sync server
と表示され、安定版だけ同期できなくなるのです。
ここでCanaryだけを端末からアンインストールしても、安定版の同期状況に変化はなく、やはりSync everythingでは同期に失敗してしまいます。Autofillなどを同期対象から除外するしかありません。