僕はレベル40

心が動いたことをかいていく

藤井風の愛のうた、『きらり』について

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藤井風の新曲、『きらり』がリリースされた。

既存曲でいうキリがないから系列の打ち込みダンスチューン。今作も別のベクトルで素晴らしかったので、色々と書いていきたい。

 

MV

 ※5/22 追記

いやー、もうかっけーとしか言えないっすほんと。

『もうええわ』MVのSPIKEY JOHN監督との再タッグ。ダンス×バイク×CGの演出により爽やかで疾走感あふれるこれしかないというMVに仕上がってる。一番踊ってるMVに目が行きまくりでダンスのキレといい、彼のキャラに合った振り付けといい、人を楽しませる才能しかないんか・・・ふと思ったけど被写体に絶対藤井風使えるんズルイっす。

 

Yaffleマジック

 相変わらずヤッフルヤッフル言うてワッフルワッフルみたいになってすんませんけどmore。今作のサウンドプロデュースも素晴らしくて、やっぱ風×Yaffleは最強だなって思いなおした。

まず、楽曲の振れ幅。

あんだけファンキーだった『旅路』の次の曲が4つ打ちとは・・・!*1

あんだけたっぷりと時間を取っていた旅路イントロから打って変わって、『きらり』はド頭から声とビートが「ドンっ」と鳴る構成になっている。この対比も多分意図的。

ピアノ主体の『帰ろう』やらシティポップテイストな『青春病』やら似たような曲一切ない、そのYaffleプロデュースの振れ幅、そしてあらゆるジャンルを演奏、あるいは演じて「Playする」風さんに恐れ入る。

今作はちょっと中期Maroon5を感じさせる楽曲で、2010年代のEDMを下地に現代風にアレンジが施されている。Moves Like JaggerとかPayphoneとかね。なっつ!!

 でも、古臭くならないようにきちんと調整されて20年代のPOPに練られてる。

10年代のEDMって基本的には、イントロ⇒歌パート(ブレイクダウン)⇒ビルド⇒ドロップの構成で2番は1番の繰り返しだったりする。*2

だから使っている楽器や音数がほとんど変わらないし、それゆえにDJプレイで使いやすかったりするのだけれど、『きらり』に関しては芸の細かすぎる音色がたっくさん入ってる。

個人的に好きなのは、2分からの展開。サビで上モノをガッツリ鳴らしてからの2番はブレイクしてビートだけに。そしてそこからカッティングギターがインするセンスの良さ、気持ち良さ。その後もうっすらマリンバみたいな音が鳴ってて軽快さに拍車をかける。何を鳴らして、何を鳴らさないかという足し引きの大事さ。このさじ加減こそがほんっと一番大切だと思う。それをこの二人は絶妙のセンスでやってくれるのに痺れる憧れる。

あと、3分からの「あぁ」4連発後に絶対大サビくるぅ!!と思わせてから、バックをシンセベースのみにして、そっからEDMのド定番ビルドを持ってきて、スパァァン!この一曲中に、低めに入って上げてまた下げて盛り上げてからのラスサビかと思いきやもう一回下げてビルドしてから最高到達点に達するつくり。

もう自分でも何言ってるかわかんねーんだが、とにかく単調にならない、カタルシス満点な構成こそが、2020年台のダンスポップミュージックとしての洗練さを生んでるなと。

 

ボーカリゼーション

今作の風ボイスは気持ち良さに全振りしてて、とにかくどう耳触りを良くするかでミックスされているような気がする。なので、声も楽器というかね。ボーカルを立たせるための楽曲というよりかは、曲トータルで束になってるようなイメージ。出だしの低音もファルセット主体のサビも後述する軽快さと耳触りを重視してる。

とはいえ、ダンスチューンだからといってボーカルを軽視してなくって、1番と2番でめちゃめちゃ細かい歌い方の変化をつけたりコーラスワークも実に見事。芸が細かいポイントとしては、2分30秒からの「日々は探さずとも」のところで一瞬引っ掛けて歌って変化をつけ、聴き手に引っ掛かりを残すとかね。こういう細部に魂は宿ってる。

 

歌詞

先述したように気持ちよさ重視の楽曲は歌詞もそう当てはまる。わかりやすいとこで、きらり、さらり、笑い、というように母音aaiを多めにチョイスしてる効果か、かなりaiに意識が持ってかれる。綺麗に踏み切らずoaiになっててもリズムとして気持ちいい。

でもメッセージはいつもの風節全開の歌詞になってて、過去の思い出や目移りしちゃうアレコレよりも一番大切な君といるこの輝きと煌めきを生きていく。そんな一切ぶれないスタンスで、本質を追い求めていく姿勢を詞にしている。なんかもはや修行僧に見えてきたよね。いやもう悟ってんのか。

 

お気に入りのラインは、

何か分かったようで何も分かってなくて

だけどそれが分かって本当に良かった

 ソクラテスの蘇りか?無知の知なのか?いつも死生感とか無常を歌ってるからか哲学的な歌詞も違和感なく入ってくる。

あと、

どれほど朽ち果てようと最後にゃ笑いたい

何のために戦おうとも動機は愛がいい

 藤井風の歌詞にはあまり「愛」という単語は出てこない。

『旅路』でも出てはくるが、あくまで客観視した「愛すだろう」という表現だったのが、今作は「動機は愛がいい」とかなり能動的な愛を感じられて、新鮮だった。

元々口にはせずとも曲に祈りや愛に溢れた歌であったのが、ついに明文化したという意味は大きいよね。

 

まぁあとは

あれもこれも魅力的でも私は君がいい

よね。 

「私は風がいい」と思ったファンがどれだけいるかは想像に難くない。

 

色々書いたけど、「疾走感のあるダンスチューン」だからこそ、勢いで言えちゃうワードチョイスが今作の肝な気がしてる。

 

まとめ 

①多彩なYaffleプロデュース。音数や使う楽器、構成もセンス有りすぎ

②とにかく気持ちいい、でも芸の細かい風ボイス

③韻の気持ちよさと核心をつく歌詞を両立

 

HONDAのVezelのCMソングとしても当然藤井風の楽曲としても、コレしかない!!というバランス。それにしてもKing GnuにFriday Night Planに藤井風をチョイスするHONDAの広報担当最高すぎる。僕とZOOM飲みしよ?

 

いかがだったろうか。

『きらり』、バンドという形態をとらずにソロアーティストとしてプロデュースされる強みを存分に発揮した一曲だと思う。バンドじゃアルバム単位ならともかく、ここまではそう変われない。

ここまで多様な作風のPOPアーティストがいたっけ?と想像してみたところ、藤井風の敬愛するマイケル・ジャクソンがスッと思い浮かんだ。

Thriller、Man in the Mirror, Rock with You、Black or White・・・枚挙にいとまがないとは正にこの事だが、ソウルもファンクもロックも全て昇華してのポップの王様。

ただ、天才も一人ではなしえない。マイコーにもクインシー・ジョーンズがいたのだ。

両名共にあまりにもレジェンドすぎるし期待しすぎかもしれないけど、風&Yaffleが更に更に前に進み、この極東で新しいKING OF POPが生まれたら最高じゃね?と想像してる。客演で他アーティストとのコラボも夢広がりんぐだし、違うアーティストへの楽曲提供とかも見てみたいしな~

 

あらゆる時間空間をさらりと、そしてきらりと駆け抜ける藤井風から今後も目が離せない。

 

それではこの辺でアディオス。 

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*1:4つ打ち(よつうち)とは、主にダンス・ミュージックにおいてバスドラムにより等間隔に打ち鳴らされるリズムのことを指す。Wikiより 

*2:ビルドとはビートのメインとしてスネアが速くなる、盛り上げの箇所のこと

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