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【いけぽん ニュース】 ikepon-news 2005.11 開設 2018.04.05 更新
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国民救援会運動のはなし、憲法のはなし、平和のはなし、他愛ない話題など、思いつくまま 気の向くままに書いていきます。 ・・・・・・・・
新着 大崎事件3回目再審開始決定
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大崎事件
大崎事件で3回目の再審開始決定
(2018年3月12日)
原口アヤ子さんが無実を訴えている鹿児島・大崎事件(第3次再審請求)で、3月12日、福岡高裁宮崎支部(根本渉裁判長)は、原口さんと「共犯者」とされた親族が真犯人であると認定するには合理的な疑いが残るとした鹿児島地裁の再審開始決定を支持し、検察の即時抗告を棄却しました。
鹿児島・大崎事件の検察の即時抗告棄却決定にあたっての声明 本日、福岡高等裁判所宮崎支部(根本渉裁判長)は、冤罪・大崎事件の第3次再審請求(請求人・原口アヤ子さん及び、原口さんの元夫で共犯者の一人とされた男性の遺族)について、原口さんらが真犯人であると認定するには合理的な疑いが残るとした鹿児島地方裁判所の再審開始決定を支持し、検察の即時抗告を棄却した。
私たちは、即時抗告審で福岡高等裁判所宮崎支部が請求人の原口さんの長年にわたる無実の叫びに真摯に向き合い、迅速な審理を尽くしたことに心から敬意を表する。そして、鹿児島地裁(冨田敦史裁判長)が「白鳥・財田川決定」が示した「疑わしいときは被告人の利益に」の鉄則を貫き、裁判官の良心と法に照らして、事実と道理にもとづいた再審開始決定を支持したことを高く評価する。
そもそも本件では、原口さんと犯行を結び付ける物的証拠はないにもかかわらず、警察の過酷な取り調べによって「共犯者」とされた男性3人らの「嘘の供述」によって原口さんは有罪とされ、無実の罪で10年に及ぶ獄中生活を余儀なくされた。原口さんと家族は、今日まで「殺人犯」の汚名を着せられ、長く苦しい屈辱の日々を強いられてきた。原口さんは、逮捕以来38年間にわたって一貫して無実を主張し、「あたいはやっちょらん」「今回が、私が生きているうちに無実を明らかにする最後の裁判になるかも知れません。しっかり調べをして、私を無罪にしてください」と、裁判官に訴えてきた。
第3次再審請求審では、鹿児島地方裁判所は、弁護団が提出した法医学鑑定書や供述心理鑑定だけではなく、新たに開示された証拠や、確定審や過去の再審請求審で出された新旧証拠を総合的に判断した上で、確定判決に合理的な疑いが生じたとして、再審開始を決定した。あらためて証拠開示の重要性が明らかにされた。
本日の決定は、第1次再審請求審の鹿児島地裁の再審開始決定(2002年3月)、そして昨年6月の第3次再審請求での鹿児島地裁に続き、三つの違う裁判体が再審開始を認めたものである。
原口さんは、6月には満91歳を迎える。今回の再審開始決定の意味は重く、原口さんが生きているうちに誤った裁判の責任を司法が償う最後の機会です。人道的にも検察の特別抗告は許されない。検察には、今回の決定に従い、無実の原口さんらを冤罪に陥れたこれまでの捜査と裁判への対応を厳しく反省し、特別抗告を直ちに断念して、再審開始決定に従い速やかに再審公判で無罪論告を行うことを強く求める。
私たちは、原口さんの無実の訴えを受け止め、裁判資料の学習や現地調査などを重ねて、原口さんらの無実を確信して支援運動を続けてきた。大崎事件の再審をめざす運動にこれまでご支援をいただいた全国の皆さんに心から感謝申し上げる。原口さんが命あるうちに再審無罪を勝ち取るまで奮闘する決意を表明する。
2018年3月12日
日本国民救援会中央本部
同 鹿児島県本部
再審・えん罪事件全国連絡会
大崎事件・原口アヤ子さんの再審をめざす会
禰屋さんへの有罪判決を破棄 岡山・倉敷民商弾圧事件(禰屋裁判)
検察・裁判所の不当な姿勢を断罪
広島高裁岡山支部 審理を地裁に差し戻す判決
岡山・倉敷民商弾圧事件の禰(ね)屋(や)町子さんが、一審判決(懲役2年・執行猶予4年)は不当だとして控訴していた裁判で、1月12日、広島高裁岡山支部(長井秀典裁判長)は、一審判決を破棄し、審理を岡山地裁に差し戻しました。
「主文。原(一審)判決を破棄する。本件を岡山地方裁判所に差し戻す」
傍聴席からは「よし」の声が上がりました。
事件は2014年、当時倉敷民商会員であったI建設の「脱税」事件を口実に、民商事務局員であった禰屋町子さんが「脱税」の手助けをした(法人税法違反)、また禰屋さんと民商事務局長の小(こ)原(はら)淳(じゅん)さん、事務局員の須(す)増(ます)和(かず)悦(よし)さんの3人が税理士でない者が税務書類を作成した税理士法違反だとして、逮捕・起訴されたものです。
禰屋さんの裁判は昨年3月、岡山地裁(江見健一裁判長)で一審判決が出され、広島国税局の木嶋輝美査察官の報告書を「鑑定書」として採用し、それにもとづきI建設の脱税と禰屋さんの手助けを認定し、有罪としました。
一審の証拠採用は違法
控訴審で弁護団は、査察官報告書は「鑑定書」にあたらないと反論しました。その理由は、木嶋査察官はI建設の脱税を告発した本人であり不公平である、専門的知識によって作成されたものではない、同報告書は木嶋氏自身が調査してまとめたものでなく、他の査察官の報告書などの〝また聞き〟であるなどと批判しました。
今回の判決では、①査察官が調査にあたって税法の知識が必要であるのは当然で、調査の内容も専門的な知識によるものとはいえない、②実際に調査をおこなったのは木嶋査察官ではなく別の査察官であり、「鑑定書」として証拠能力はない、と判断。そのうえで、「鑑定書」と認めるべきではない査察官報告書を採用し、それを事実認定に用いたことは、明らかに訴訟手続に違反するとして、一審判決を破棄し、審理を岡山地裁に差し戻しました。そのほかの弁護団の主張(禰屋さんが脱税の手伝いをした事実はない、税理士法に違反する行為もしていないなど)についての判断はおこないませんでした。
今回の判決は、検察のずさんな立証、また検察に「鑑定書」として出すよう「助け舟」を出し、有罪とした一審の裁判所の不当な姿勢を断罪する内容です。
中央本部と岡山県本部は声明を出し、判決が、査察官報告書の採用を否定し、一審判決を破棄したことは評価できるが、有罪の根拠であった同報告書が採用できなければ、無罪とすべきだったと指摘しています。
3人の無罪へ支援を
判決後の報告集会には支援者200人が参加。あいさつに立った禰屋さんは「救援会や民商の皆さんをはじめ多くのご支援にお礼を申し上げます。一人ではここまでできなかったと思います。はっきり言って無罪がほしかったです。でも、今後も、山本宣治さんのことば「唯生唯戦」、ひたすら生き、ひたすらたたかう、その思いでたたかいます。3人へのご支援をお願いします」と決意を語りました。
今回の判決を勝ちとった力は、禰屋さんが全国を歩き支援を訴えたこと、有罪判決の問題点を具体的かつ的確に批判した弁護団の活動、そして、全国から寄せられた支援でした。控訴審で寄せられた署名は9カ月間で5万4000人分を超え、11月に呼びかけた要請はがきも9200枚を超えました。
今後、検察が差戻し判決を不服として最高裁に上告すればたたかいは最高裁に移り、上告を断念すれば岡山地裁で審理がやり直されます。
差戻しの審理は、あらためて裁判がやり直されます。有罪判決が破棄されたことで楽観せず、禰屋さんの無罪と、最高裁でたたかう小原さん、須増さんの無罪をめざし、全国からのいっそうの支援をお願いします。
〈判決を出した裁判官=長井秀典裁判長、村川主和、藤井秀樹〉
救援新聞 2018年1月25日号