さよならテリー・ザ・キッド

おとなをからかっちゃいけないよ

「侍戦隊シンケンジャー」終盤の展開が神すぎる

いやー、侍戦隊シンケンジャー面白いですわ。来週で終わっちゃうけど。
今までは朝起きれたときに見る程度だったんですけど、物語が終盤に近づくにつれ「最近やばい」っていう話をいろんな人から聞いたので、ちゃんと見はじめよう、と思いまして。その見始めた回からがまさに神展開でした。

シンケンジャーって、「殿」ことシンケンレッド(志葉丈瑠)と、侍であるそれ以外のメンバーの主従関係がハッキリしてる、っていうのが今までの戦隊との大きな違いで、そこが物語の中心になってるんですよ。
メンバーも最初から「お仕えします」ってヤツもいれば、「殿っていうだけでなんで仕えなきゃいけないんだ!あんなやつ認めないぜ」てのもいたり、殿は殿で「昔からの決まりというだけで侍たちに命がけで戦わせるわけには…」とかいろいろ悩んでた中で、1年かけて「いろいろあったけどやっぱりみんな殿が好きだぜ!」ていうのを綿密に作ってきたんですね。

で、44話のラストで殿が死にかけるんですよ。レッドの家系である志葉家にしか使えない「封印の文字」っていうのが敵のラスボスに有効な手段だから、「まずあいつからやっとこう」的な感じで。

死にかけた殿は一時戦線離脱、レッドを欠いたまま戦ってシンケンジャー大ピンチ!っていうところで……ここでなぜかレッドが助けに来て勝利。あれ?殿は死にかけてるはずでは?ってメンバーも視聴者も混乱するんですが、そのレッドはよく見ると体つきが女性的で、スーツにスカートっぽいのもついてる。でも志波家にしか使えない火の力も使えてるから偽物のはずがない。
「お前、誰なんだよ!」ってみんなが思ってるとこで従者っぽい人が出てきて
「無礼者、この御方は志葉家18代目当主・志葉薫様にあらせられる!姫の御前である!控えろ!」
そこで謎のレッドの変身が解けると、なんと薫様とやらは女!しかも若いというかどう見ても小娘!
一同「は!?」っていうとこで、次回予告が入り、次回サブタイトルが「影武者」!

衝撃を受けたので、慌ててシンケンジャー公式BBSを見ると「ショックです」ていう書き込み多数。ちびっ子も親御さん達も動揺しています。インサイターの真実さんのツイッターでのこのつぶやきが象徴的だったので紹介。

毎週録画したシンケンジャーを繰り返し見ている3歳の息子が、昨日の回を見たいとは言わない。新しいシンケンレッドの登場に混乱している模様。

大人は距離を置いて「すごい展開だ!」って面白がって見れるけど、子供はそんなん関係ないんでしょうね。

たまに見てる程度の僕でも「!?」ってなったんで、ちゃんと毎週リアルタイムで見てる人たちのショックは計り知れないものがあるというのは想像できます。今まで殿が自分の立場に悩んでることをたまに漏らすという伏線もあったみたいですし。

そういうわけで、この次の回からはちゃんと録画して見るようになったんですが、やっぱ面白いです。
要するに、姫こと薫は「先代シンケンジャーが壊滅した時にまだ生まれてなかったんだけど、『封印の文字』を会得するまで影武者を立てて生きてきたけど、もう会得したから表に出てきた」みたいな感じ。

侍達は、やっと殿と通じ合えたのに正統な当主である姫に仕えなくちゃいけないわけなんですが、作中でメンバーも「あいつ(姫)が嫌なヤツなら話は簡単なのにな」って言ってた通り、ここで姫がダメな子なら「お前より殿に着いて行く」で終わるのに、姫がえらくまともで凛々しいんですよ。
姫の従者の丹波ってヤツは「影武者なんかほっといて姫の言う事聞けや侍ども!」みたいな態度なんだけど、姫がちゃんとそれをビシっと叱るし、「自分の登場で丈瑠と仲間の絆が悪化した」っていうのも理解して、後悔もしてるっていう。そこら辺が上手いなーと思います。
薫役の夏居瑠奈っていう女の子は14歳(戦隊史上初の女性レッドにして史上最年少・初の平成生まれレッド)なんですが、えらく演技がうまくて説得力がありますし。前述の通り、敵のラスボスに有効な「封印の文字」っていう必殺技は姫しか使えないっていうのもありますし、「モヤモヤするけど、侍なんだからこの子についていかざるを得ないな」って思っちゃう。

そして元・殿こと丈瑠は「(自分には)びっくりするほど何もないな…」つって独りぼっちで川原で鬱になった後、敵軍にいるライバルである不破十蔵と対決。この十蔵ってのは「お前と斬り合うのが一番の快感だぜ」みたいなやつで、丈瑠はそれに釣られて「俺にはもう剣しかない」って感じでダークサイドに堕ちそうになっちゃうっていう展開。暗いしBLっぽいので完全に子供向けじゃないですよ。一週まるまるかけてずーっと2人でチャンバラしてたのもすごい。変身しない状態で馬の上で斬り合いとかしてたので、わざわざこのために練習したんでしょう、そこもすごい。

なんだかんだあって丈瑠は助かるんだけど、でも当主に戻れるわけじゃないので、丈瑠ひとりぼっち問題は解決してない中、姫レッド+他のメンバーは敵のラスボスである血祭ドウコクと対決します。そこで姫は「封印の文字」を使うんだけど、ラスボスは幹部を取り込んで体質が変わってたせいで、効果が中途半端でした。

封印こそされなかったもののそれなりにダメージは受けたラスボスは一旦退散。姫もケガしたのでシンケンジャーも本拠地へもどるんですが、そこで姫は寝たきりのままで「影は居るか」と丈瑠を呼んで2人きりで話します。

姫「お前に会う前からどんな人間か分かっていた。私と同じように独りぼっちであろうと。自分を偽れば人は独りになるしかない」
丈瑠「はい。ただ…それでも一緒にいてくれるものはいます」
姫「あの侍たちだろう。私もここへ来て分かった。自分だけで家を守り、封印までなどと……間違いであった。独りでは駄目だ……」
丈瑠「俺も、やっとそう思えるように……」
姫が「……私に考えがある」

その後、広間に最終決戦前の全員集合。そこでなぜか、丈瑠が上座に座るんですね。当社しか座れない位置に。丹波が「影ごときがなんでそこに座るんだ!」って怒るんだけど、そこで姫が家系図の巻物を広げる。すると家系図には「薫」の下に線が繋がって「丈瑠」の文字が。

姫「私の養子にした」。
ババーン!

姫「封印の文字は使えなくても、力は十分だ。年上だろうと血は繋がってなかろうと、この者が19代目当主!一同控えろ!」
他のメンバーは「ははぁー!」このときの一同の嬉しそうな顔!
そして丹波だけ悔しそう!痛快すぎる!
全部丸く収まった!

丹波「して殿、封印の文字が効かない今、何か策は?」
殿「策ならある。力づくだ」。
どーん!

そして「久々の殿様ご出陣だ」っていうところで全員が名乗り付き変身したとこで次回最終回へ続く。たまらん。いやー、来週最終回なのが実に惜しい!