日比嘉高研究室

近況、研究の紹介、考えたこと

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Inheriting Books: Overseas Bookstores, Distributors, and Their Networks

Yoshitaka Hibi. in PAJLS (Proceedings of the Association for Japanese Literary Studies), vol.19, 2019: 14-25. (published in 2021) アメリカ日本文学会の予稿集に掲載された論文です。戦前外地の書物ネットワークに、日本の大学改革の話が接続すると…

疫病と日本文学

日比嘉高編、三弥井書店、2021年7月、254頁、他共著者11名 編著が出ました。昨年(2020年)12月に名古屋大学国語国文学で行ったシンポジウム「疫病と日本文学」をもとに、名古屋大関係者12名があつまって刊行した論文集です。2020年に始まった新型コロナウイ…

(論文)亡霊と生きよ――戦時・戦後の米国日系移民日本語文学

木越治・勝又基編『怪異を読む・書く』国書刊行会、2018年11月所収、pp.443-461 (要旨)この論考は、米国日系移民の日本語文学を主な検討の対象としながら、亡霊と記憶と文学をめぐって考えたものである。分析の対象とする作品は、戦後の米国日系人が刊行し…

『〈自己表象〉の文学史』第三版、刊行されました

2002年の刊行以来ご好評をいただいている(自分で言うな)『〈自己表象〉の文学史――自分を書く小説の登場』の第三版が刊行されます。 第三版のポイントは、 私小説研究文献目録が最新の状況にアップデートされた ソフトカバーになった 定価が 2900円+税 に…

国際スポーツ・イベントによる主体化――一九三二年のロサンゼルス・オリンピックと田村(佐藤)俊子「侮蔑」

『名古屋大学文学部研究論集 文学』62、2016年3月31日、pp.245-253 後日、名古屋大学のリポジトリで全文が公開の予定です。[要旨] この論文では、田村俊子の短編小説「侮蔑」を取り上げ、オリンピックが日系二世たちにどのような受け取られ方をしたのか、…

樺太における日本人書店史ノート――戦前外地の書物流通(3)――

『JunCture 超域的日本文化研究』第7号、2016年3月28日、pp.58-67 本誌掲載の日比の著者紹介において、所属が一橋大学となっていますが、名古屋大学大学院文学研究科の間違いです。変わりありません。また、同じ紹介で「戦前外地の書物流通(1)」とある後ろに…

外地書店を追いかける(6) 台湾日日新報社の台湾書籍商組合攻撃

『文献継承』金沢文圃閣、第28号、2016年4月、pp.4-7 連載状態で書かせてもらっている「外地書店を追いかける」シリーズの6です。副題のとおり、台湾日日新報社が、台湾の書籍商組合を攻撃していた事件について、記述しております。マニアックですいません…

メディア――移民をつなぐ、移民がつなぐ

河原典史・日比嘉高編、クロスカルチャー出版、2016年2月15日、420頁 本研究は、マイグレーション研究会の共同研究としてスタートし、立命館大学国際言語文化研究所「メディアと日系人の生活研究会」として重点研究の指定を受け(2013-2014)たものである。…

外地書店を追いかける

『文献継承』第22号〜、2013年4月〜 去年から、金沢文圃閣の田川さんのご厚意で、同閣が出している『文献継承』という冊子に、「外地書店を追いかける」という記事を連続で書かせてもらっている。既発表分は以下の通り。 外地書店を追いかける――台湾・新高堂…

北米への移民

コレクション・モダン都市文化、第92巻、ゆまに書房、2013年12月25日、全1019頁 末広重雄『北米の日本人』(二松堂書店、一九一五年二月一〇日)、中島直人『ハワイ物語』(砂子屋書房、一九三六年一二月八日)、森永英蔵『アメリカ移民血涙記』(高山菊次、…

「諸君の位置」、作品論の位置――付 シラー「地球の分配」(小栗孝則訳)

『太宰治研究』21、和泉書院、2013年6月19日、pp.125-131 「作品論」をせよ、という編集部からの指示によって書いたが、評論を対象にした「作品論」がとはなんぞや、ということに思い悩み、そして枚数も少ないので、〈論文〉ではなく〈その他〉とカテゴライ…

外地書店とリテラシーのゆくえ――第二次大戦前の組合史・書店史から考える――

『日本文学』第62巻第1号、pp.44-56 [要旨] この論文では、戦前の外地における日本語のリテラシーを、第二次大戦前に外地へ出店した書店の分析をつうじて考察する。具体期には、外地書店の同業者組織である外地の書籍雑誌商組合の歴史、そして外地書店が生…

「浮雲」で笑う

『近代文学合同研究会論集』第9号、2012年12月、pp.76-93 [要旨]

認知物語論の臨界領域

西田谷洋・浜田秀編、ひつじ書房、2012年9月7日、97頁、担当「小説とスキーマをめぐるスケッチ――デフォルト値、推論、ヘッダー」pp.21-35 西田谷さん、浜田さんたちと作った認知物語論系の二冊目の共著。物語論についての理論的な考察を行った小論を書いた。…

来日留学生の体験――北米・アジア出身者の1930年代

マイグレーション研究会編、不二出版、2012年6月15日、担当論文「望郷のハワイ――二世作家中島直人の文学――」pp.3-24 (本論文は『文学研究論集』27号(筑波大学比較・理論文学会、2009年2月)発表の論考に修正を加え、編者の許諾のもと本書に収録したもので…

渡航する作家たち

神田由美子・高橋龍夫編、翰林書房、2012年4月20日、223頁、担当「アメリカに彷徨う 在米日本人としての荷風」pp.43-54 大学・短大のテキスト用に編まれた書籍です。永井荷風の米国体験およびその作品を、日系移民の経験から読み直す、という角度で書きまし…

外地への書物流通・序説――書店、取次、法制――

出版法制史研究会 第5回例会、2011年6月11日、中京大学 タイトルの通り、戦前の外地における日本書店の展開と、内地/外地を結んだ書物流通を考えるもの。これに法制史を交差させる。これを書いている現在(2011.6.10 17:15)、準備は終わっておらず。苦し…

洋上の渡米花嫁――有島武郎「或る女のグリンプス」と日系アメリカ移民――

『有島武郎研究』第14号、2011年6月、pp.1-15 有島武郎研究会の雑誌に書かせていただきました。 要旨は発表のときのものと変わっていませんので、下記をご覧下さい。 http://d.hatena.ne.jp/hibi2007/20101201#seeall

日系アメリカ移民一世、その初期文学の世界

『移民研究年報』 17、2011年3月、pp.43-63 Exploring the First Stage of Japanese American Vernacular Literature, circa1900 [要旨]米国日系移民の日本語文学については、これまで翁久允の諸作品や俳句・短歌などの韻文を中心に研究が進められてきた。…

写実小説のジレンマ――島崎藤村とモデル問題

『名古屋大学文学部研究論集』57、2011年3月31日、pp.125-147 A Dilemma of Realism: SHIMAZAKI TOSON and "Model Problems" 藤村の「旧主人」から「新生」までの軌跡を追いながら、写実小説の登場と私的領域の描出との葛藤のさまを考察した。

書店資料から読む外地の読者――『全国書籍商総覧』(1935年)を用いて

『芸術受容者の研究――観者、聴衆、観客、読者の鑑賞行動――』平成20〜22年度科学研究費助成金(基盤研究(B))研究成果報告書、課題番号20320028、研究代表者・五十殿利治、2011年3月、pp.54-60 『全国書籍商総覧』(1935年)を主に用いながら、戦前の外地にお…

境域から読めること――日系アメリカ移民の日本語文学――

『日本研究』高麗大学、第15集、2011年2月、pp.127-150 日系アメリカ移民の日本語文学の展開を略述し、とくに第二次大戦下の彼らの文学表現について、伊藤正の評論を検討しながら論じた。

翻訳者の無力な使命―シリン・ネザマフィ論―」

ワークショップ「文化の越境と翻訳Trans-Frontier Culture and Translation」於・名古屋大学ヨーロッパセンター(ドイツ・フライブルク) [概要] 現代日本の〈日本語文学〉を議論するための論点を整理した上で、翻訳/通訳、文芸の持つ再配置の力などを鍵…

洋上の渡米花嫁――有島武郎「或る女のグリンプス」――

有島武郎研究会 第48回大会、2010年12月4日、於 四日市市立博物館 要旨は以下: http://d.hatena.ne.jp/hibi2007/20101201#seeall

講演:第二次世界大戦以前における 〈外地書店〉の展開

東国大学校(大韓民国)、2010年10月11日 韓国の「国文学科」(つまり日本から見れば韓国文学科)での初めての講演。緊張しつつ、かつ楽しみにして臨む。韓国にせよ台湾にせよ中国にせよ、その近代の歩みは、日本の植民地主義の歴史と切り離して考えられない…

境域から読めること――日系アメリカ移民の日本語文学

国際シンポジウム「帝国日本の移動と東アジア植民地文学」(主催:高麗大学日本研究センター)、高麗大学、2010年10月7-8日 二日間にわたって行われた国際シンポジウム。敬称略で概略を紹介すれば、7日は鄭炳浩(高麗大学校、韓国)、劉春英(東北師範大学、…

日本語の〈外〉で書く――非母語話者の現代日本語文学

広島大学大学院国語文化教育学講座 前期学内研究会、講演、2010.6.5 週末は久しぶりの広島です。降り立つのは、本当に高校以来かもしれない・・・。 講演の内容はタイトルの通りですが、多和田葉子のエクソフォンとかリービ英雄とか田原とか楊逸とかの話をし…

認知物語論キーワード

西田谷洋・浜田秀・日高佳紀・日比嘉高 共著、和泉書院、2010年4月、全108頁 [rakuten:book:13653883:detail]数年来やっていた物語論についての研究会の「報告書」のような位置づけ。認知と物語論をつなぐのは、思った以上に難航しました。とにかく、なんと…

文学で考える 〈仕事〉の百年

飯田祐子、日高佳紀、日比嘉高編、双文社出版、2010年3月31日、全202頁 文学で考える“仕事”の百年作者: 飯田祐子,日比嘉高,日高佳紀出版社/メーカー: 双文社出版発売日: 2010/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (2件) を見る…

プライヴァシーの誕生――三島由紀夫「宴のあと」と文学、法、ゴシップ週刊誌――

『思想』No.1030、2010年2月5日、pp.51-66 [要旨] 一九六〇年前後の日本社会において、文学、法、人々の〈私的な領域〉の三者がどのようなかたちで接しあっており、そこに「プライヴァシー」なるアメリカ法に起源をもつ新たな概念が導入されることによって、…