ised

思想地図のアーキテクチャ特集が売れているようですので、参考資料までに下記のリンクを挙げておきます。
ised@glocom : 情報社会の倫理と設計についての学際的研究
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2004年から2006年にかけて、ぼくがGLOCOMで主催していた若手中心の研究会「情報社会の倫理と設計」の記録です。全14回で、一回数万字あります。思想地図の特集のアイデアは、ほとんどすでにここにあります。
ちなみに、いま売り出し中の濱野智史くんは、じつはこのとき、連絡係からテープ起こし、議事録の整理まですべてを担当した、ぼくの万能のアシスタントでした。彼はじつは、ゼロアカなど目ではない過酷な修羅場をくぐっているのですw。
さて、このised、当時としては先駆的な議論だったし、面子も悪くなかったのではないかと自負しているのですが(北田さんも白田さんもcharlieもいます、はてなーとしては楠さんや高木さん、近藤社長の参加に注目でしょう)、ウェブで公開されただけだったため、残念ながら世間に存在が広まりませんでした。そのあと、出版の話もあり、きちんと某社で企画会議も通ったはずなのですが、担当編集者が突然に連絡がつかなくなってしまい頓挫しています(そういうこともあるのです……)。
ちなみに思想とか批評の業界では、印刷物の優位はまったく揺らいでいません。論壇の権威とか読者の世代とかいった問題以前に、「ウェブだけの言論」は端的に信頼されていない。そして読まれない。そんなバカな!とか思っても、それが現実なのです。はてな界隈にいると誤解してしまうかもしれませんが、批評を志すひとはそのことは知っておいたほうがいいと思います。
ぼくはそういう状況は変わるべきだと思うし、実際に苛立ちまじりで一時期はかなりネットに傾いていました。しかし、そんな状況と時代のなかで言論人として生きていかなければならないのも現実、というかそれはそれでぼくの責務でもあるので、ある時期からまた活字のほうに再シフトしています。
2003年ごろには、ぼくもブログ論壇がもっと成熟すると思っていました。むろんいまだにブログ論壇の可能性について希望は失っていませんが(例の梅田さんインタビューではありませんが)、いまの状況はちょっとしばらく動かないのかもしれませんね。