スマホを持たずに出かけよう 秩父編

 

承前。

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デジタルデトックスな休日を過ごす手筈は整った。あとはやるだけ。なのでやってみた。

とりあえず最初だからiPhone持たずに車で半日程度の外出で試してみるつもりだったが、上の記事を書いたすぐあとくらいに某旅行予約サイトから10000もの期間限定ポイントが贈られたのでそれを使ってスマホなしの一泊旅行をすることにした。同行者あり。

 

目的地は利便性を考えてなるべく近場で人が多い街、大宮か川越がよかったがホテルの料金が高いので断念。少し距離があるものの前二者と比較すると低価格な秩父を行き先に選択。行くのは10月からこれで三度目。泊まるのもまた同じルートインGrand秩父。このホテルは綺麗で設備がよくて立地がいい。秩父に泊まるときの定宿としたい。

 

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スマホの代替として持っていったアイテムは以下。

ガラホ、本、筆記用具、メモ帳、交通系ICカード、写ルンです。メモには秩父鉄道の時刻表と行きたい場所の簡単な地図を書き写してある。カメラはネタ。デジカメでもよかったのだがこういう機会でもないとフィルムで写真を撮ることなんてまずないので試しにやってみることにした。

 

秩父までのルートはもう覚えてしまった。車移動だとスマホがなくても車載ナビに頼れるので不便はない。中森明菜を聴きながら運転したかったのにiPhoneがないからかけられなかったのはストレス。

 

昼少し前、道の駅ちちぶに到着。敷地内で営業している麺処青野で鶏塩ラーメンを食べる。写ルンですはテーブルフォトが苦手なので撮影スルー。代わりに、トイレそばに設置されているレトロ感ある遊具を撮影。写ルンですで写真を撮るなんて何十年ぶりだろう。以下、写真はすべて写ルンですの撮って出し。

 

前の2回は秩父市内を車か徒歩で移動したが今回は趣向を変えて秩父鉄道を利用して長瀞へ行くことにした。なお同行者には今回スマホを持ってきていない旨を言ってある。

 

秩父駅に到着するも改札を通過した瞬間、乗るべき羽生方面行き12:45発の電車が無情にも発車していった。残念。とはいえ起きるかもしれないと予想していた事態ではあった。それが早速起きた。次の電車は41分後の13:26発。一度駅から出させてもらって土産物屋などぶらつくか、と考えたものの、億劫になりベンチに座って駄弁ることにする。待っている最中、石灰石と思しき石を積載した列車が通過していった。晴れてはいるものの気温は低く、風も少し吹いていた。日中なので凍えるほどの寒さではない。やがて待ちわびた列車が入線してきた。

 

まっすぐ長瀞へは向かわず、和銅黒谷駅で途中下車して和銅遺跡を見学していく。708年、ここで発掘された自然銅から日本初の流通貨幣、和同開珎が発行された。

 

和銅黒谷駅

 

駅を出て少し歩くとすぐ山の中。ずんずん進むと和同開珎を模した大きなモニュメントが出現する。その裏手が発掘跡。鉱山のようになっているのかと思いきや高所に穴(溝?)が見えるばかり。以前は近づいて覗けたようだが自分たちが行ったときは崩落および落石の危険があるため立入禁止になっていた。

モニュメント

 

それにしても写真が暗い。晴れてはいたが時折陽が雲に隠れる天気、山中なのもあってこんなに暗いのだろうか。今回、屋外でしか撮影しなかったので一度もフラッシュを使わなかったが積極的に使った方がよかったかもしれない。

あと全体的にぼやけすぎ。写ルンですって写りこんなだったっけ? 今回、現像はカメラのキタムラでしてもらった。スタンダードを選択したんだけど追加料金払って高画質にした方がよかったのかも。

 

聖神社

 

聖神社へお参り。自然銅を奉献した朝廷から褒美として贈られた銅製の百足が宝物として置かれているという。写真で見ると銅だからか青い。百足かよ…とビビるも生きてるわけじゃなし、見てみたかったので同行者が御朱印を貰っているあいだに探してみたが見当たらず、飾られている感じではない。かといってスマホがないから詳細を調べることもできず、受付の人に聞けばよかったのだろうが次の電車の時刻は15分後、逃すと次は50分後だったので逃したくなく、急いで神社を後にした(あとで調べたら百足は宝物殿で見られるようだ)。この、時間に間に合わないからとゆっくりできないの、テレビのバス旅でよく見るシチュエーション。ローカル線での移動だと実際そうなるのだと身をもって知る。

 

長瀞駅 左奥が駅舎

 

無事電車に乗り長瀞駅に到着。駅舎を出ると歩いている人が少なく違和感を覚える。俺が知っている長瀞はもう少し賑わっていたはずだが。

 

長瀞駅前

 

紅葉が終わってしまったからかな、と同行者と話しながら岩畳の方へ飯屋や土産物屋が並ぶ通りを行くとこちらも閑散としている。そもそも半分か半分以上のお店が閉まっている。

 

岩畳

 

岩畳も土曜日にしては全然人がいない。川下りも営業していない。川下りは12月上旬で年内の営業は終了、元日から再開と案内されていた。同様に元日から営業するから大半のお店も早めの冬休みに入っているのだろうか。人が多ければ鬱陶しいが、人が少なければ少ないで侘しく、とくに岩畳のような自然が剥き出しの景観であれば一層侘しさが増すようで、なんとなく居心地が悪く、そそくさと後にする。予定では日没間際の光で岩畳の景色を撮るつもりだったんだがやめた。とっくにチェックインできる時間になっていたので秩父駅に戻る。ほとんど待たずに電車に乗れた。秩父駅までは20分ほど。一人だったら電車に乗っている最中はスマホをいじっているだろうが二人なので退屈なら同行者と喋れば時間が潰せる。

 

秩父駅へ戻りウニクス秩父まで歩いてミスドで一服。ディグダがいっぱい並んでいたのでびっくりした。もう飽きられたのか? 自分は買った。あとブレンドコーヒー。喋っているうちに陽が沈み、窓の外が暗くなった。コーヒー飲んで休憩中というシチュが喚起するのか、ここで初めて無性にスマホをいじりたくなる。が、ないので代わりにメモ帳を取り出し、ここまでの行程を軽くメモる。ヤオコーで夕食を買う。自分はあまり食欲がなかったのでたまごサンドとカップ麺*1にした。ルートインGrandの周辺は夜飯を食うところがない(俺には見つけられない)のでそれだけが不便。あと近所にコンビニもない。館内に食事処があるもののあまりそそられず。

 

チェックインして大浴場にて40分ほど入浴し、部屋に戻って夕食。食後は二人で出川哲朗のバイク旅の番組を見る。そのあと少し読書。宮内悠介『暗号の子』は人とテクノロジーをテーマに編まれた短編集。デジタルデトックスの最中に読むのにちょうどいいのか、反対か、よくわからん。が、内容は面白かった。スマホがないので読書に集中でき、半分ほど読んだところで眠気がきたので22時過ぎ就寝。

 

 

深夜に何度か覚醒したものの5時半まで寝る。起きてすぐ朝風呂へ。20分ほど入浴。エレベーター前に朝刊が置いてあったので貰う。部屋に戻ってもまだ同行者は寝ていた。テレビを点けると起こしてしまいそうなので朝刊を読み『暗号の子』の残り半分を読み切る。7時を過ぎても寝ているのでさすがに起こす。8時半にはチェックアウトしたいと告げる。腹が減ってきたのでマクドナルドで朝食が食べたかった。

 

朝の明るい光で青が綺麗に出ている

 

8時半過ぎにチェックアウトしてマクドナルドでモーニング。ここでスマホを使ってしまった。といっても俺は持っていないので同行者の。クーポンを出すのにスマホが必要だったのだ。マックグリドルのセット50円引きは大きい。利用しないわけにはいかなかった。

 

食後、秩父ミューズパークへ。ここの展望台から武甲山を撮りたかった。この日は気温が低く、風がかなり強く吹いていたので寒かった。朝の天気予報では翌月曜日は日本海側や関東北部は雪になると告げていた。

 

旅立ちの丘から武甲山を望む

 

いざ展望台に着くと武甲山の真上にちょうど太陽が昇っておりド逆光。一応撮ってみたもののやはり真っ黒な写真になっている。公園内を少し散歩してみるもあまりに寒くて辛いので早々に断念。銀杏並木がずっと続いているので紅葉シーズンに来ていたらさぞ壮観だっただろう。今はすっかり落葉して裸の姿を晒すのみ。

 

 

冬枯れの景色の中にいたらだんだん気が滅入ってきた*2。眠気もあり、早く帰宅してベッドに横になりてえ…との気持ちが強くなってくる。有馬記念はドウデュースの出走取り消しを知った時点で関心がなくなった。スマホをいじりたい欲求は感じなかった。同行者に言うと、いいんじゃない、帰ろうよ、寒いし、と言ってくれたので午前中に帰路につく。午前中に出ても家まで2時間弱はかかる行程なので先は長い。途中、ものすごく眠くなってコンビニの駐車場で15分ほどリクライニングして休む。同行者を送ってからカメラのキタムラに寄って現像を依頼して帰宅。部屋に入り、荷物を下ろし、暖房をつけて部屋着に着替えた。パソコンデスクの真ん中にiPhoneが昨日家を出てきたときのままで置かれてあった。少し躊躇したのち手に取ってベッドに横になった。ちょうど複数の通販で注文をしていたのでメールが10通以上も来ていた。はてブやXやニュースなどを20分ほど見ていたら眠くなってきたので照明を消して眠った。

 

 

今回のデジタルデトックスまとめ

今回スマホを触らなかった時間は30時間くらい。普段は3時間/日くらい触っている。なければないで平気なもんだな、というのが感想。暇な時間はテレビを見たり本を読めば困らない。スマホを触る癖がついているシチュエーションがあって、カフェなどで一服しているときいじりたい欲求が起きるようだ、とは今回やってみて初めて得た気付き。

 

電車を利用する場合は時刻表、車を利用する場合は駐車場の有無および場所をあらかじめメモっておくか頭に入れておかないといけないのは手間。そもそもプランをある程度決めておかないと現地で検索ができないので行き当たりばったりになる。今回は和銅遺跡、長瀞、秩父ミューズパーク、と行きたい場所の見当をつけておいた。

 

同行者がいるとヌルくなる。最悪頼れてしまえるし(迷子になったらマップを見るなど)、時間潰しのお喋り相手になってもらえる。たとえばもし一人で、今回あったように駅で電車を40分待ったり、あるいは飯屋で並ぶとか、提供までの待ち時間とか、そういう手持ち無沙汰な時間をどう過ごすのか、どう感じるのか、の検証は一人でないとできない。次のデジタルデトックス旅は一人でやりたいと思った。相手がいると電車に間に合わないからと急かしたりして俺の遊びに巻き込んでしまう申し訳なさもある(だから相手の旅費は俺が出している)。よく喧嘩にならなかったな。長い付き合いで俺が少し変な人間だと理解しているからだろう。

 

電車移動がメインのデジタルデトックス旅は本数が少ない土地でやると難易度が高くなる。車旅か、ひっきりなしに電車が来る都心部でやった方が難易度は低い。「不便を楽しむ」のが趣旨かもしれないが、それでせっかくの旅行の機会損失をしてしまうのももったいないと思うので、まずは近場のよく知っている土地でやってみるのが初心者*3にはよさそう。

 

1日ちょっとスマホを触らない、インターネットから離れる、くらいで何か効果が体感できたりはしなかった。ただ、なくても平気なんだ、という自信は少し得られたように思う。なかなか平日に実行するのは難しいが、休日や、ちょうど年末年始で長期休暇もあることだし、そういった機会にデジタルデトックスを続けて、スマホおよびインターネットに依存し過ぎない体質にしていきたい。今回は都合上旅行になったけど、まずはスマホを持たずに散歩に出る、カフェやフードコートで何時間か過ごす、くらいから初めていくのが手軽でいいと思う。

 

以上。

 

*1:昼飯がラーメンだったのを忘れていて、あとで食べるとき思い出して少し後悔した

*2:俺は毎年寒い時期は少しうつっぽくなる

*3:俺もその一人