- 2019.02.25
- 2024.12.24
- #交通事故示談とは
交通事故の示談とは?もしもの時の為に知っておきたい正しい意味と大切なポイント
この記事を読んで理解できること
- 交通事故の示談とは
- 示談交渉から解決までの流れ
- 交通事故示談交渉で損しないために時系列でやることを解説
あなたは、
「交通事故の示談って何?」
「交通事故の示談っていつからはじまるの?」
「交通事故の示談では何に注意すれば良いの?」
「保険会社から提案書が来たけど,これって正しいの?」
などの悩み、疑問をお持ちではありませんか?
交通事故なんてめったに経験しないことですので、何をしたら良いのか分からないですよね。
結論を言えば、交通事故の示談とは、交通事故の慰謝料や治療費、休業損害など、加害者からもらえるお金(示談金)の金額や、支払い方法などについて、被害者・加害者で話し合って決めることです。
示談交渉は、被害者の治療が終了した時点ではじめることになっています。
しかし、保険会社は少しでも示談金の金額を少なくしようと、少ない金額で提案してきたり、示談交渉を早くはじめようとしてくることがあります。
そのため、あなたは、自分が損しないように示談交渉を進めるための法的知識を持っておくことが大事です。
そこでこの記事では、交通事故の示談と示談交渉の解決までの流れについて詳しく解説し、損しないように示談交渉するための注意点を紹介します。
しっかり読んで、適正な金額をとれるように行動してください。
目次
1章:交通事故の示談とは
交通事故の示談とは、交通事故が起きた場合に、被害者と加害者(の保険会社)の間で「示談金」について話し合って決めることです。
被害者と加害者(の保険会社)の双方が示談の内容に合意し「示談書」を作成し、サインした時点で示談成立になります。互いに合意できなければ、裁判(訴訟)に移行して決着をつけることになります。
■示談金とはもらえるお金の総称
示談金には、以下のものが含まれます。
よく「示談金」と「慰謝料」を同じものと思われている方もいらっしゃいますが、被害者が加害者からもらえるお金をまとめて「示談金」と言い、慰謝料はもらえるお金の一つに過ぎません。
それぞれ、以下のようなものです。
【示談金の詳細】
- 治療費・・・治療にかかったお金で、保険会社から病院に直接支払われることがほとんど。
- 交通費・・・治療のための通院にかかった交通費。
- 入院雑費・・・入院の際にかかった生活必需品などの雑費。
- 付き添い看護費・・・被害者の症状が重い、被害者が乳幼児などの場合で、家族の看護が必要な場合に支払われる。
- 介護費・・・怪我により介護が必要になった場合に支払われる・
- 装具・器具費・・・事故により歩行が困難になるなど、装具・器具が必要になった場合に支払われる。
- 家屋改造費、自動車改造費・・・車椅子生活になるなどで、家や自動車の改造が必要になった場合に支払われる。
- 葬儀費用・・・事故によって亡くなった場合に支払われる。
- 休業損害・・・事故によって仕事を休まざるを得ず、損害が発生した分について支払われる。
- 逸失利益・・・後遺障害が残り、将来得られるはずの収入が減少してしまう場合に支払われる。
- 入通院慰謝料・・・入院、通院した日数に応じて支払われる。
- 後遺障害慰謝料・・・後遺障害が残ってしまった場合に、後遺障害の度合いに応じて支払われる。
■後遺障害慰謝料の3つの基準
示談金の中でも、後遺障害慰謝料には以下のように3つの基準があります。
【後遺障害慰謝料の算出基準】
- 自賠責保険基準・・・自賠責保険で定められている基準で、最低限の補償額
- 任意保険基準・・・任意保険会社が定めている基準で、裁判基準より低額
- 裁判基準・・・裁判所で認められた金額から作られた基準で、もっとも高額
そして、自賠責保険基準と裁判基準は、以下のように大きく金額が異なります。
※任意保険は保険会社が独自に決めているものですが、任意保険基準に近い金額です。
注意しておきたいのは、保険会社はできるだけ示談金を安くしたいと考えるため「裁判基準」の金額より、ずっと低い金額を提示してきやすい傾向があるということです。
しかし、実は弁護士をつければ高確率で「裁判基準」の慰謝料額をもらいやすくなります。
なぜなら、弁護士を付けると自動的に、後遺障害慰謝料の算出基準が「裁判基準」になるためです。これは交通事故の示談交渉における独特の仕組みですので、よく覚えておいてください。
※交通事故に強い弁護士の選び方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
さらに、
※弁護士費用の相場や、弁護士費用特約について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
■示談が行われるタイミング
2章で詳しく解説しますが、示談金を決めるための話し合い(示談交渉)は、あなたの治療が終わってからはじめられます。
示談交渉は、あなたと加害者(の保険会社)との間で行われますが、弁護士に依頼すれば、弁護士がほとんどの手続きを代理で行います。
示談交渉で話がまとまることを「示談」と言い、示談になれば示談金が支払われ、交通事故の被害についてのすべての話し合いが終了します。
そして、示談交渉で合意できなかった場合は、裁判(訴訟)に持ち込まれることになります。
2章:示談交渉から解決までの流れ
交通事故の示談は、示談成立まで以下の流れで進められます。
■示談交渉は治療完了時からはじめる
図を見て分かるとおり、示談交渉がはじまるのは、治療が完了してからです。
ただし、完治した場合と治療後も後遺症が残ってしまった場合とで、その後の流れが異なります。
3章:交通事故示談交渉で損しないために時系列でやることを解説
示談交渉について注意して頂きたいのが、加害者の保険会社の言うとおりに進められてしまうと、本来もらえるはずの金額から、大幅に少ない金額しか示談金がもらえないことがあるということです。
たとえば後遺障害慰謝料について、弁護士を付ければ「110万円」もらえるのに、保険会社からは「32万円」と言われてそれを受け入れてしまうケースがあります。
交通事故の被害に合い、大きな怪我を負ったり、後遺症が残って通常の生活が送れなくなったり、家族を失ったりしてしまうと大変辛いですよね。
辛い経験をされたのですから、その分しっかり適正な金額の示談金をもらわなければなりません。
そこでこれから、示談金を1円でも多くもらうための注意点について、交通事故発生から示談成立までの流れにそって、解説します。
示談で損をしないためにあなたが注意して頂きたいのは、以下の点です。
【示談までにやること】
■交通事故発生時のポイント
- その場で警察を呼ぶ
- 実況見分に必ず立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
■治療中のポイント
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院で治療を受ける場合、外科、整形外科にも通院すること
- 健康保険や労災保険を利用すること
■後遺症が残った場合の手続きのポイント
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
■示談交渉時のポイント
- 弁護士に依頼する
順番に解説します。
3-1:交通事故発生時のポイント
交通事故が発生したら、焦って通常の精神状態ではいられなくなると思います。
しかし、だからこそ、思い込みや加害者の言うとおりに動いてはなりません。
交通事故が発生したら、できるだけ以下の対応を行うようにしましょう。
- その場で警察を呼ぶ
- 救急車を呼んで病院に搬送してもらう
- 実況見分に必ず立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
順番に見ていきましょう。
■その場で警察を呼ぶ
事故を起こした場合、必ずその場で警察に連絡します。
警察はすぐに来てくれることが多いですから,それまではその場を勝手に立ち去ってはなりません。また、痛いところがあれば、必ず警察に伝えましょう。
なぜなら、
- その場で警察に連絡しないと、交通事故にあったことを証明できない
- 加害者の連絡先が分からなければ、示談金を請求することができない
という理由があるからです。
■救急車を呼んで病院に搬送してもらう
けがをしている以上,無理に現場にとどまる必要はありません。
下に記載している実況見分は後日でもできます。
■実況見分に必ず立ち会う
後日(稀に、当日)、警察と一緒に「実況見分」という、事故現場の状況を一緒に確認する手続きが行われます。
この時大事なのが、被害者のあなたもできるだけ一緒に立ち会うということです。
なぜなら、加害者の立ち会いしかないと加害者に有利な実況見分が行われる可能性があるからです。
そのため、大きな怪我をしていない場合は、警察を呼んでそのまま現場に留まり、実況見分が行われるのを待ちましょう。
■交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
あなたがあった事故の詳細は、後日、警察によって「交通事故証明書」という書類に記載されます。
「交通事故証明書」をもらったら、あなたの事故が「物損事故」か「人身事故」のどちらで処理されているか確認しましょう。
もしあなたが怪我をしているのに「物損事故」で処理されていたら、警察に連絡して「人身事故」に切り替えてもらえるように手続きをしましょう。
なぜなら「物損事故」として処理されてしまうと、保険会社から治療費が出ない可能性があるからです。
切り替え手続きには、病院の診断書が必要ですので、診断書を発行してもらい、それを持って警察に手続きに行く必要があります。
次に、治療中のポイントを解説します。
3-2:治療中のポイント
交通事故で怪我をした場合、入院・通院によって治療をすることになります。
治療中に知っておいた方が良いことは、以下の通りです。
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院に通う場合、外科、整形外科にも通院すること
- 場合によっては、労災保険や健康保険を利用すること
順番に解説します。
■まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
交通事故にあったら、たとえ怪我が軽くてもまずは必ず病院に行って、しかるべき治療を受けましょう。
なぜなら、病院に行って治療を受けていなければ「治療費」をもらえないからです。
また、治療中は、あなたが感じている症状についてしっかり医師に伝え、必要な治療を行ってもらうことが大事です。
なぜなら、示談金の金額は、事故後の診断結果や治療経過も判断材料になるため、違和感があれば何でも伝えた方が良いからです。
■整骨院、接骨院に通う場合、外科、整形外科にも通院すること
原則的には、整形外科に通院することが望ましいです。
しかし、整形外科に行く時間がなかなか取れない人は、症状によっては、整骨院や接骨院に通院して治してもらうこともあると思います。
その場合注意して頂きたいのが、整骨院等に通う間も、定期的に外科や整形外科に診断してもらっておくことです。
なぜなら、整骨院等は、保険会社から「治療として認められないので、整骨院等にかかった費用は支払いません」と言われることがあるからです。
外科や整形外科に通院して、医師から整骨院等に通うことの許可を受けていれば、整骨院等にかかった費用も保険会社に負担してもらえる可能性が高まります。
- 保険会社が治療費を立て替えてくれないとき
- 交通事故の過失が事故に少しでもあるとき
こんな場合には労災保険を、労災保険が使えない場合は健康保険を利用して通院したほうがよいでしょう。
労災保険や健康保険を使わず、自由診療のままにしてしまうと、同じ治療内容でも、治療費が高くなってしまいますので、損をしてしまいます。
治療が終わり、痛みやしびれも残らず完治した場合、等級認定手続きが終わってから示談交渉がはじめられます。
示談交渉の流れについては、3-4をお読みください。
怪我が完治せず、痛みやしびれが残った場合は、後遺症に関する診断や認定手続きが必要ですので、3−3をお読みください。
3-3:後遺症が残った場合の手続きのポイント
治療が終わった状態では、怪我が完治していることが望ましいですが、場合によっては痛みやしびれ(後遺症)が残り、それ以上の改善が望めない場合もあります。
後遺症が残った場合は、治療後に以下のポイントを抑えて手続きを進めることが大事です。
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
順番に解説します。
■「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
「これ以上治療をしても、症状が改善されない」という状態のことを「症状固定」と言います。
症状固定になると、それ以降の症状は後遺症であり、改善できないものです。
そのため、「症状固定」以降に発生した治療費や休業損害については、請求することができなくなってしまいます。症状固定以降に治療をしても、その分は自己負担になります。
したがって、症状固定の時点で残っている後遺症については、保険会社が、後遺症の影響による収入の減少などへの補償(逸失利益)や、後遺症が残ったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)を賠償することになります。
注意して頂きたいのは「症状固定」のタイミングを、保険会社が勝手に決めようとしてくることがあることです。
保険会社は、できるだけ支払う治療費や休業損害を抑えたいと考えます。
そのため、場合によっては勝手に「もう治療の必要はない」と判断し、それ以降の治療費の支払いを打ち切ろうとすることがあるのです。
まだ治療が残っている場合、勝手に打ち切られては困ってしまいますよね。
症状固定は、保険会社が勝手に判断していいものではありません。
プロであるあなたの医師の意見が重要になりますので、医師がまだ治療が必要と判断している場合、治療の支払を求めて保険会社と交渉したほうがよいでしょう。
この段階で、保険会社から勝手に「治療費の支払いを打ち切る」などと言われた場合は、弁護士に相談してその後の対応を任せることをおすすめします。
■「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
後遺症が残っている場合、その後遺症の度合いを「後遺障害等級」というレベルで決められます。
等級には1級から14級までがあり、1級が一番重篤な障害、14級が一番軽い障害です。
後遺障害等級の認定があれば、示談交渉の際に将来の収入に関する「逸失利益」や、後遺症が残った「後遺障害慰謝料」を請求することができます。
そのため、後遺症が残ったら必ず後遺障害等級を申請することが必要です。
後遺障害等級の認定は「後遺障害診断書」の内容が基準になるため、
- 後遺症の詳細が十分に記載されていること
- 十分な検査結果が診断書に記載されていること
という2点が大事なポイントです。
したがって、医師にはもれがないように診断書を作成してもらうことが大事です。
後遺障害認定に必要な検査内容や提出資料は、医師ですら正確に把握していないことがあります。
交通事故のトラブルに強い弁護士に依頼すれば、必要な検査や提出資料について、弁護士が医師に指示し、後悔のないような後遺障害等級を認定してもらうことにつながりやすいのです。
※後遺障害認定、後遺障害等級、後遺障害診断書などについては、これらの記事も参考にしてみてください。
交通事故での後遺障害認定の仕組みと認定までの流れを徹底解説!
【部位別・後遺障害等級表】交通事故で損しないための方法を弁護士が解説
【後遺障害診断書とは】有利に等級認定してもらうための流れとポイント
■等級に不満がある場合は異議申立する
もし、認定された後遺障害の等級に不満がある場合「異議申立」という手続きを行うことで、再度認定し直してもらうことも可能です。
ただし、ただ単に「異議申立」すれば、等級を再度見直してくれるわけではありません。
認定のどこに誤りがあるのか、医学的な根拠に基づいて指摘しなければ、結局同じ等級にされてしまいます。
そのため、後遺障害等級の異議申立について、医学的根拠に基づいて判断できる弁護士に依頼するのが、大事なポイントです。
※ただし「異議申立」で等級が見直してもらえることは稀です。
3-4:示談交渉時のポイント
示談交渉で、最大限の示談金をもらうためには、弁護士に依頼することが重要です。
なぜなら、1章で解説したように、保険会社は「できるだけ示談金を安く抑えたい」と考えるからです。
特に、後遺障害慰謝料の場合は慰謝料の算出基準に3つのものがあるのですが、保険会社は独自の基準である「任意保険基準」で慰謝料を計算します。
そのため、慰謝料の額が本来もらえる最大の額より、ずっと少なくなってしまうことがあるのです。
弁護士に依頼すると「裁判基準」の示談金で交渉することができるため、保険会社が提示した示談金より、さらに高額が請求できる場合があります。
そこで、1円でも多く示談金を増額させるためには、交通事故の示談交渉に強い弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故の示談交渉に強い弁護士の選び方については、こちらの記事を参考にしてみてください。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
さらに、弁護士費用の相場や、弁護士費用特約について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
示談交渉はやり直しできないので、できるだけ早めに相談するのがよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
最後に今回のポイントをまとめます。
【示談までにやること】
■交通事故発生時のポイント
- その場で警察を呼ぶ
- 救急車を呼んで病院に搬送してもらう
- 実況見分に必ず立ち会う
- 交通事故証明書を確認し「人身事故」になっているか確認する
■治療中のポイント
- まずは病院で治療を受け、診断や治療の記録を残しておくこと
- 整骨院、接骨院に通う場合、外科、整形外科にも通院すること
- 場合によっては労災保険や健康保険を利用すること
■後遺症が残った場合の手続きのポイント
- 「症状固定」のタイミングは医師に判断してもらう
- 「後遺障害等級認定時」は弁護士にサポートしてもらう
- 等級に不満がある場合は異議申立する
■示談交渉時のポイント
- 弁護士に依頼する
示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめしますので、できるだけ早い段階で相談してみることをおすすめします。
【保存版】交通事故に強い弁護士の選び方と0円で依頼する方法を解説
【事例別】交通事故の弁護士費用を最大限安くおさえる方法を徹底解説
交通事故での後遺障害認定の仕組みと認定までの流れを徹底解説!