【不倫・不貞行為】慰謝料の相場は50万~300万円、金額を決める7つの要素
この記事を読んで理解できること
- 不倫(不貞行為)の慰謝料の相場は50万円〜300万円
- 慰謝料相場が決まる7つの要素と判例
- 弁護士に慰謝料請求を依頼するメリット
- より高額な慰謝料を請求する秘訣
- 不倫(不貞行為)の慰謝料を高額な金額で合意できた事例
あなたは、
「不倫(不貞行為)をされてしまい慰謝料を請求したい、でも慰謝料の相場はどれくらいなんだろう。」
「高額な慰謝料を請求されてしまった。相手の要求を呑むべきなのだろうか。相場はいくらなんだろう。」
そう思ってはいませんか。
素人判断で、金額を設定して請求した場合、相場より低い金額を請求してしまったり、逆に相場より高い請求を呑んでしまったりすることがあり得ます。
不倫(不貞行為)における慰謝料の額は、一定程度の相場がありますので、それを知っておくと、不倫(不貞行為)トラブルに巻き込まれたときに役に立つかもしれません。
結論を言えば、不倫(不貞行為)の慰謝料は50万円〜300万円という相場があり、多くのケースでは、慰謝料の金額はこの範囲に収まります。
ただし、場合によっては慰謝料の金額は、この相場を大きく上回ることがあります。
なぜなら、慰謝料は複数の要因から総合的に決まるもので、増額される要因が重なれば慰謝料が高額になる可能性が高まるからです。
そこでこの記事では、まずは不倫(不貞行為)の慰謝料の一般的目安となる相場について紹介し、次に慰謝料が決まる要素について判例と共に解説します。
さらに、慰謝料を請求する場合に実際にこれから取るべき行動について紹介します。
最後までしっかり読んで、これからの行動に役立ててください。
目次
1章:不倫(不貞行為)の慰謝料の相場は50万円〜300万円
それではさっそく、不倫(不貞行為)の慰謝料の相場を紹介したいところですが、その前に「不貞行為」の定義を確認しましょう。
夫婦もしくは婚約している恋人同士の一方が、配偶者以外の異性と肉体関係(性交渉やオーラルセックスなどの性交類似行為)を持つこと。
不倫された配偶者の権利を侵害する不法行為にあたるため、損害賠償請求の対象となります。(民法第709条)
参照:民法第709条(不法行為による損害賠償)|e-Gov法令検索
よく似た言葉に「不倫」「浮気」がありますが、裁判所などは「不貞行為」という言葉を使います。
簡単にいうと、原則として、肉体関係があった場合に慰謝料請求が認められるのです。
ですので、この記事で紹介する相場は、肉体関係があった場合となります。
1-1:不貞行為の慰謝料相場
不倫(不貞行為)の慰謝料は、別居や離婚をする場合としない場合で、以下のように相場が異なります。
【不倫(不貞行為)の慰謝料相場】
不倫が発覚して離婚、別居した場合・・・100〜300万円程度
不倫が発覚したが離婚、別居しない場合・・・50〜100万円程度
上記のように離婚、別居したか否かで相場が異なります。
不倫が発覚して離婚、別居する場合は、不倫(不貞行為)を原因として夫婦関係が破綻し、精神的苦痛が大きいと考えられるため慰謝料の金額が高額になります。
一方で、離婚、別居しない場合は、不倫(不貞行為)で夫婦関係が破綻するほどの被害はなかったと考えられるため、慰謝料の金額が少なくなるのです。
【不貞行為の慰謝料】7つのポイントと判例から相場まで弁護士が解説
1-2:求償権についても知っておこう
さらに、慰謝料請求には「求償権」という権利があり、これを放棄するかどうかでも慰謝料の金額が変わります。
不倫(不貞行為)は、不倫した当事者の両方に責任があるとされています。
そのため、慰謝料の支払い義務は二人にあります。
たとえば、慰謝料の金額が100万円なら、約半分の50万円前後をそれぞれ負担するということになります(この金額もケースバイケースです。)。
不倫相手は、一人で慰謝料を負担した場合、もう一人の当事者に対して、慰謝料のおよそ半額を請求することができます。
これが「求償権」です。
夫婦が離婚しない場合、不倫相手が求償権を放棄することよって、慰謝料の額が半減する形でまとまることが多いです。
せっかく慰謝料を不倫相手から慰謝料を回収できたとしても、後から不倫相手配偶者に求償権を行使されることになります。
そうすると、慰謝料を回収して一件落着と思っていても後からまた不倫相手と関わりが生じてしまう可能性があります。
そのため、慰謝料の金額について交渉するときに、不倫相手に「後から配偶者に請求しないでください」と言って求償権を放棄してもらうかわりに「その分の慰謝料を減額しますよ」という合意をすることが多いので、離婚しない場合は相場の半分程度しか回収できないことが多いのです。
求償権とは?不倫慰謝料との関係と放棄を求める示談交渉を弁護士が解説
2章:慰謝料相場が決まる7つの要素と判例
不倫(不貞行為)による慰謝料請求は、不倫(不貞行為)による精神的苦痛の大きさによって金額が変わります。
精神的苦痛の大きさは様々な要素から判断されます。
以下、慰謝料の増額事由または減額事由になる要素をご紹介していきます。
それでは、順番に解説します。
なお、以下の裁判例は複数の要素が組み合わさって慰謝料の額が決まっているため、その要素が一つあるだけで裁判例の慰謝料がとれるというわけではありません。
2-1:不倫(不貞行為)の年数の長さ
不倫(不貞行為)の年数が長い場合は、それだけ配偶者に与える精神的苦痛が大きいとみなされるため、慰謝料の増額要因になります。
不倫(不貞行為)の長さは、過去の判例から数ヶ月(〜3ヶ月)程度なら短いと判断され、年単位(1年間〜)の場合は長いと判断される傾向があります。
そして、不倫(不貞行為)の期間が長いほど慰謝料が高額になる傾向にあり、短いほど減額要因として働くことが多いです。
具体的には、以下のような判例があります。
不貞行為を行った期間が8年以上に渡ったこと、婚姻期間が30年間と長かったことなどから300万円の慰謝料が認められたケースがあります。
(東京地裁平成22年7月6日)
2-2:不倫(不貞行為)の回数
不倫(不貞行為)の回数が多いと、多いほど与える精神的苦痛も大きくなると考えられるため、慰謝料の金額も大きくなる傾向があります。
不倫(不貞行為)の回数は、過去の判例から数回程度(〜3回など)だと少ないと判断され、20回以上の場合は多いと判断される傾向があります。
ただし、不倫(不貞行為)の回数は客観的に証明することが難しいため、本人の自白やLINEのやり取りなどによって証明できる場合の話になります。
不倫(不貞行為)の回数が20回程度もあったことから、320万円の慰謝料の支払いが認められたケースがあります。
(岐阜地裁平成26年1月20日)
2-3:夫婦間の婚姻関係の長さ
不倫(不貞行為)の慰謝料は、婚姻期間が長いほど高額になる可能性があります。
なぜなら、過去の判例では、婚姻関係が長く続いているほど、破綻した場合の苦痛も大きいとみなされているからです。
実際、過去には以下のような例があります。
夫婦関係が15年以上続いていたことから、それを破綻させられたことによる精神的苦痛は大きかったとして、婚姻関係の長さが増額要因になったケースがあります。慰謝料は200万円が認められました。
(東京地裁平成24年3月29日)
逆に3年以下の場合に、婚姻期間が短いと判断され、慰謝料が減額された判例もあります。
(東京地裁平成20年10月3日など)
どれくらいの期間があれば、婚姻期間が長いと判断されるかは明確ではないですが、3年程度なら短め、15年程度なら長めと判断の目安にはなりあそうです。
2-4:幼い子供の有無
不倫された本人とその配偶者の間に幼い子供がいる場合は、慰謝料が高額になる可能性があります。
なぜなら、未成熟の子供は両親の存在を必要としているのに、一方の親の勝手な行動によって正常な関係が築けなくなるからです。
また、不倫(不貞行為)をされた側の配偶者からすれば、育児の真っ最中に不倫(不貞行為)をされるというのは、精神的苦痛が大きいことです。
そのため、過去の判例では、幼い子供がいる場合は慰謝料の増額要因になり、相場よりも高い慰謝料が支払われることがあります。
実際、過去には以下のような例があります。
長女が生まれたにも関わらず、夫と不倫相手が同棲を継続して,不倫相手が同棲生活をやめるつもりはないなどと宣言していたことによって、450万円の慰謝料が認められたケースがあります。
(東京地裁平成15年9月8日)
2-5:慰謝料請求される側の年齢、立場、資産
慰謝料請求される側の人が、
- 年齢が高い
- 社会的立場が高い
- 資産や収入が多い
という場合、慰謝料の金額が高くなることがあります。
なぜなら、相手の立場や年齢が高い方が、相手が主導して不倫していたと認められたり、資産や収入が多い方が、慰謝料を多く支払うべきという考えもあるからです。
ただし、最近の裁判例では、これらを慰謝料金額の算定に入れないことも増えてきており、必ずしも高額になるとは限りません。
詳しくは弁護士に聞いてみてください。
2-6:不倫発覚後に不倫をやめてくれたかどうか
配偶者の不倫(不貞行為)に気付き「不倫をやめること」「別れてほしいこと」を要求したにも関わらず、不倫(不貞行為)を止めてくれないという場合、慰謝料が増額される要因になります。
実際、以下のような例があります。
妻が夫の不倫相手に対して、再三にわたって夫と別れるように要求したにもかかわらず、それを拒否し続けたことから、不倫相手からの300万円の慰謝料の支払いが認められたケースがあります。
(東京地裁平成19年4月5日)
2-7:反省の姿勢の有無
不倫(不貞行為)が明らかになった場合に、不倫相手からの謝罪の姿勢がなかったという場合は、慰謝料が増額される要因になります。
逆に、謝罪の姿勢を見せているという場合は慰謝料が減額されることもあります。
実際、以下のような例があります。
不倫相手が不倫(不貞行為)について謝罪していないことを要因として、慰謝料を増額し、220万円の請求が認められたケースがあります。
(東京地裁平成25年1月17日)
【コラム】慰謝料請求が認められるケース・認められないケース
不倫の慰謝料は、常に請求額が認められるわけではありません。
慰謝料の金額は、2章で紹介したさまざまな要素によって決まりますし、下記のどれか1つでも該当すれば、請求しても認められません。
- あなたとパートナーの間に婚姻、婚約、内縁関係がない
- 不倫の慰謝料請求が認められる3年の時効が過ぎている
これらのどれかに該当していたら、慰謝料請求が認められない場合もありますので注意してください。
3章:より高額な慰謝料を請求する秘訣
不倫の慰謝料の相場より高額な慰謝料を請求するための秘訣は、次の2つです。
- できるだけ多くの証拠を集める
- 不倫(不貞行為)のトラブルに強い弁護士に依頼する
それぞれ解説します。
3-1:できるだけ多くの証拠を集める
不倫(不貞行為)を理由に慰謝料を請求する場合、配偶者の不倫(不貞行為)を証明できる「証拠」を、
- できるだけたくさん
- できるだけいろいろな種類
集めることが大事です。
なぜなら、2章で解説したように不倫(不貞行為)は長期間、多くの回数行われている方が慰謝料が高額になりますので、複数回の不倫(不貞行為)が疑われるのなら、できるだけたくさんの証拠を集めた方が良いのです。
また、証拠になるものはいろいろなものがありますので、これから紹介するものを工夫して集めてみてください。
【証拠になるもの】
- 写真
- 録音した音声データや録画した撮影データ
- クレジットカードの利用明細、レシート
- Suica、PASMOなどの利用履歴
- メール、LINEや手紙
- 手帳、日記、メモ
- GPS
- 住民票の写し
- 子どもの血液型
- 興信所や探偵の調査報告書
特に、写真や録音データ、クレジットカードの利用明細、メールやSNSでのやり取りなどは、自分でも集めやすいので、まずは集めてみることをおすすめします。
より詳しい証拠の内容やその集め方については、以下の記事をご覧ください。
【2024年度版】【まずは証拠】浮気・不倫の慰謝料請求で有利になる証拠とは?
3-2:不倫(不貞行為)のトラブルに強い弁護士に依頼する
不倫(不貞行為)の慰謝料をより高額請求するためには、不倫(不貞行為)のトラブルに強い弁護士に依頼することも大事です。
なぜなら、不倫(不貞行為)の慰謝料は、2章で紹介したような過去の判例で決まるので、判例に詳しかったり経験が豊富な弁護士の方が判例を駆使して積極的に多くの金額の回収を目指してくれるからです。
不倫(不貞行為)のトラブルに強く、より経験豊富な弁護士の方が、適切な判例を熟知しているため、そうでない弁護士よりも高額請求できる可能性があるのです。
弁護士に依頼することには、他にも以下のようなメリットがあります。
- あなたの状況で集められる証拠について、具体的なアドバイスをもらえる
- 感情的にならず冷静に交渉、手続きを進められる
- 弁護士が代理人になるため、交渉のストレスを最小限にできる
- 金銭面以外の要求(配偶者への接近禁止や、周囲にバラさないことなど)もできる
- 示談後のトラブル(慰謝料が支払われないなど)を防げる
ポイントは「不倫(不貞行為)」のトラブルに強い弁護士に依頼することです。
なぜなら、弁護士にも「不倫(不貞行為)」「交通事故」「労働問題」などの得意分野があり、弁護士の中には専門外の分野に関しては、不得意である人も少なくないからです。
不倫(不貞行為)が苦手な弁護士に相談すると、あなたが望む要求が通らなかったり、慰謝料の額が少なくなってしまうこともあります。
したがって、不倫(不貞行為)に強い弁護士に依頼することが大事なのです。
不倫トラブルに強い弁護士の特徴について、詳しくは以下の記事で解説しています。
不倫慰謝料相談に強い弁護士の選び方!依頼のメリットもあわせて解説
コラム:慰謝料を減らさないための2つの注意点
まず1つ目の注意点は、不貞行為を行った配偶者や不倫相手に対して、できるだけ感情的にならず冷静に話し合うということです。
不倫慰謝料の請求においては、相手の不法行為によってあなたに精神的苦痛という損害が生じ、不倫相手に慰謝料の支払い義務があるということを理解させることが重要です。
そのためには、感情的にならずに理詰めで話を進める必要があり、一人では対応が難しい場合は弁護士に依頼することをおすすめします。
2つ目の注意点は、不倫の事実と向き合うのは辛いと思いますが、放置しないということです。
不倫トラブルを放置しすぎると、慰謝料を請求しても1円も認められなくなる可能性があります。
なぜなら、不倫が発覚してから3年以内に慰謝料を請求しないと、請求が認められなくなるという「時効」があるからです。
そのため、不倫トラブルを放置せず、できるだけ早めに行動することが大事です。
4章:不倫(不貞行為)の慰謝料を高額な金額で合意できた事例
それではこれから、新橋第一法律事務所に所属している弁護士の過去の実績から、高額の不倫慰謝料で合意できた事例を紹介します。
4-1:妻が地元の後輩と不倫していた事例
40代男性、子どもが3人いる方からの依頼で、依頼者の地元の後輩と依頼者の奥さんが不倫していた事例です。
不倫の結果離婚にまで至っており、しかも相手は不貞行為を否認するなど悪質な態度でした。
また、依頼者は不貞行為を調べるために探偵を雇っていたことから、探偵費用も合わせて請求しました。
毅然とした態度で交渉を進め、400万円という不倫慰謝料の一般的な相場を超える、高額な請求を認めさせることができました。
詳しくはこちらのページで紹介しています。
4-2:地元の知り合いの男性と妻が不倫していた事例
依頼者は40代の男性で、妻が地元の知り合いと不倫していた事例です。
依頼者は妻と離婚することは考えていなかったため、今後妻に連絡や接触をしないこと、妻への求償権を放棄することを約束させて和解を成立させました。
一般的には、離婚せず求償権を放棄する場合、慰謝料が半減することが多いですが、この事例では200万円という高額な慰謝料で合意することができました。
詳しくはこちらページで紹介しています。
4-3:LINEで夫の不倫に気づいた事例
50代の女性からの依頼で、たまたま夫のLINEを見たことで不倫の不倫に気づき、慰謝料請求した事例です。
依頼者の方は夫と離婚することは考えていなかったため、不倫相手の女性には今後夫と接触しない事も約束させた上で、慰謝料の支払いに合意させることができました。
離婚しない場合は慰謝料が減るのが一般的ですが、この事例では300万円という高額な慰謝料で合意しています。
詳しくはこちらのページで紹介しています。
こちらのサイトでは、新橋第一法律事務所に所属する弁護士が解決してきた、不倫トラブルの多くの事例を紹介しています。
他にも高額請求の事例が多くありますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:不倫慰謝料を最大限請求するために弁護士に相談しよう
不倫慰謝料の相場や高額請求の方法を詳しく説明しましたが、最大限請求するためには弁護士に相談することが大事です。
ぜひお気軽にご相談ください。
最後に今回の内容を振り返ります。
【不倫(不貞行為)の慰謝料相場】
不倫が発覚して離婚、別居する場合・・・100〜300万円
不倫が発覚したが離婚、別居しない場合・・・50〜100万円
【慰謝料を相場より高額請求する方法】
- できるだけ多くの証拠を集める
- 不倫(不貞行為)のトラブルに強い弁護士に依頼する
【不倫(不貞行為)の慰謝料を減らさないために大切なこと】
- 不倫について周囲に言いふらす、ネットで発信する、不倫相手への脅迫、暴力、暴言
- 長期にわたって不倫トラブルを放置する
まずは弁護士に相談し、あなたの場合の慰謝料がどのくらいになるのか聞いてみることをおすすめします。