計画された失望

昨日からJapan Linux Symposium 2009が始まった。本来なら自分は全日イベントに参加していたわけだが、先週感染してしまったインフルエンザにより初日は自宅でUSTの中継を見ていて、夜、六本木で開催されたスピーカーズディナーも欠席した。

#jls, #jls2009などのタグで参加者の声を拾っていたが、ネットワークの神様と言われるDavid Miller氏が、まつもとさんの基調講演について、こんなつぶやきを残していた。

Very disappointed in Yukihiro Matsumoto's keynote, he's entirely self absorbed.

自分は音声でこの講演を聞いていたが、講演の内容と今回の会議の接点は、かろうじて「オープンソースがなかったら、rubyも作っていなかったかもしれない」「rubyはオープンソースの環境で開発している」しかない。基調講演は会議の主題、主催者の意思や関心を伝える意味がある。まして、Linus Torvalds氏はじめ日本に揃うことがほとんどなかったコアな開発者を迎えた今回の会議の基調講演であれば、ここはやはり「おもてなし」のこころで「カーネル開発の心」を知る人に話をさせるべきだったのではないだろうか。自分が人選するなら、by nameで通じる吉藤さん、小崎さん、亀沢さんを人選するだろう。本当は「日本でもOSSは始まり、それを理解する人が育っています、ありがとう」、是非そうしたメッセージを伝えたかったところだ。

まつもとさんはおそらくLKMLは購読していないし、Linuxカーネルにもあまり造詣は深くないのではないかと思う。このすれ違いは、基調講演のプログラムを決めた時点で、作り込まれてしまったものだ。そのことを残念に思うけれども、日本におけるLinuxやオープンソースの受け取られ方がそのまま現れたものととらえれば、実力どおりの結果ということでそれで良いのかもしれない。