追跡者の系譜

ターミネーターの続編、ターミネーター2は一作目を超える傑作との誉れが高い、世にも稀な続編の傑作だ。


なぜ、このような傑作をモノに出来たかと言えば、なんと言っても前作のシュワルツェネッガー演じるターミネーター、T800型より明らかに強いと見た目ですぐにわかる敵、T1000型を創造出来たことに尽きる。


そして、ターミネーター3がイマイチな理由も単純で、T1000型より新型の女ターミネーターが明らかに弱そうだからイマイチなのだ。


だからターミネーターが更なる続編を傑作にしたかったら、T1000型を超える敵を作り出すしかない。


でもターミネーター4は今までとは全然違う未来の戦争映画みたいになっちゃってるもんな。新しい敵役の創造は期待出来ないだろうな。


でもターミネーターシリーズが残した、アホほど強い敵に追っかけられまくる。っていうコンセプトは残る。T1000型より明らかに強いとわかる敵を創造し、ソイツから逃げまくる主人公を創造すれば、それだけで相当な傑作をモノに出来る筈だ。


実はそれは既に存在する。ターミネーター的なコンセプトを受け継ぎ、T1000より強い追跡者を創造することに成功した映画があるのである。そのタイトルは



マトリックスだ。



マトリックスに登場するエージェント、あの倒しても倒しても別の人間に乗り移って復活するあのたちの悪い追跡者、あれこそターミネーターの正当後継者と呼ぶにふさわしいのではないか。


だけどマトリックスは折角のエージェントを突然覚醒した主人公のネオがなんかよくわからんやり方で倒しちゃったのが良く無かった。


結局続編であっさり復活するし、挙句リアル世界に侵食し出すし、あそこで適当に決着つけちゃうもんだから、マトリックスシリーズ全体がグダグダになってしまった。


だから今求められているのは、エージェントスミス的、「乗り移り、伝染する追跡者」にきっちり決着をつけられるヒーローなのである。


これは難しいだろうなあ。


話は飛ぶけど、ダークナイトのジョーカーがあんだけ手に負えないのも、ジョーカーが悪意の根源なのではなく、ただ悪意の伝染を加速させてるだけだからなのだ。今のアメリカ映画はこのような地点にいる。