何だ?この、ユーウツは!〜横浜死闘篇〜

承前


从;・ゥ・从<サブタイトルが予告と違うんだけど・・・・・・
(オ゚Д゚)<よくあること
ノソ*^ o゚)<なぜ広島じゃなく横浜?
(オ゚Д゚)<だって俺は谷山浩子のANN「がんばれ!大洋ホエールズ」からのベイスターズファンだもの


嫌いなものの話をするのは疲れる。心と身体に悪い。だから好きなものの話をしよう。


℃-uteちゃんはひとまず措いといて。
アイドル? うーん、嫌いじゃないとは思っているけど、今ちゃんとしたアイドルってほとんどいないでしょ。
アイドルブームじゃないかって? あれアイドルか? 
いや、「若くてかわいい女のコがかわいかったりセクシーだったりする衣装を着てポップスやロックを歌って踊ればみんなアイドル」で間違いはない。つーかそれで正しいと思う。あまりギチギチに定義づけたらつまんない。だからここからは僕の個人的な理想の話ね。


僕にとって、アイドルってのは「はみ出すもの」なのよ。お客様からお金をいただくのだから、ちゃんとした芸を見せなければいけない、とかそういう「常識」や固定観念から、望むと望まざるにかかわらずはみ出していく、はみ出してしまうもの。あるいはそれらをひっくり返してしまうもの。歌謡曲でありながら、パンク/ニューウェーヴにも通じるものがあるのが本来の姿じゃないのかと。
今そういう感じのアイドルっているのかな。まぁ僕はハロプロ、それも℃-uteしか見てないから詳しくはわからないけど、入ってくる情報だけで判断するなら、どこもかしこも、誰が作ったかわからない「(多くの場合’80年代の)アイドルってこういうもの」という鋳型に自ら嵌っていって、そこからはみ出すことなく、予定調和をやってるだけのようにしか思えない。でなければ、中身のなさを企画や宣伝の派手さでごまかすとか、何か付加価値を用意するとかね。
それはアイドルじゃない。面倒ないい回しになるけど、「アイドルの枠を超え」ないアイドルはアイドルたり得ない。アイドルごっこでヲタクの金玉を撫でているだけだ。いや、客の方もヲタクごっこをやってるただの消費者なんだろうけどね。
・・・・・・そうなると究極のアイドルは「かわいくないアイドル」かもしれない。いや、実はもう実在してるけどね。あくまでも、桐谷美玲や有村架純、小島瑠璃子あたりをかわいいと感じる僕から見て「この人、美人系ではあるけど“かわいい”かっつーと微妙だよね」って感じなんだけど。


「好き」だけだと範囲が広すぎるかな。別に僕の好きな食べ物とかだれも興味ないでしょ?
ただ好きというだけでなく、物の見方、考え方まで影響されたもの、つまり僕という人間、その価値観や美意識を形作ったものと考えると、まず第一に挙げられるのは富野アニメだな。アイドル以外の国内ポピュラー音楽の世界だと、まずはムーンライダーズ、そして早川義夫。
・・・・・・ハイ、わかる人は大苦笑でしょうね。三者とも(ライダーズはリーダー鈴木慶一を想定)クセがあるというか、一筋縄じゃいかない感じの人だもんなぁ。

ラブ・ゼネレーション

ラブ・ゼネレーション

たましいの場所 (ちくま文庫)

たましいの場所 (ちくま文庫)

でもって、彼らの作品に共通するものとして、「屈折の果てのストレートさ」ってのを僕は感じるのね。それがまた深い味わいがある。屈折してないものってどうもアタマ悪そうな印象を持ってしまうのだよね。
そして彼らは、創作において妥協がない。
富野アニメなら、とにかく見る者に嘘をつかない、いい加減なごまかしをやらない。「状況があります、こう行動します、すると当然こうなりますよね」というのを一切の手加減なしでやる。その突き詰め方、突き詰める意思の強さ。
ムーンライダーズは、常に新しいもの、他人がやってないものを探す。そして「ここにしかない音楽」を生み出すためにあらゆるアプローチを実行する。
この二者はどちらかといえば作品に「詰め込む」タイプであるのに対して、早川義夫は逆に削っていく、研ぎ澄ましていくタイプ。歌詞はまっすぐな思いを飾りもひねりもせずに表し、音はシンプルでありながら豊穣な響きをもって届く。

こういうものを作りたい、という強い気持ち、アニメ/ロック・ミュージック/歌とはこうあるべきだ、ここまで出来る、だからやるんだという哲学があるから妥協なんてありえないのだろうな。そういう作り手はブレがないから気持ちいい。創作の哲学は作り手によって異なるものだから、それに則って妥協なく作られたものは、誰にも真似のできない、唯一無二の表現となる。そんな価値ある表現物からは、表現者自身の姿が見えてくる。
妥協なく作られたものには、強い力が宿る。受け手を圧倒するくらいに。圧倒されまいと、こちらも力が入る。そのやり取りは、まるで演者と観客が互いに互いを高めあう素晴らしいライブのような高揚感、興奮をもたらす。


それぞれにそれぞれの感動があり、つい語りたくなってしまう。広めるというよりは共有する、言語化することで確認する。何より作品から何かを感じた自分自身を。
アイドルを含め、僕は「理屈抜きの楽しさ」よりも理屈のある楽しさ、理屈をこね(られ)る楽しさというものが大好きなんだろうな。考える楽しさ、アタマを使う楽しさ。
僕も突き詰めたい。アタマを使って考えたい。知的に、知性をもってアプローチしていきたい。知性とは理屈をこねるだけでなく、理屈を超えたものを感じることも含まれる。理屈を超えたものを、理屈で語れれば最高だな。
知性を発揮しなければ、他者を理解できない。自分も理解されない。

 芸術の目的の一つに「異化効果」がある。例えばリンゴを表現するとしよう。この時、ただリンゴを描くのではなく、絵画や文学のさまざまなテクニックを凝らして、認識の経路を複雑にしそれによって、人に初めてリンゴを見たような感興をもたらす──これが、異化効果だ。映像作品を見ている時に経験する混乱の中にも、これに似たような効果があるのではないだろうか? 意味の分からなかったセリフ、意図がつかめないアップや自然描写のインサート・・・・・・。これらの意味は、物語を見ながら、あるいは再見した時に分かるかもしれないし、あるいは、ずっとそのままかもしれない。
 しかし、その意味を摑もうとして、思考を巡らす時、あなたはもはや消費者ではなく、最後のクリエイターである“観客”として、作品に参加しているのである。観客がその作品について、混乱・分析・解釈──言葉はなんでもいい──するとき初めて作品は完成に向けて進み始めるのである。

(藤津亮太「ガンダムを最後に完成させるモノ」『機動戦士ガンダム 宇宙世紀vol.4総括編』ラポート1999、205ページ)

いささか長い引用になったけど、この文章にある、
「最後のクリエイターである“観客”」
僕はそうありたいと思っている。
ただ見たり聴いたりして、面白い/つまらない、好き/嫌いだけで片づけるのではなく、受け止めて、考えて、咀嚼して、解釈して、その経過や結果を共有する。
そのために、音楽や映像作品だけでなく、たとえば日々のニュースとか、人との関わりとか、先人の言葉とか思想・哲学、そういったものから見聞を広めておきたい。
だって、一つの作品を作るまで、いやそのスタート地点に立つまでに、作り手というのは相当な勉強をしているのだ。そのはずなんだ。受け手が怠惰でいられるわけないじゃないか。
自分の好きなことだけに目を向けてばかりいると、世界が狭くなり、物の見方、考え方が偏って、最終的には自分の好きなもの、理解したいものに対する捉え方も中途半端な、どこかズレたものになるんじゃないかな。


勉強は、知力は武器だ、と実感する。
この文章を書くことに決めてから、また本を読むようになった。大量にアウトプットするために大量にインプットする、というのもある。思わぬところから思わぬサジェスチョンも得て、こういうことがあると、また楽しく読んでいける。出会うべきものと出会うべきタイミングで出会えているのだろうな。幸せなことだよ。


ただ。
「最後のクリエイターである“観客”」には弱点がある。
早川義夫の「いつか」(アルバム『この世で一番キレイなもの』)という歌に、
「足りないのではなくて 何かが多いのだ」
という一節がある。

この世で一番キレイなもの

この世で一番キレイなもの


これにインスパイアされて思いついた。
作品にどこか「足りない」ところ、文字通り欠点があったとしても、観客がその作品を解釈する時には思い入れでカバーすることができる。
しかし、「何かが多い」場合、観客がそれを削ることはできない。どうしても目や耳に、心に入ってくる。そしてなんとなく不愉快な、スッキリしない感触をおぼえるのだ。
自意識、ウケ狙い、商売っ気、・・・・・・そういうものは徹底的にそぎ落としてほしいものだ。かといってムーンライダーズのように、CMソングのオファーに「イントロが30秒ある曲を作ってそこを使ってもらう」なんてのも、それはそれでやりすぎ・・・・・・で実に痛快だけどさ。

さぁ。
これで、僕が「我武者LIFE」を受け入れられない理由がご理解いただけたと思う。
(オ゚Д゚)<−−−−−−−−−− 終了 −−−−−−−−−−−
从・ゥ・从<−−−−−−−−−− 再開 −−−−−−−−−−−
从;・ゥ・从<全然わかりませんがな
(オ゚Д゚)<これ以上何を説明しろと!?



<次回予告>
無残に砕かれたおーがちょーの夢。希望の歌の裏切りに、おっさん達の絆も揺れる。
teamが何だ。横アリが何だ。消えかかった闘志は蘇るか。
次回「包囲網を破れ」
从・ゥ・从<Not even justice, I want to get truth.
(オ゚Д゚)<I am not SHOCKEYE!
(BGM:太陽の牙ダグラムより「動乱」)