ひとり旅

ひとり旅はいい。好きなことが全部つまっている。非日常、温泉、車移動、知らない土地、おみやげ、ご当地の食べもの、ドライブ、車の中で歌を歌うこと、泡のように浮かんでは消える考えごとをすること、一日のしめくくりのビール、時間や行動の柔軟性、意思疎通の不要性、知らない地名を見ること、景色、道の駅、部屋食、日本酒、散歩、発展性のないたわいのないお喋り、急須で淹れるお茶、和菓子屋さんのお菓子。知らない土地を知っていくこと。
わたしの感じる喜びのひとつに「学び」「知ること」はあると思う 。なにかを会得していくこと。

 

年末に温泉へ行ってその1年の自分を労う旅を毎年していて、今年で11回目だった。基本は一人で行くけど、人と一緒に行ったこともある。ここ数年は年末にまとまった休みが取れないので少し早めに。先月その年末旅行に行ったときに書いた日記の一部を載せてみた。

旅行中は、明日はどういう流れでどこへ行こうか、どんなスケジュールで行くか、何を食べようか?ということしか考えない、それらしか考えなくていいので、そこも好き。日常を生きていると、この1週間のこと、来週のこと、週末のこと、来月のこと、などなど先のことを考える必要があるので、嫌いじゃないけど、疲れることもある。大谷さんみたいに目標を持って、プランニングを基に生活する人を尊敬するし、未来に備えて暮らすことは大切だと思うけど、そういう考え方があまり得意でなくそんなのくそくらえと思う自分もいて、でもそこまで振り切れず、いい歳の大人になってもいまだにどんな風に未来を考えればいいのかわからない。

ここの1年、特にこの半年くらいで、趣味に対する意欲、好奇心、人付き合いや人への興味が薄れてきていて、そういう時期もあるよねと自分に言い聞かせているけどずっと不安でもある。手元に残るものは何だろう、過去と今とこれからは繋がっていくだろうか。

大切なもの

SPITZ,NOW! 〜ロック大陸の物語展〜」@東京シティビューへ行ってきた。スピッツはわたしにとってとても大切な音楽なんだけど、周りに分かち合う人もいなくて、ワンマンライブにも行ったことがない(ARABAKIで1度観た)。なので、会場のあちこちで流れている曲を口ずさんでいる人たちを見られて、心から嬉しかった。お目当ての「おばけのロックバンド」のライブVR映像も見れた!

楽曲はかなりの頻度で聴くし大好きなんだけど活動に対しての興味が薄くて、今回やっとメンバー4人の名前もちゃんと覚えたくらいだけど、ライブ映像を見て、4人の人間が鳴らしてる音だったよなと思って、やっぱり近いうちにワンマンライブに行きたいと強く思った。来年はツアーやるかな。草野マサムネさんのラジオでのお別れの言葉「またお会いしますよ」、展示の音声ガイダンスでも聞けて、その乾いた質感、でも確かにある再会の意志と希望、言葉選びの巧みさに感動。

どの曲が好きかと聞かれたら結構答えに困るけど、最近聞いていて元気をもらったのは「愛のしるし」。PUFFY versionも好きでアレンジの聴き比べも楽しい。


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あとはスーベニア収録「ナンプラー日和」の「遠慮はしないで 生まれたんだから 炎になろうよ」って歌詞がすごく好きです。ここはどうやらわたしにとって音楽の感動を書き記しにくる場所になっている?

秋の東京タワー

今朝から秋の匂いがして気持ちがよい。東京タワーはオレンジ色の水玉だった。白みがかった夏のライティングから朱色に変わるのは10月初旬からだそうなので、もうすぐだろう。

辞めていったひとの引き継ぎがありとても忙しく働いてる。疲れてるときは同じ音楽を繰り返し聴く傾向があるので、スピッツの『ひみつスタジオ』をずっと聴いてる。30年一緒にやってるバンドメンバーと「オバケのロックバンド」を演奏できたらきっと楽しいだろうな、楽しんで鳴らしただろうその姿と空気感が聴くたびに伝わってきてわくわくする。大学のバンドサークルにいたら、合宿でみんなでボーカルまわして歌うだろうなとか。

もっと気軽に日記を書きたい。2022年2月からの空白の期間にいろんな変化があって、ある程度時間が経ったから、話せることが増えた気がする。少しずつ。

 

ユートピア、最近聴いている音楽について

岡林風穂さんの音楽が非常によくて、めちゃくちゃリピートして聴いている。湿っぽくなく軽やかにユーモアと本音を歌うひと。歌詞やその展開とか、"歌"としての完成度がすごく高くて感動する。同名のアルバムの1曲め、「めっちゃめっちゃ春」というリード曲は、ヘンな歌詞で初めて聞いた時はなんだか笑えちゃったけど、メロディーに乗る言葉がするすると転がっていく感じが気持ちよくて何度も聴くし一緒に歌っちゃう。2枚のアルバムはApple Music、SpotifyYouTubeSoundCloudなどあらゆる媒体でフルで聴けるので聞いてみてほしい。わたしがふと聞きたくなる曲は、「かわいい人」「毛布を洗いたい」「コメダって言ってよ」。たぶん、彼女の魅力を表すには他の曲を引用したほうが適切なんだろうと思うけど、アルバム未収録の「ユートピア」がいちばん好きなので貼ります。名古屋近辺のライブハウスで月に2,3度くらい、結構頻繁にライブをしていて4月には東京にも来るみたい、平日でもどうにか足を運びたい。


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音楽についての客観的な説明は苦手だし下手で、松本のライブハウスGive me little more.に出演した時の紹介文が的確だと思うので引用。

ゲストは、岐阜県多治見市を拠点に活動するシンガーシングライター“岡林風穂”。シンプルな純フォークマナーな弾き語りスタイルで、ユーモアたっぷりの軽妙な歌世界を立ち上げる注目の存在。日常の視界の隅で通り過ぎてしまうようなことを、石の裏をひっくり返すような小さな冒険心で切り取ったような歌詞は、その一節一節が短歌のような味わい…!歌詞に登場する意外なモチーフや風景が名脇役のように次々と登場しては去っていく姿を眺めているだけでも不思議な居心地に浸れます。情緒はあるけど、情念にはまかせない、あっけらかんとした湿度感をまといながら、どこか余裕の微笑みを感じる彼女の弾き語りをお楽しみに。柴田聡子や小池嵩(シラオカ)のファンにもおすすめ。

givemelittlemore.blogspot.com

 

去年の後半からJustin Bieber『Justice』をかなりよく聴いていて、フェイバリット・アルバムの1つになった。どんな気分の時でも聴ける。「Holy ft. Chance The Rapper」が好き。敬虔なクリスチャンの信仰心は実感を伴ってはわからないけど、そのものの考え方が気になるし、美しい、尊い歌詞だと思う。


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光(ひかり)

2021/12/3 NRQ/OONO YUUKI BAND @ 代官山 晴れたら空に豆まいて

OONO YUUKI BANDの音楽は、光(ひかり)だった。しばらく音楽やってなくてもこうやって音楽はできるし、鳴るし、死んだ人の音楽も生きてるみたいだし、でたらめですね、音楽は、でもそれが人に希望を与えてくれるようにも思います。というようなことを大野さんが言っていて(ひとのことばを覚えるのが下手で間違ってたら申し訳ないです)、そのあなたたちのでたらめな希望にほんとうに感動してる、と思っていた。OONO YUUKI BAND10年くらい前から何度もライブで聴いているし、そのメンバーも、世の中も自分も変わっているけど、ライブで聴くと高揚して尽くす言葉がなくなって、全身で音を浴びて喜びで身体を動かしている、というのがずっと変わらない。

コロナでライブに行かなくなってから、Apple Musicで大衆的で作品として完成された音楽をよく聴いていて、どちらがより優れているという話ではなく、ただ、目の前で人が鳴らす音楽を目の前で聴くということがすごく素晴らしいことだったということを思い出した。この喜びは決して知らなかったものではなく、忘れていたもしくは忘れさせられていただけだった。

NRQは、素晴らしく豊かな音楽空間だった。アルバム制作中だそうで、中尾勘二さん作曲の「あの丘の向こう側へ」という曲がめちゃくちゃにかっこよくて、幾たびか現れるそのリフがあの丘ならばどこまでもついていきたい、その先を一緒に見たかった。技術とセンスと経験を積んだミュージシャンが鳴らす音楽は豊かで、洗練されていてかっこよくて、何度もぞくぞくと鳥肌が立ったし、マスクの下でかっこよさにしびれて笑みがこぼれたりした。繰り出されるメロディーが歌っている。とにもかくにも中尾勘二さんがめちゃくちゃにかっこよくて、鳴らす乾いたドラムビートも、即興が効いたサックスも最高にイカしてた。12/17まで配信しているようなので、もう1回観ようか考えているところ

http://haremame.com/schedule/71581/

前回の更新が2020年の5月で1年以上も前で、認識していたよりもずっと時が経っていた。変わったことや変わらないことがある。自分の文章の稚拙さや表現力の無さがいやになっていたけれど、日記のようなものだし気負う必要もないはずなのでもう少し頻度を上げて続けてもよいのではないでしょうか。なにより自分が自分でそのとき何を考えて感じて思っていたのかを忘れてしまっている。

静かな生活

静かな生活。
わたしが勤めている会社は緊急事態宣言を受けてチーム分けして交代で勤務をしているため、出社する日や、した場合も顔を合わせる人間が限られている。通勤時の満員電車を含め、なによりもたくさんの人に会わない、触れない、話さないことが自分にとってこんなにもストレスフリーで気楽なものだということを知ってしまい、緊急事態宣言解除後の、コロナ前の勤務環境に戻ることがいやで、心配している。自分自身よりも周りに適応することを優先するところがあり、幸いに仕事や収入面、健康面で大きく脅かされることがなかったことも重なり、非常事態のなか、その環境を受け止めて、静かに生活をしている。もちろん会いたい友人も、制限されている娯楽や活動もそれなりにあるんだけれど、叶えられない欲望によって起こるフラストレーションより、それらを求めないことにしているほうが、はるかに気持ちが楽だ。会えないのに「はやく会いたいね」と言うことや、できないのに「したいね」と言うことに、ストレスを感じる。そのため、あまりやりたいこともなく、ストレスもないようにして、暮らしている。きっと素直じゃないんだけど、そういう考え方の癖がある。
そう考える自分に罪悪感を感じている。多くの人は今の状態からの脱出を求めているだろうに。わたしには大事なものがなかったんだろうかと、かなしい気持ちになる。前より、今よりいい未来があると思えず、多くの人に気づかれないまま消えてしまえればと思うこともある。
以前より家にいる時間が増えたので自炊をするようになった。仕事帰りにスーパーに寄って数日分の食べ物を買い、いつもより少し遠い道のりをよっせよっせと歩いて帰る。近所の花屋で元気なおじさんから花を買い、パソコンの向こう側に置いて眺めている。コーヒーを淹れて、お菓子屋さんで買ってきたチーズケーキを食べている。
自治体が朝昼夕に流す「緊急事態宣言発令中です。外出はできるだけ控えましょう」という放送がいちばん非日常感がある。まるでアニメか漫画に出てきそうな異様な風景。
 
Ariana Grande & Justin Bieber ”Stuck with U”がいい曲で、リリース日の夜深くひとり泣いてしまった。表現で、言い方とらえ方次第で見え方がまるきりかわってきて、これはまさにコロナ禍中にいる人が作り歌い聴く歌で、でもこんなに幸せなラブソングになるなんて。音楽ってこういうものだった。Uはもちろん君でありあなたであり、家族でありパートナーであり、コロナかもしれなくてそして自分自身でもある。和訳で「立ち往生」と訳しているのもあり苦笑しちゃったけど、もちろんそうでもある、仕方なくて、でもどうしようもなく一緒にいるしかなくて、そして一緒にいる。それをポジティブな選択に歌い替えている。きっと救われる心がたくさんあるだろう。 有名人でもそうでなくても、この大変な中でも果敢に動き出す人たちがいて、その行動に勇気づけられている。

Hope

中尾憲太郎のベースの一音になりたい。 なんかもう、今からあんなにかっこよくベースが弾けるようになりたいとか、ああいう風になりたいとかは思えなくて、かといってFIXEDというロンTを着たり、似たような金縁メガネをかけても憧れの人のようにはなれないので、もう自分の好きなものそのものになりたいと願うことが最近は多い。この前はどれも美味い料理を出すこじんまりとした居酒屋で、ぜんぶ飲み干してしまいたいこの蛤の酒蒸しの出汁になりたいとさえ思ってそれを口にし、「それじゃ飲めないじゃん」と同席していた人にドン引きされたけど、わたしはその後にオーダーしたカウンターの中で手ぎわよく握られるあきらかにおいしいであろう白飯のおにぎりそのものになりたくもあり、実在する尊いものそのものになりたい。 ナンバガ無観客生配信アーカイブを見返していて、あの凄みのある迫力ある音圧はすばらしくかっこよくて一音といわずベースラインになってあのバンドのたった1曲でもその一部になれたらどんなにいいだろうとひとりの部屋で夢見ている。