就労相談室ギフテッドのブログ

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やらないこともやったこと

「今年も一年、何もせず終わりそうです。自分はいつまでこんなんでいるんでしょうか」

 

初めまして、ご相談ありがとうございます。就労相談室ギフテッドの相談員Kです。よろしくお願いします。

同じように悩んでいる人は少なくないと思います。

相談者様がどのような生活をされているかは不明ですが、そう感じる理由は様々ですよね。

学生でもない、社会人でもない、どちらかに当てはまるけど、漫然と同じような日々を繰り返している、福祉事業所等も利用していない、ひきこもっていたなど、変化がなかったとも言えるでしょう。

ちなみに「今年も」以前に「今日も何もしなかった」で自責する人もいらっしゃいます。何をどうしたら「何かした」と胸を張って言えるのか、まさに人それぞれです。

相談者様にとっての「何か」を具体的に表現することはできるでしょうか。「すべきだったこと」は除外します。

それを挙げてみるという行動が今年の「やったこと」になると私は思います。つまり来年への目標や余暇活動をリスト化することですから。

リストに挙がったものは相談者さんが一年を振り返って「こんな自分でありたかった」って思うものなのでしょう。

行きたかった場所、会いたかった人、欲しかった友達や恋人、始めてみたかった趣味、やりがいを感じて実績を残したかった仕事や勉強。

または観たかった映画、イッキ見したいドラマやアニメ。「今からでもできるかもしれない」というものが一つでもあれば儲けものですね。

ですが注意点があります。その内容に「優劣をつけないこと」です。

真面目な人や自罰的な人はつまづきがちですので気を付けてください。

世間や誰かと自分を比較して「何もできてない」「こうあるべきなのに」という劣等感を感じると、相談者様の人生はいつまでたっても満足いくものになりません。

こういったことに関しては、もっと自己中心的に考えてください。誰がなんと言おうと構わず、何か言われるとか思われるとかを想像せず、ただただ今からやれること、やりたいことをやる。

例えばトイレだけは掃除する、などでもじゅうぶん立派だと思います。

ちなみにもう古いのかもしれませんが「社畜」という言葉がありますね。これを「働きまくった」と自己評価する人もいれば「なにもできなかった」と嘆く人もいます。

この場合の「なにも」はプライベートの充実のことを指すのでしょう。やはり日常において「やった」と自己評価できるものは人それぞれなのです。

そして今回いちばんお伝えしたいのは、以下の逆転の発想です。

「悪いことはしなかったからOK」という考え方です。自傷他傷、誹謗中傷、迷惑行為、警察沙汰、ハラスメント、人を裏切る嘘をつくなど、やってないなら相談者様は「人として真っ当に生きた」ということなのです。

「やらなかったこと」も「やったこと」になる。

私は人生とはこういうことなのではないかと思います。社会のルールやモラルを守って人を傷つけず、必要な感謝と謝罪ができれば上等、100点満点です。さらにそこに一つでもやりたいことができたなら花丸つきの一年だったと言えると思います。

こんな着眼点も参考にしてみてみてはいかがでしょう。きっとこの相談文を書く相談者様なら花丸の一年だったのではないでしょうか。

そして以前の記事にも書きましたが、とにかく一年を生き抜いたというだけで、人間として「じゅうぶんやった」と思います。

自分に「よくやったな」と声をかけて、どうかよいお年をお迎えください。

以上です。お読みいただきありがとうございました。少しでも相談者様のお役に立てたら幸いです。そしてお悩みが解決することを願っています。

相談員K