線量を測るベラネク氏。チェルノブイリの汚染調査にも参加したエキスパートだ
基準値の10倍以上。コバルト60まで出た。いますぐ子供たちは集団避難すべきだが、政府はもちろん黙って知らんぷり
恐れていたことが現実になろうとしている。
「ここ福島市は、子供が住んではいけない場所になってしまいました。本来は集団避難するしかないんだ。でも政治家は誰もそれをわかっていない。いや、むしろ知りたくないと思っているんでしょう」
福島市に住む中手聖一氏(50歳)は、怒りをこらえてこう語る。
日本政府は4月19日、子供たちの年間被曝量の上限を、それまでの1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに突然引き上げた。中手氏は、その暴挙に抗議すべく結成された「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の代表を務める。
福島第一原発から約60km離れた福島市は、政府が指定した避難区域にもちろん入っていない。だが浪江町、飯舘村と、原発から北西方向の汚染が特にひどいのは周知の事実であり、「福島市も危険ではないか」という懸念は早くから囁かれていた。
「浪江、飯舘のようにまんべんなく放射線量が高いのではなく、いわゆるホットスポット(突然数値が高くなる場所)があちこちに隠れているのが福島市なんです。でも政府が『安全だ』と言い張るから住民の危機意識が低い。そのことが事態をより深刻にしています」(中手氏)