情熱と意志をこめたリーダーの言葉を、国民は欲している。だが彼は下を向き、原稿を棒読みして、ぶつぶつ呟くのみ。ああ、総理の器じゃなかったのか—。国難のさなか、皆、不安でいっぱいです。
当たり散らす日々
「小池が、犬と猿と雉を連れて来るんだって?」
2021年の新年は、コロナ禍とともに明けた。もはや隠しようもない。この国の為政者としての、菅による大失敗である。
菅は、東京都の小池百合子知事が緊急事態宣言を要請すべく、1月2日に神奈川、埼玉、千葉の知事と共に官邸に乗り込んでくると聞いた際、冒頭のように吐き捨てた。
「菅さんは『小池のパフォーマンスにやられた』と地団太を踏んだ。ただ、その後の世論調査でも『緊急事態宣言が遅すぎる』という声が圧倒的多数を占めているように、先手を打てなかった総理の判断ミス。これまでのコロナ対応はすべて裏目に出ていて、焦る菅さんは官邸で怒鳴り散らしています」(官邸関係者)
菅は普段、小池のことを「おてもやん」と呼んで揶揄している。
おてもやんとは熊本民謡などに登場する、白塗り厚化粧で頬に丸い紅という、滑稽で奇妙な容貌をイメージさせる女性像だ。「おかめさん」のような女性と言えば分かりやすい。
小池のことをその「おてもやん」に喩えて笑っているという話は、菅の周辺では有名な話だが、こんなことが小池の耳に入ったら、ただでさえ軋轢が噂される両者の関係が、ますます険悪になってしまうことは確実だ。
いずれにせよ、菅に対する国民の信頼は、完全に失われたと言える。1月7日、「必要ない」という自身の言を翻して1都3県への緊急事態宣言を発出した際も、なぜか時折ニヤニヤとしながら会見を行い、国民を失望させてしまった。
「こんにちは、ガースーです(ニタァ)」
先が見えないコロナのトンネルの中でもがく人々が見たいのは、そうした頓珍漢な人気取りをしたり、ヘラヘラと誤魔化したりするリーダーの姿ではない。覚悟と意志、決断力を持って、自分の言葉で国民に語りかけ導いてゆく総理大臣だ。
だが、どうやら菅には荷が重い。「器」ではなかった—。いまや、誰もがそう思っているだろう。