大騒ぎになった日本学術会議問題
「日本学術会議問題」が思わぬ波紋を呼んでいる。
日本社会に深くはびこる政治対立に反応し、大騒ぎになった。だが、多くの人々が、いったい何が争点なのか、判然としていないのではないだろうか。
私自身も、当初、あまり関心を抱いていなかった。茫然としたまま、長年の党派的な思いを抱えた人々が大声を出している様子を見つめているのが、大半の国民の気持ちなのではないかと感じる。
なんといっても私を含めた学者層がそうだ。政治家が、学者のやっていることにいちいち強権を発動するような状態は望ましくない。その一般論に、異議を唱える者はいない。
だが多くの学者が、首相が強権を発動した背景に事情があることに気付いているし、かなりの者が具体的に知っている。いたずらに首相を激烈な言葉で非難する方々に、完全に同調している方々ばかりではない。
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この状況で、菅首相がなすべき、たった一つのことある。
それは、「説明すること」である。
事情があって任命を拒絶したことを、国民に向けて語ることだ。