ピーター・ドラッカーが2005年に永眠するまで30年以上も住み続け、「第二の故郷」としてこよなく愛した学園都市クレアモント。南カリフォルニアの陽光がさんさんと降り注ぐ5月19日、市の中心部にあるクレアモント大学院大学の総長宅でお茶会が開かれた。
ジョセフ・ハフ総長がお茶会に招待した相手は、『もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の著者、岩崎夏海氏である。上機嫌の総長は『もしドラ』についてこうコメントした。
「プロ野球は今も男の世界です。いかに女性の社会進出が進んだとはいっても、女性マネジャー(監督)が誕生するとなったらやっぱり驚きですね」
岩崎氏も含め、お茶会に出席していた5人はそろってうなずく。
「仮に女性マネジャーが誕生し、しかもドラッカーの『マネジメント』を読んだとしたら、これはもう驚きどころではありません。驚天動地です」
岩崎氏は「ハハハ」と大笑い。それにつられてみんなも腹を抱えて笑い始めた。
その後、ハフ総長は岩崎氏にプレゼントを手渡した。大リーグのアナハイム・エンゼルスで活躍する松井秀喜選手の額入り写真だ。そこには松井選手自身によるサインも入っている。額にはめられたガラスは紫外線カット仕様で、日差しからサインを守ってくれる。
岩崎氏がクレアモントを訪れたのは、ドラッカーゆかりの地を訪ね、98歳のドリス・ドラッカー夫人ら関係者に会うためだった。
クレアモント大学院大学に設置されているドラッカースクール(正式名称は「ピーター・F・ドラッカー&マサトシ・イトウ経営大学院」)に対し、『もしドラ』の印税の一部を寄付する契約書にサインする目的もあった。
ドラッカースクールからの大歓迎に驚き
ドラッカースクールこそ、クレアモントに1971年に移住したドラッカー自身が看板教授として教えたビジネススクールだ。岩崎氏は「ドラッカー先生のおかげで本を書けた。だから寄付するのは当然だと思いました」と語っている。
『もしドラ』はすでに50万部以上売れる大ベストセラーになっている。iPhone(アイフォーン)向け電子ブック版も好調な滑り出しを見せているという。岩崎氏は印税の10%をドラッカー関連の団体に寄付するとかねて表明している。
(左はクレアモント大学のハフ総長)