今日、多くの人たちが、いま話題になっている日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル事件が、安倍政権の森友問題や加計学園問題と重なるという。
首相は不正な指示をしていないといい、官僚が勝手に忖度して不正を働いたという。同様に、日大の監督もケガをさせろと命令した覚えはないといい、選手が思い詰めて行ったものだという。
一方で、このような上司と部下の関係は、実は旧日本軍が遂行した非人道的な作戦つまり特別攻撃命令とも似ているのだ。
戦後、生き残った海軍軍令部の幹部たちは、特攻を命令していないという。特攻は、あくまでも若者たちの志願だったというのだ。しかし、当時の部下たちは、特攻は明らかに命令だったという。
もともと日本では部活と軍隊は密接に関係している。反則タックル命令と特攻命令といった2つの異なる事例には、共通するリーダーの行動原理が見いだせる。
それについて、以下に説明してみたい。いずれもリーダーたちが不条理に陥り、その不条理を若者たちに実行させたのである。
体育系部活と軍隊の関係
まず、かつて日本中の学校にある部活が軍隊と密接に関係していたことを忘れてはならない。本来、楽しいはずのスポーツが、日本では軍隊の訓練や兵士予備軍としての男子学生の心身を鍛練する手段として利用された歴史が日本にはある。
特に、戦前の日本が軍国主義化するとともに、スポーツは「体育」という言葉で置き換えられ、日本人の間には「スポーツ」と「体育」は同じ意味をもつ言葉として定着した。
特に、軍国主義時代には、部下は上官に絶対服従する必要があり、厳しい上下関係による規律が求められていた。それゆえ、命令と服従という組織原理が、学校という教育機関で「体育」という教科を通して、徹底的に叩き込まれていったのである。
そして、残念ながら、戦後もこの傾向はなくならなかった。いまだに継続されている。特に、ラグビー、野球、サッカー、テニスなどの体育会系運動部では、年功序列の上意下達型の縦社会組織が形成されているように思える。
そこでは、いまも目上の者に対する絶対的服従は当然であり、目下の者はいかなる命令にも背くことは許されない。非科学的な根性論や精神論がはびこっている。
このような関係のもとに、必然的に起こったのが、戦時中の特攻であり、今回の日大アメフト部の事件なのだ。